「相続税の税務調査」に 選ばれる人 選ばれない人
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亡くなった日からさかのぼって「3年内」の贈与
生前贈与加算とは、相続または遺贈によって財産を取得した方が、被相続人(亡くなられた方)から相続開始日時点(亡くなった日)からさかのぼって3年内に贈与を受けた財産がある場合には、相続税の計算において、相続財産に加算されてしまいますよ(もち戻し)という制度になります。
「3年内」というのは具体的にどの時点になるか確認してみましょう。
たとえば、平成30年3月3日に相続があった場合、3年内の贈与加算の対象となるのは、平成27年3月3日〜平成30年3月3日となります。
この制度は、相続税の課税逃れを目的として、亡くなる直前に財産を贈与することを防ぐために設けられた仕組みとなります。「節税として生前贈与を行っていたとしても意味がなかった」なんてことがないように、この仕組みをきちんと理解していきましょう。
生前贈与加算の対象者は、「相続または遺贈によって財産を取得した方」と説明しました。わかりやすくいうと、将来的に相続人に該当する方の3年内の生前贈与は加算対象になります。また、遺言で財産を取得する方(遺贈)も対象になります。
一方、相続人に該当していたとしても、相続財産を一切取得しない方は、3年内贈与があったとしても加算対象になりません。この点は意外と勘違いしている方が多いのでご注意くださいね(相続放棄・排除・欠格となる方についても加算対象にはなりません)。
また、相続人にならない方も、たとえば、相続人に該当しない孫や相続人の配偶者は生前贈与加算の対象者ではないことになります。この点においても注意ですが、遺言で財産を取得する遺贈の場合は、孫でもそのほかの方でも暦年贈与加算対象者になる可能性があります。
さらに細かいことをいうと、被相続人が死亡したことを起因として孫に生命保険金が給付される契約の場合、こちらも生前贈与加算の対象となります(孫が取得する生命保険金は非課税枠の適用もありません)。
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110万円の基礎控除額に関係なく、加算される
相続財産に加算される生前贈与の評価額は、贈与を受けた財産の評価額がそのまま加算額となります。
なお、この時に加算される金額は、110万円の基礎控除額に関係なく、贈与価額がすべて加算されてしまいます(110万円未満、たとえば50万円の贈与でも、3年内のものは足し戻されてしまうので注意が必要です)。
ただし、相続税の計算においては、生前贈与加算分は足戻しされますが、贈与時に払った分の贈与税も控除されます。払い損になることはないのでその点はご安心ください。
また、生前贈与として加算されない例外扱いの贈与もありますので確認しておきましょう。具体的には、下記特例の適用を受けた非課税部分は加算されません。
①『贈与税の配偶者控除』
②『住宅取得資金の贈与』
③『教育資金贈与』
④『結婚・子育て資金贈与』
※3年内に③を活用して贈与された部分のうち、死亡日の残高(使い残り)については、一部の例外を除き相続財産に持ち戻されることになりますのでご留意ください。
※④は被相続人の死亡日時点で使い切っていない部分が加算対象となります。
「推定相続人への贈与」は、なるべく早く実行を
相続で財産を取得する方への生前贈与は3年経過後でないと節税効果がありません。つまり、節税には事前の準備と時間が必要ということになります。しかし、被相続人の死亡日は誰にも予測できないので難しいですよね。
生前贈与加算を見据えた上でのアドバイスには、2つあります。
①推定相続人以外になるべく生前贈与を行いましょう。
これは3年の縛りがありませんので、実行できそうな方は積極的に取り入れましょう! たとえば相続人でない孫や相続人の配偶者への贈与は生前贈与加算の対象になりません。
②推定相続人への贈与は、「相続税」と「贈与税」の税率差を活用しましょう。
推定相続人への贈与は、どうしても生前贈与加算(3年内贈与)の対象から逃れることはできません。ですので、基本的なことですが、なるべく早く贈与を実行しましょう。あとは贈与者の方に長生きしていただく、これにつきます。
贈与を実行する場合には、「相続税」と「贈与税」の税率差を意識すれば、より大きく節税することが可能となります。たとえば、相続税の税率が30%の方の場合、贈与税で30%より少ない税率で行っていれば少しでも節税になりますよね。
安易に基礎控除額110万円で贈与を行うというだけでなく、自身の相続税率を把握した上で計画的な贈与を実行しましょう。
そのためには、相続税の試算を行い、大まかな財産の概算額、税率の把握をしておくのをおすすめします。
竹下 祐史
税理士法人ブライト相続 税理士
天満 亮
税理士法人ブライト相続 税理士
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