税務調査を録音することはできるか?
相続税の「税務調査」の実態と対処方法
助手「きょ、きょ、教授ー!」
教授「なんじゃ、まだ質問があるのか?」
助手「決められたプロジェクトに投資をすることで、永住権がもらえることはわかりました! で、ぶっちゃけ、いくら投資したらいいんですか? 僕、500円玉貯金を続けてて、あともうちょっとで100万円貯まりそうなんですが、これで足りますかね?」
教授「アル・・・残念ながら、500円玉貯金では無理じゃ・・・」
助手「そ、そ、そうなんですかー!? がっくり・・・。教授くらい給料もらってたら、できますよね!?」
教授「わしは、あと60年くらい働けば何とかなるかも知れんのう」
助手「教授、あなた一体いくつまで生きる気ですか」
教授「わしら庶民には、なかなか難しい金額じゃな。でも、このコラムを読んでおられる分限者のなかには、投資が可能な者もおるじゃろうな」
助手「分限者って、いつの時代ですか・・・」
教授「まあ、とにかくある程度経済的に成功した者でないと無理な金額じゃ」
助手「もう、もったいぶらないで、早く教えて下さいよ♪」
教授「わかった、わかった! そう焦るな。いいか、ズバリいうぞ・・・50万ドルじゃ!」
助手「50万ドル。えーっと、1ドル110円とすると、いち、じゅう、ひゃく、せん・・・、5500万円!! 終わった・・・サヨナラ、名前でバカにされない僕のアメリカン・ドリーム(※助手の名前については、関連記事『アメリカ永住権はお金で買える!? 「EB-5プログラム」とは』参照)。教授、5500万円も出して永住権を取るメリットなんてあるんですか?」
教授「そりゃもちろん、ある。まず、日本とアメリカを自由に行き来することができるようになる。これは大きな利点じゃ。入国審査のときも、Visitorではなく、U.S.Citizenの列に並ぶことになるんじゃ」
助手「そうなんですか! なんか、格好いいですね」
教授「そうじゃろ、格好いいだけじゃないぞ。大抵、Visitorの列は混雑しておるが、U.S.Citizenのほうは空いていることが多いし、何より入国審査官が親切に対応してくれるみたいじゃ。アメリカの入国審査は厳しいからのう。わしも学会で何度かアメリカに行っとるが、いつもちゃんと入れるかどうかビクビクしてしまうわい。永住権をもっていれば、アメリカ人と同様に堂々と入国審査を通れるというわけじゃな」
助手「なるほど〜」
教授「永住権取得のメリットはそれだけじゃないぞ。好きな会社で働けるし、転職も起業も自由にできる。もちろん、働くためのビザとして就労ビザもあるが、会社の組織変更や転職をすれば失効してしまう。起業する場合も、一定額の投資や従業員の雇用が必要になるなど、いろんな制限が課せられとるが、永住権を持っていればそんな制限は一切ない。アメリカ人と同じように、転職したり起業したりすることができるんじゃ」
助手「それはすごいですね!(今日はやけによくしゃべるな〜)」
教授「さらに!」
助手「ひぃ〜! まだあるんですか?」
教授「子どものきょ、きょ、教育・・・くかぁ〜」
助手「え? え? えー! 寝ちゃったんですか!? もう〜! さっきまで元気よく喋ってたと思ったら、次の瞬間には寝ちゃうなんて、赤ちゃんじゃないんですから・・・」
諸外国と比べ「破格の安さ」を誇る、アメリカ永住権
◆永住権取得に必要な最低投資額はいくら?
