前日に投資銘柄の候補を決める、3つの条件
前回(関連記事:『「寄り付き」が鍵! 株式市場でプロの機関投資家に勝つ方法』)、個人投資家が唯一、プロの投資家と互角に勝負できる時間帯である「寄り付き」において、売買のエネルギーが集中することによって発生する“ゆらぎ”を利益に替える手法「居合抜き1分レード」について、その仕組みを説明した。今回は、この「居合抜き1分トレード」を具体的事例もまじえて解説していく。
まずは「狙う利益」をお話ししておこう。筆者は「居合抜き1分トレード」において、1銘柄につき「0.5%」の利益を目指している。なおトレードに慣れてきて余裕が出てくれば、1度に2銘柄、3銘柄とトレードをすればよいが、最初は無理をする必要はない。なぜなら寄り付きのチャンスは1日に1回しか訪れない。この1日に1回のチャンスを確実にものにするために、最初は1銘柄に集中してトレードし、慣れてくれば銘柄数を増やしていけばよい。もちろん、銘柄数が増えても落ち着いてトレードできるようになれば、その分、利益率は増えていくのでチャレンジしてほしい。
それでは最初に「居合抜き1分トレード」の大きな流れを見ていこう。
1.(前日)「候補銘柄」を選ぶ
2.(当日)「候補銘柄」のなかからどの銘柄でトレードするかを決める
3.(当日)「買い」か「売り」かを決める
4.(当日)トレードをする
※それぞれ頭に(前日)(当日)と記載したが、それぞれ「前日の準備」と「当日の作業」となる
ひとつひとつ見ていこう。最初に行うことは、「(前日)候補銘柄を選ぶ」である。この作業は、翌日のトレードに向けて前日に行う準備で、翌日の寄り付きで大きく動く確率の高い銘柄をあらかじめ抽出しておく作業だ。この作業は東証一部銘柄を対象として、出来高と売買高が多く、さらに前日の上昇率の上位銘柄を条件としてスクリーニングする。
なぜ、この条件に当てはまる銘柄を抽出するのかというと、出来高と売買高が多い銘柄は、買いと売りの双方に力があり需給がぶつかり合うために、株価の上下への “ゆらぎ” が発生しやすいからである。
候補銘柄を選ぶ際の条件を、さらに具体的にまとめておくので、明日からのトレードの参考にしてほしい。目安であるが、毎日10~20銘柄ほどの候補銘柄が見つかる。
条件1:「東証一部」の銘柄
条件2:「前日の変動率」が最低3%以上の銘柄
条件3:「前日の出来高」が100万株以上の銘柄
気配により「見送る」のも一つの手
次に行うことは、「(当日)候補銘柄のなかからどの銘柄でトレードするかを決める」である。前日選択した複数の候補銘柄のなかから、トレードする銘柄を決める。そのために、当日の朝の8時半ごろからの寄り付き前の気配を読む。
以下の寄り付き前の「気配の時間推移」を見てほしい。
上記は2019年7月9日(火)、「アサヒグループホールディングス」の「8時25分」⇒「8時35分」⇒「8時45分」⇒「8時55分」と10分単位の時間の経過を横に並べたものである。
ここで注目していただきたいのは3つ。
1)時間の経過とともに「成行買い」の数量が「40」⇒「38」⇒「94」⇒「173」と、増えてきている
2)時間の経過とともに、赤字部分の「気配株価」が「4,795」⇒「4,781」⇒「4,840」⇒「4,845」と、上昇してきている
3)「8時55分」の時点で、前日終値よりも高い気配となっている
である。あまりに気配が高すぎる(=2.5%以上)と、寄り付いたあとに「利確売り」が入りやすくなるので注意が必要だ。見送るという判断も積極的に行っていこう。
最後に行うことは、「(当日)買いか売りかを決める」である。9時の寄り付き直前の最後に行うのが、買いか売りかの判断である。ここでは地合の状況(ダウ平均、日経平均先物)を確認する。7月9日の「日経平均先物」は「+60円」と地合いが悪くないため、アサヒグループホールディングスは「買い」と判断とした。
以上がトレードまでの作業である。あとは、「(当日)トレードをする」である。当日は実際に「アサヒグループホールディングス」を「買い」でトレードしたところ、数十秒で利益が確定した。
以上が、「居合抜き1分トレード」の大きな流れと、具体的な作業である。我々個人投資家こそ、この「寄り付き」を主戦場とすることで、プロの投資家と互角に渡り合い、一矢報いる戦い、いや、勝つべくして勝つ戦いを続けるべきだと考える。どうか明日からのトレードの参考にしてほしい。