個人投資家の短期売買は「負け戦」に・・・
どんなに優れたポートフォリオを作っても、個人投資家がファンドなどを使わずに、直接株式を購入したり、為替に投資するような「自己運用」は避けたほうがいいでしょう。個人投資家が銘柄選択や売買のタイミングまで決めて、自力で運用するのは至難の業です。
株式市場にせよ、為替市場にせよ、現在の金融マーケットは国際化されていて、世界の片隅で起きたほんの小さなイベントが、世界中のマーケットをあっという間に大きく動かしてしまいます。しかも莫大な資金を持つヘッジファンドが、さらに大きなレバレッジをかけて投資するために、マーケットはどうしても「増幅」されて動きます。どこかで起きた小さな現象が世界中に伝播し増幅されて、日本の金融マーケットを襲うわけです。
つまり現代の資産運用には、グローバルな視野でアンテナを張りつつ世界の金融市場のわずかな変化をも見逃さない注意力と洞察力が求められるということです。一般的にファンド・マネージャーの運用担当者としての“寿命”はせいぜい40代までといわれています。それだけ瞬発力や高度な分析力などを求められるということです。
個人投資家は、マーケットの小波をとりにいくような投資をしたら最終的には負けてしまいます。せめて数年単位の大きな波をとりにいく方法でしか勝てない、と思ったほうがいいでしょう。個人投資家が金融マーケットで勝つには、5年単位程度の売買をしなければ勝てるものではないのです。そういう意味でも、自分で運用するのではなくヘッジファンドなどのプロの運用担当者に任せるのがベターだといえます。
20億円超の富裕層でもポートフォリオは毎年見直す
ある程度の富裕層であっても、職業を持つ人と持たない人とでは、そのポートフォリオ作成の考え方が大きく異なりますが、では職業の有無がポートフォリオの作成に関係がなくなるのはどのぐらいの人なのでしょうか。
様々な考え方があって一概にはいえませんが、保有資産が20億円超というレベルになると、職業の有無は直接関係ないと思っていいでしょう。
20億円超の超富裕層というのは、職業の有無、定期的な収入の有無とは関係なく、たとえば「キャッシュ30%、外貨30%、その他リスク資産(安定運用型のヘッジファンドなど)40%」といったポートフォリオがいいかもしれません。
注意したいのは次の4点です。
1.基本的に財産保全のスタンスであること。
2.毎年、ポートフォリオを見直して、運用配分を見直すことが重要。
3.個別銘柄に投資する際には数年単位の大きな波をとりにいく。
4.大手金融機関と付き合っておくこと。
「毎年、ポートフォリオを見直す」ことは極めて重要です。毎年、専門家のアドバイスを受けて2~3年後の経済情勢を予測しながら、ポートフォリオの中身を調整していきます。将来の景気変動や金利の変化などに対応しつつ資産の配分比率を微調整していくのです。
また、大手金融機関と付き合っておくことも大切です。場合によっては、銀行も特別な金融商品などを回してくれることがあります。機関投資家向けの債券で「劣後債」といった商品がありますが、そのような商品も富裕層には回してくれる可能性はあるでしょう。