一定額の投資を行うことで、アメリカ永住権の取得を可能にする「EB-5プログラム」。アメリカ永住権の取得には様々なメリットがありますが、なかでも注目されているのが教育面でのメリットです。本記事では、国際案件に精通した弁護士法人イデア・パートナーズ法律事務所の上野潤所長弁護士が、「アメリカ留学」の最新事情について解説します。

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助手「あと18、あと18・・・ぐふふ」


教授「なんじゃアル、朝っぱらから通帳見ながらぶつぶつと独り言をいいおって」


助手「毎月2万円ずつ奨学金を返してるんですけど、それがあと18年で返済が終わるんですよ♪」


教授「じゅ、18年・・・、なかなか気の長い話じゃな。そういえば、前回日本の教育とアメリカの教育の違いについて説明したが、覚えておるな?(関連記事『富裕層たちがわが子を「アメリカ留学」させる本当の理由』参照)」


助手「ええ。ここがアメリカだったら、僕はまだ高校生だったかもって話ですよね」


教授「まあ、あれはからかっただけじゃがな。それはともかく、アメリカにも奨学金の制度はあるし、多くの学生が奨学金を利用している」


助手「そうなんですか! よかった、僕と同じ立場の人はたくさんいるんですね」


教授「そうじゃな。なぜかというと、アメリカの大学の授業料は日本と比べてかなり高い」


助手「そうなんですか? 日本だって、私立大学の授業料は結構高いですよね?」


教授「確かに、日本でも私立大学の授業料は安くない。特に理工系の学部ともなれば、年間160万円くらいかかるところも少なくない。じゃが、アメリカの大学はその比ではない。有名なカリフォルニア大学バークレー校の場合、授業料は約4万ドル、1ドル110円だとすると、日本円で約440万円じゃ」


助手「1年で440万円!! ムリ、ムリ、ムリ! 僕に将来子どもができて、アメリカの大学に行きたいなっていわれても、絶対通わせられません(泣)! ああ、ごめんよアル子、アル夫・・・」


教授「落ち着け、アル。年間440万円というのは、州外から来た学生の授業料なんじゃ。カリフォルニア州に住んでいる学生の場合、州内生用の授業料が適用される。州内生の場合、年間約154万円じゃから、日本の私立とさほど変わらんわけじゃな」


助手「でも、それはアメリカ人で、かつカリフォルニア州に住んでいる人の話ですよね?」


教授「それがな、永住権を取得して、その州に1年以上住んだ場合、翌年からは州内生としての授業料が適用されるという学校も多いんじゃ」

 

助手「それはすごい! よーし、待ってろよアル子、アル夫。父さん、二人の夢を諦めさせないからな!」


教授「アル・・・、お主、まずは嫁さん探しからはじめんとな・・・」

子どもに同行する場合、親もビザ取得が必要になるが…

◆高級住宅街には「いい学校」が多い?


日本の小・中学校および高校にあたる、アメリカの公立の初等・中等学校には授業料がなく、地方税と州税によって運営されています。アメリカでは、地域ごとに学区が定められており、いい学校がたくさん集まっている学区と、そうでない学区が存在します。


自分の子どもをなるべくいい学校に通わせたいと思うのは、アメリカの親御さんも日本の親御さんと同じです。そうすると、いい学区(A学区とします)内に住所を移すために、A学区内に家を購入する人が増えます。A学区内に家を購入する人が増えると、そこの地価が上昇します。このようなことから、地価の高さと教育レベルとの間には相関関係が存在するといわれています。「高級住宅街にはレベルの高い学校がある」という公式が成り立つことになるのです。

 

◆アメリカの学校の授業内容について


授業の内容という点でも、アメリカには日本と異なる点がいくつかあります。


まず、多くの科目のなかにディベート形式の授業が含まれています。国語にも理科にも社会にも、ディベートの授業があります。

 

例えば、理科の授業であれば「宇宙人は存在するか」といったテーマ、社会であれば「厳罰化によって犯罪率は低下するか」といったテーマが考えられるでしょう。答えのないテーマについてディスカッションすることによって、生徒たちは先生から与えられた答えを覚えようとするのではなく、未知なる答えを自ら探り出そうとします。アメリカの子どもたちは、学生の頃から、未知の問題への取り組み方を幾度もトレーニングしているのです。社会にでれば、遭遇する問題は答えのないものばかりです。この点では、学生のときから訓練を続けているアメリカの学生のほうが、日本の学生よりも有利といえるかもしれません。


