年初来で2ケタ上昇
為替はマイナス寄与
■6月末時点のアジア・オセアニアのリート市場は、年初来でシンガポールが+21.3%、香港が+22.3%、オーストラリアが+19.9%と、3市場とも堅調に推移しています。
■一方、円ベースの騰落率で見ると、米国の早期利下げ期待を受けて米ドルが幅広い通貨で売られたことから対円で円高・ドル安となり、シンガポールは+19.9%、香港は+20.4%、オーストラリアは+17.4%と為替はマイナスに寄与しました。
アジア・オセアニアリートと株式
低金利環境が追い風
収益の安定性も支援材料
■米連邦準備制度理事会(FRB)や欧州中央銀行(ECB)による利下げ期待の高まりを受けて世界的に長期金利が低下する中、相対的に利回りの高いリート市場には追い風となり資金が流入しました。配当利回りの長期金利との利回り格差は、オーストラリア、シンガポールで3%前後、香港では1.7%となっています。
■米中貿易摩擦による景気の下振れリスクが懸念される中、7、9月の米連邦公開市場委員会(FOMC)でFRBが0.25%の利下げを実施すると予想され、当面、低金利環境が続くと見られます。
各国・地域のリートの配当利回りと国債利回り
高い配当利回りや成長期待から引き続き選好されよう
■シンガポールは、貿易摩擦の影響を受けやすいと見られるものの、増資などによる海外への投資を通じて収益機会を獲得するリートが増えるなど、成長が期待されます。また、国内でも大規模施設の開発が今後も続くと見込まれるなど、不動産市場の拡大によるリート市場の拡大が期待されます。香港は、主力銘柄の決算が良好だったことや、国内デモの影響が軽微であると考えられることから高い分配金成長による安定的な収益の継続が見込まれます。オーストラリアでは、豪州準備銀行(RBA)が6月に続き7月の会合でも政策金利を引き下げ、さらに、年内に追加利下げが実施される可能性もあることから、相対的に利回りの高いリート市場にとって良好な環境が続くと見られます。
(2019年7月11日)
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