インド市場の推移
インドの株式、通貨
株式市場はやや軟調な展開
予算案発表で材料出尽くし
■インドの主要株式指数のSENSEXは6月に前月比で小幅安となりましたが、7月もやや軟調な展開となっています。6月は米国とインドの貿易摩擦への懸念が嫌気されましたが、ポンペオ米国務長官が6月下旬にインドを訪問し、米印間の貿易問題への懸念が後退したことで月末にかけて反発しました。7月に入ると、注目された米中首脳会談での米中協議の再開合意やインド予算案への期待で上昇しましたが、7月5日に発表された予算案は市場の期待に届かず、材料出尽くしで反落しました。その後も、米雇用統計を受けた米利下げ観測の後退でアジア株が下落したこともあり、軟調に推移しています。
■インドのシタラマン財務相は7月5日、2019/20年度(2019年4月~2020年3月)の予算案を国会に提出しました。2月の暫定予算案では同年度の財政赤字のGDP比は3.4%でしたが、今回は3.3%に縮小して設定され、予想を上回る景気対策は打ち出されませんでした。モディ政権は2020/21年度の財政赤字のGDP比を3.0%へ縮小する方針であり、財政再建を優先する意思を示しました。
モディ政権が財政再建を重視する姿勢は中長期的にポジティブ
■追加の景気刺激策への期待が高まっていた株式市場では、予算案が市場の期待に届かなかったことから、利食い売りが先行する展開となりました。しかし、モディ政権の財政再建を重視する姿勢は中長期的にはインドの経済や市場にポジティブと考えられます。高い経済成長、金融緩和、政治の安定、海外投資家の資金流入を背景に、中長期的に株式市場は堅調な展開が期待されます。
(2019年7月10日)
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