またアメリカでは、スピーチをさせられる機会が日本よりも多いといえます。読書感想しかり、自分の作った詩しかり、自由研究の調査報告しかりです。アメリカでは、ある生徒が優れた詩やレポートを作成すると、それをスピーチという形で他の生徒に対しても共有させようとすることも多いです。

 

日本の場合、いいレポートを作成できても、人前で発表させられるのは嫌だ、恥ずかしい、と感じる学生も多いでしょう。他方アメリカの場合では、発表の機会を名誉あることと受け止め、堂々と発表し、自信に繋げていく学生が多いように感じます。

 

◆アメリカの大学の授業料

 

大学の場合、学生ビザを取って留学するのと、永住権保持者として入学するのとでは大きく異なってきます。州立大学の場合、授業料は2つのカテゴリーに分けられているのが一般的です。その州民(その州の学生)と州外民(他の州から来た学生)というカテゴリーです。州民と州外民とでは、授業料は2倍以上も開きがあるのが一般的です。日本の場合は、国立で年間約54万円、私立(例えば慶應義塾大学の理工学部)で約160万円となっています(2018年)。

 

これに対し、アメリカの名門校であるカリフォルニア大学バークレー校を見てみると、州民の授業料は年間約1万4千ドル、すなわち約154万円(1ドル110円で換算)です。慶應義塾大学よりも若干安い計算になります。これに対し、州外民の授業料はなんと約4万ドル、日本円で約440万円にものぼります。大学4年間で比べると、州民と州外民とでは授業料の差が1,144万円も生じることになるわけです。さらに州立大学によっては、第3のカテゴリーとして、外国人留学生枠を設けている場合もあり、この授業料は州外民よりもさらに高額に設定されています。


ここで、永住権が大きな意味を持ってきます。永住権を取得してカリフォルニア州に1年以上住み、カリフォルニア州の州立大学に進学した場合、通常は州民としての授業料が適用されるのです。大学入学にあわせて家族が渡米する場合でも、2年目以降は州民としての授業料が適用されるのが一般的です(具体的な授業料については、各大学にお問い合わせ下さい)。また奨学金についても、外国人は申請できない場合が多いですが、永住権保持者であれば申請できるというものも多いようです。

 

子どもが小さいうちにアメリカへ行くとなると、もちろん親が同行しなければならないでしょう。しかし残念ながら、アメリカには子どもの学生ビザに付帯する形で親が取得できるビザはありません。アメリカに滞在する子どもの世話をするためのビザというのも存在しません。

 

そうすると、学生ビザでの留学を考えた場合、子どもについていく親も自らが学生ビザ(あるいは就労ビザなどその他のビザ)を取得しなければならないことになります。しかし、これは現実的にはかなり難しい方法です。

 

親が学生ビザを申請した際、真の目的が「子どもの付き添い」だということが発覚してしまい、却下を受けてしまうケースは非常に多いのです。運よく学生ビザを取得できたとしても、ほぼ毎日授業を受けて単位を取っていかないと、出席日数不足あるいは成績不良を理由に、数ヵ月で学生ビザ失効という事態になってしまうこともあります。子どもをアメリカの学校に通わせ、一緒に暮らして子どもの成長を見守りたい場合は、親子で永住権を取得するのが一番の方法ということになるでしょう。

「インターナショナルスクール」という選択肢は?

◆日本のインターナショナルスクール

 

日本にも、インターナショナルスクールはいくつも存在します。

 

しかし残念ながら、インターナショナルスクールによって、教育の質は大きく異なるといわざるを得ません。伝統と実績のあるインターナショナルスクールを選ぼうとすると、非常に高いハードルに直面することになります。人気のあるインターナショナルスクールへ入学するのは、非常に難しいです。

 

なぜなら、インターナショナルスクールは基本的に、大使館や外交官といった政府関係者の子ども、民間企業の駐在員の子どもの教育を目的に設立されているため、日本人の子どもの受け入れ数は多くないのです。すると、政府関係者や駐在員の子どもや、親が外国人の子どもによって定員が埋まってしまい、両親が日本人の子どもは希望する学校になかなか入学できないという状況が生まれます。そこで他のインターナショナルスクールを選択せざるを得ず、場合によっては期待していた教育を受けることができないということにつながってしまうのです。

 

このようなことから、やはり日本のインターナショナルスクールではなく、本場アメリカでの教育を求めて、永住権取得を目指す方が多いのでしょう。子どもの教育のため、アメリカ永住権の取得を検討してみてはいかがでしょうか。

 

 

上野 潤

弁護士法人イデア・パートナーズ法律事務所 所長弁護士

 

 

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本連載は書下ろしです。原稿内容は掲載時の法律に基づいて執筆されています。

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