社会で輝くシニア人材たち!高齢者が「元気に働く」企業の実例

中原千明氏の著書『シニア人材という希望』(幻冬舎MC)より一部を抜粋して、シニア人材の活用で成功している企業の実例を紹介します。

定年退職後も「元気に働く」という選択肢

日本全国にはシニア人材を積極的に採用して業績を上げている会社があることをご存知でしょうか?

 

現在、大企業の40代、50代のサラリーマンを対象に、定年退職後のキャリアデザインに関するセミナーが各所で開かれているという話を耳にします。

 

その多くは、「老後の生活にお金がどのくらい必要か? 年金だけで大丈夫なのか? 同じ会社で定年後再雇用となったときに仕事の内容や給与がどうなるのか? 早期退職をした場合どうなるか?」といった内容です。サラリーマンの皆さんが60歳を目前に控えて老後の過ごし方を考えたり、再雇用の道に進むべきかなどをシミュレーションしたりする場なのでしょう。

 

企業が用意するセミナーでは、定年を迎えたところで退職するか、再雇用を希望するかという二択になるケースが多いかもしれませんが、それとは別の道としてシニア人材を求めている企業に転職するという選択があります。

シニア人材が活躍してる企業の実例

以下、シニア人材の活用を積極的に進めている企業の例をご紹介します。

 

(1)株式会社加藤製作所(岐阜県中津川市)

 

従業員105名のうち、歳以上のシルバー社員が名を占める(平成25年4月現在)、シルバー人材が会社の柱になっている中小企業です。

 

家庭電気器具部品、自動車部品、住宅関連の部品など、プレス板金部品の製造を行う、いわゆるものづくりの会社です。

 

加藤製作所は2001年という早い段階から60歳以上の雇用に力を入れていました。それも、製造業に関して未経験のシルバー人材を積極的に採用したのです。

 

募集するときはチラシを作り、「意欲のある人求めます。男女問わず。ただし年齢制限あり。60歳以上の方」「土曜・日曜は、わしらのウイークデイ」というキャッチフレーズを載せて配ったところ、応募が殺到したといいます。地方であっても、働きたいシニア人材は多いということでしょう。

 

最初は土日の労働力確保のために雇用したそうですが、仕事に慣れるにつれ、平日にフルタイムで働くシルバー社員も出てきたそうです。最高齢はなんと歳。それを聞くと、やはり前述した個別年齢が大切なのだと思います。

 

とはいえ、未経験のシルバー人材が仕事を覚えるまでには相当時間がかかり、教える側は大変だったようです。また、シルバー人材でも使いやすいように工場の機械を改造したり、手順を間違えないような作業の流れを考えるなど、皆で知恵をしぼったといいます。実際に戦力となるまで、相当な労力とコストがかかったでしょう。

 

しかし、早い段階でシニア人材が働ける環境を整えておいたので、もし若手の働き手が減っていったとしても、会社としては今後も安泰ではないでしょうか。

 

(2)TYI株式会社(愛知県稲沢市)

 

ここもものづくりの会社です。

 

自動車や事務用機器などに使うベアリングの部品の製造を行い、従業員120名のうち約半数が歳以上だといいます。シニア人材が企業の屋台骨となっているのでしょう。

 

この会社でも、シニア人材が働けるよう作業を単純化し、ラインで使う機械や工具(治具)を自ら作り、シニア人材が働きやすい環境を整えているそうです。やはり、そういう仕組みをつくることが、シニア人材が長く働ける環境を実現する条件なのだと思います。

 

しかも、シニア人材でも使いやすい機械や工具を製作するのは、歳と歳の技術者だといいます。自分たちもシニアなので、どういう作業がやりづらくて、どう改善すればやりやすくなるのかが誰よりも分かるのでしょう。

 

また、TYIには、もともと他の会社で働いていた人がシニア人材として転職してきて、元の会社での技術やノウハウを活かしている例もあるようです。このような職場が増えれば、シニア人材にとっても企業にとっても望ましい環境になるのではないかと思います。

 

(3)株式会社いろどり(徳島県上勝町)

 

この会社の事業は多くのメディアで取り上げられているので、ご存知の方も多いでしょう。

 

徳島県上勝町の約200軒の農家が「つまもの」と呼ばれる日本料理の盛り付けなどにわれる季節の葉や花、山菜などを、栽培・出荷・販売する農業ビジネスで「葉っぱビジネス」と名付けられています。

 

平均年齢は70歳、最高齢88歳(2017年刊行当時)で、働いている人の大半が女性です。1986年にスタートし、年間売上2億6000万円を誇る、大成功した事例でしょう。なかには、年収1000万円を稼ぐ方もいらっしゃるそうです。

 

農家の女性たちはパソコンやタブレット端末を使って、いろどりからの情報や自分が出荷した葉っぱの出荷量などを確認します。シニア人材であっても、ITを駆使しているということです。

 

売上の順位も公表しているので、それがシニア人材を発奮させる原動力になっているといいます。自分の商品をより多く売るための工夫をあれこれするのでしょう。

 

驚くべきことに、このビジネスが始まって以来、老人ホームの利用者が減り、町営の老人ホームはなくなったそうです。高齢者に必要なのは医療制度や福祉制度より、仕事を通して社会貢献できる場なのかもしれません。それさえあれば、薬も治療も、介護も必要なくなるかもしれないのです。

 

 

中原 千明

基金運営研究所株式会社 代表
一般社団法人年金基金運営相談センター 理事長
株式会社CN総合コンサルティング 代表

 

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基金運営研究所株式会社 代表
一般社団法人年金基金運営相談センター 理事長
株式会社CN総合コンサルティング 代表
 

1973年に慶應義塾大学を卒業後、都市銀行に入行。不動産や企業年金等幅広い業務に従事し、業績向上に貢献する。54歳で関連会社に転籍、定年退職まで勤め上げる。2008年、61歳で起業。基金運営研究所株式会社を設立する。2012年には一般社団法人年金基金運営相談センター理事長に就任。企業年金のコンサルティングを行うかたわら、不動産や保険代理、投資家に対する運用商品の紹介、相続対策、M&A等へと事業を拡大し、2013年に株式会社CN総合コンサルティングを設立。各分野の専門知識をもった22名の定年後シニア人材を雇用、戦力化し、黒字経営を続けている。義理人形を重視した誠実な仕事が支持されており、数十年来の取引先も多い。モットーは「生涯現役」。

著者紹介

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本連載は、2017年5月29日刊行の書籍『シニア人材という希望』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

シニア人材という希望

シニア人材という希望

中原 千明

幻冬舎メディアコンサルティング

超高齢社会の到来とともに、日本人の働き方は大きく変わる――。 都市銀行でマネジメント職を歴任。定年後に起業し、多数のシニア人材を雇用する経営者が語る“新しい労働の在り方"とは? 2013年4月1日、高年齢者雇用安定…

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