出揃ったドイツ景気指標…経済の底割れ回避も回復は鈍い展開に

ピクテ投信投資顧問株式会社が、日々のマーケット情報を分析・解説します。※本連載は、ピクテ投信投資顧問株式会社が提供するマーケット情報・ヘッドラインを転載したものです。

 

経済規模の大きさから、ユーロ圏の経済動向を左右するドイツの、足元の景気指標(Ifo、ZEW、PMI)が公表されました。PMIは市場予想を上回るも、IfoとZEWの期待指数は景気減速を示唆しました。方向感が異なる結果ですが、景気指標の内容を見ると、ドイツ経済の底割れは回避されたとしても、回復は鈍い展開が想定されます。

ドイツ経済指標:景気減速感が示唆されるも、一部に底打ち感も見られた

ドイツIfo経済研究所が24日に公表した6月の独Ifo企業景況感指数は97.4と、市場予想(97.4)に一致し、前月(97.9)を下回りました。より注目度の高い期待指数は94.2と市場予想(94.6)、前月(95.3)を下回りました(図表1参照)。なおドイツ欧州経済研究センター(ZEW)が18日に公表した6月のZEW景気期待指数は大幅に低下(減速)しました。

 

[図表1]ドイツZEW景気期待指数とIfo期待指数の推移 月次、期間:2016年6月~2019年6月、Ifoは企業景況感指数の期待指数 出所:ブルームバーグのデータを使用してピクテ投信投資顧問作成
[図表1]ドイツZEW景気期待指数とIfo期待指数の推移
月次、期間:2016年6月~2019年6月、Ifoは企業景況感指数の期待指数
出所:ブルームバーグのデータを使用してピクテ投信投資顧問作成

 

一方、21日に公表されたドイツ6月の製造業購買担当者景気指数(PMI)は速報値は45.4と、市場予想(44.6)、前月(44.3)を上回りました。サービス業も55.6と、市場予想(55.2)、前月(55.4)を上回りました(図表2参照)。

 

 

[図表2]ドイツPMI(製造業とサービス業)と中国製造業PMI 出所:ブルームバーグのデータを使用してピクテ投信投資顧問作成
[図表2]ドイツPMI(製造業とサービス業)と中国製造業PMI
出所:ブルームバーグのデータを使用してピクテ投信投資顧問作成

どこに注目すべきか:Ifo、ZEW、PMI、期待指数、米中通商交渉

経済規模の大きさから、ユーロ圏の経済動向を左右するドイツの、足元の景気指標(Ifo、ZEW、PMI)が公表されました。PMIは市場予想を上回るも、IfoとZEWの期待指数は景気減速を示唆しました。方向感が異なる結果ですが、景気指標の内容を見ると、ドイツ経済の底割れは回避されたとしても、回復は鈍い展開が想定されます。

 

 

ドイツの主な景気サーベイ調査の中でも、ZEWの期待指数は6月急低下しました。半年先の見通し調査である期待指数のマイナス21.1という水準は長期平均を大幅に下回っています。先行への不安が高まったことを反映しています。もっとも、ZEW調査は米中通商交渉が追加関税などを受け大幅に悪化した時期と重なったことの影響が大きいと見られ、やや不運な面もあると見ています。

 

昨日公表された6月のIfo企業景況感指数は、そのうち今後の見通しを調査する期待指数が、市場予想を下回りました。昨日のドイツ国債利回り低下の背景の1つの要因と見ています。景況感指数は97.4と市場予想に一致しましたが、この水準は欧州債務危機後の14年後半以来です。通貨ユーロは14年を通して下落傾向で、15年には対ドルで1.05ユーロまで下落しました。現在より8%程度ユーロ安水準で、その後(15~17年)、輸出主導によるドイツ経済の回復に寄与したと見ています。

 

反対に、ドイツの製造業PMIは市場予想を上回り、数字の上では底打ち感の兆しも見られます。先行性のある新規受注や、新規輸出受注が前月を上回って改善しました。ただ、水準は低く、例えば新規受注は44.2と、景気拡大・縮小の目安の50を下回っています。また、ドイツ製造業PMIは中国製造業PMIに遅行する傾向があります。中国の1-3月期の回復が、ドイツを下支えした可能性はありますが、中国のその後のPMIの動向(4~5月)は再び低下しています。

 

一方で、ドイツ経済は、失業率の低下など堅調な雇用市場を背景に、内需は底堅い動きを示しています。例えば、懸案だった欧州の自動車販売も、欧州全体とドイツで足元は前年比プラスに転じています。

 

欧州中央銀行(ECB)は金融政策の方針を示すフォワードガイダンスで20年夏までの据置きを示唆していますが、今後利下げの方向へ修正する可能性があると見ています。

 

 

当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『出揃ったドイツ景気指標…経済の底割れ回避も回復は鈍い展開に』を参照)。

 

 

(2019年6月25日)

 

 

梅澤 利文

ピクテ投信投資顧問株式会社
運用・商品本部投資戦略部 ストラテジスト

 

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ピクテ投信投資顧問株式会社
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日系証券会社のシステム開発部門を経て、外資系運用会社で債券運用、仕組債の組み入れと評価、オルタナティブ投資等を担当。運用経験通算15年超。ピクテでは、ストラテジストとして高度な分析と海外投資部門との連携による投資戦略情報に基づき、マクロ経済、金融市場を中心とした幅広い分野で情報提供を行っている。経済レポート「今日のヘッドライン」を執筆、日々配信中。CFA協会認定証券アナリスト、日本証券アナリスト協会検定会員(CMA)

著者紹介

ピクテは1805年、スイス、ジュネーブにおいて会社創設以来、一貫して資産運用サービスに従事し、運用サービスに特化したビシネスモデルを展開してまいりました。信用格付ではフィッチ・レーティングスからAA-の格付けを取得しております(2018年5月末現在)。注:上記の格付はピクテ・グループの銀行部門の債務の信用に対するもので、運用部門や運用能力に関するものではありません

1981年、日本経済や株式市場の調査を目的に東京事務所を設立しました。その後、1987年から機関投資家を対象とした資産運用サービス業務を開始、1997年には投資信託業務に参入し、運用資産総額は1.98兆円となっています(2018年12月末現在)。外資系運用機関の大手の一角として、特色ある資産運用サービスをお届けしております。

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