2019年3月現在、EB-5パイロット・プログラム(以下、EB-5)への参加に必要な最低投資額は、50万ドルに設定されています。1ドルを110円で換算しますと、日本円で5500万円ということになります。大変な金額ですね。
ただこの金額、先進諸国のなかでは破格に安いといわれています。投資永住権制度を持つ他の国を見てみると、オーストラリアは約1億3500万円、シンガポールではなんと約2億円もの投資金が必要です。グローバル化が進んでいるとはいっても、そこはやはり独立した国と国。自分の国以外に永住できる権利は、決して安くないですね。
なお、このEB-5に関しては、投資金額が他の諸外国と比べて低すぎるということで、最低額を50万ドルから引き上げようという動きがアメリカ国内で見られています。この点については、また別のコラムで触れたいと思います。
また、この50万ドルの投資先はアメリカ政府ではありません。民間のプロジェクト会社に投資をして、その投資の証明をアメリカ移民局に行い、移民局が認可を出すというプロセスになります。
民間のプロジェクト会社ですから、もちろんタダで投資金を運用してくれるわけはなく、運用コストとして手数料が徴収されます。投資信託にお金を預ける際に、信託会社に手数料を支払って運用してもらうのと同じですね。手数料の金額はプロジェクト会社によって様々ですが、5万~10万ドルくらいの手数料を徴収する会社が多いようです。
短期滞在を繰り返すと「入国拒否」される可能性も
◆永住権を取るメリット
永住権は、アメリカに半永久的に住むことができる権利です。もちろん、アメリカに住む必要がなくなれば、放棄して日本に帰ってくればいいのですが、とにかく「居たいだけ居られる」という点が大きなポイントです。
第1回(関連記事『アメリカ永住権はお金で買える!? 「EB-5プログラム」とは』参照)で説明したように、永住権者にはアメリカの選挙権はありませんし、政府機関の職に就くこともできません。しかし、それらを除けば、アメリカ人と同じように、好きなことを勉強し、好きな会社で働き、好きなタイミングで転職することができ、自分で会社を設立するのも自由です。
日本は、短期の渡米に関する協定をアメリカと結んでおり、観光や出張を目的とした90日以内の滞在であれば、ビザは不要となっています。そうすると、次のようなことを考える人が出てきます。すなわち、アメリカに行って90日滞在して帰国し、日本で1週間ほど過ごして、また渡米して90日間滞在して・・・ということを繰り返せば、永住権なんて取らなくてもアメリカに住めるじゃないか!というものです。
しかし残念ながら、それは認められません。アメリカの入国審査官は、入国しようとする者に移住の疑いがあると判断した場合、入国を拒否しなけれならないとされています。上記のように、90日アメリカに滞在して、ちょっと帰国してまたアメリカに90日滞在して、というような動きをした場合、早ければ1回目の入国時に、遅くとも数回目の入国時に入国拒否されてしまうでしょう。もちろん、ビザなしでは働くこともできません。
したがって、アメリカに住むためには永住権は必須ということになります。学生ビザや就労ビザという手もありますが、どちらにもデメリットが存在します。
学生ビザの場合は、学校を卒業したり、退学になったりした時点で直ちに帰国しなければなりません。そして、学生ビザで働けば不法就労となり、発覚すれば強制送還されてしまうのです。
就労ビザは、すべて雇用主ありきのビザですので、雇用先を退職した場合は直ちに帰国しなければなりません。転職する場合にも、ビザを取り直さなければならず、新しい雇用先でのビザ取得は保証されているわけではありません。転職が決まり、ビザ申請の準備のために一時帰国したところ、転職先での就労ビザが下りず、賃貸契約や荷物などをすべてアメリカに残したまま、戻れなくなってしまったというケースも多くあります。また、自分でビジネスを起こすということできません(起業家向けの就労ビザもありますが、従業員の雇用などの条件を満たさなければならず、スモールビジネスや不動産関連ビジネスには向いていません)。
以上より、アメリカで好きなだけ学びたい、自由に転職してキャリアを積みたい、起業したい、と考えているのであれば、永住権を取るのが最も賢明な方法かと思います。
さらに、アメリカ永住権の取得を希望される方のニーズとして最も強いのが、子どもの教育に関する面です。この点については、次回のコラムで詳しく説明していきます。
上野 潤
弁護士法人イデア・パートナーズ法律事務所 所長弁護士
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