健康だった歯が虫歯になることは、決して珍しくありません。しかし、機械的に治療を行うのではなく、虫歯になってしまった原因を究明することが重要です。虫歯のできる過程とその治療法を見ていきましょう。※口内の健康は、美容や健康と深い関わりがあります。白い歯は人に好印象を与えるだけでなく、日ごろのケアで虫歯や歯周病を遠ざけることにより、全身の健康も保つことができるのです。本連載では、新進気鋭の美容歯科医が、歯と美容・健康の関係をやさしく解説します。

口内の健康が「ウェルエイジング」の実現を左右する

お口の中の健康は美容に直結します。女性にとってとても大切なアンチエイジングとも深く関わっています。みなさまは「ウェルエイジング」という言葉を聞いたことがおありでしょうか? 加齢性の疾患を予防して、心身共に健康的に美しく生きることを意味する言葉です。

 

ウェルエイジングを実現するためには、お口の中を健康に保つことは必要なのです。虫歯や歯周病が原因で、お顔の輪郭が変わったり、本来の美しい肌質が損なわれたりすることがあるからです。

 

ここでは身体に負担のない、よい治療方法がたくさんあることを知っていただくため、新しい治療法を中心にご紹介していきましょう。当院の治療ポリシーは「ノンサージカル(大がかりな外科的処置を極力避ける)」です。歯科治療を受けることが患者様の精神的負担にならず、歯科がもっとみなさまにとって身近な場所になるよう、最小限の処置で最大の効果を発揮できるような治療法を取り入れています。

 

抜歯はもちろん、笑うと歯茎がむき出しになる「ガミーフェイス」の改善、「小顔になりたい」というご要望にも、最小限の処置でお応えすることができる体制を整えています。では、より美しくなるための歯科治療についてお話ししていきたいと思います。

治療するだけではなく、虫歯になった原因を考えよう

【ユキエさん(48歳)の場合】


ユキエさんは軽い虫歯が2本、右の下の奥に欠損歯が1本、さらに金属アレルギーを持っています。ユキエさんの虫歯は、程度が軽く、よく見ないとわからないくらいのものでした。ユキエさんと同じように、健康だったはずの歯に、小さな虫歯ができていたという経験は、多くの方がされていることと思います。歯科に行けば、1~2回の治療できれいに治すことができ、その後、ご自分が虫歯だったことも忘れてしまうかも知れません。

 

でも、それで終わらせるのはもったいないと私は考えています。なぜならば、その小さな虫歯にこそ、もっと健康で美しくなるためのヒントが隠されていると思うからです。どうしてそこに虫歯ができたのでしょうか?

 

歯みがきの仕方が悪かった、糖分を過剰に摂り過ぎている、歯並びが悪い、唾液の分泌が少ない、食べ物を噛む回数が少ない、硬いものを食べて歯が欠けてしまった・・・いろいろな原因があります。その原因を突き止めて、患者様に教えて差し上げ、どうすれば根本的解決になるのかをご提案させていただくのが、私の治療ポリシーの一つです。

 

ユキエさんの場合は、奥歯が1本ないことによって、噛み合わせにズレが生じて自浄作用がうまく働かず、食べ物が停滞したことが小さな虫歯の原因になっていました。それをかばうために片側で噛み、お顔が非対称になっていたのです。

「すぐに歯磨き」はNG? 虫歯はどうやってできるのか

お口の中には600~700種類もの細菌がいます。これはトイレの便座以上の数といわれています。虫歯は、お口の中にあるミュータンス菌やソブリヌス菌が歯垢(プラーク)の中で繁殖することによって起こります。繁殖した細菌が酸を作り、歯を溶かして虫歯になるのです。

 

虫歯は、食べ物や飲み物を摂ったまま放置することによって起こります。虫歯菌の酸が歯を溶かすので、それを阻止するには歯をしっかりみがくことが大切になります。

 

ただし、ものを食べた直後は歯のエナメル質がやわらかく溶けた状態になっているので、そのときに歯をみがくとエナメル質が取れてしまいます。以前は、食後すぐに歯をみがきましょうといわれていましたが、現在は食後30分から1時間くらい時間を空けたほうがいいというのが常識になっています。

 

[図表]歯の構造
[図表]歯の構造

 

また唾液に含まれるリン酸カルシウムには、歯の脱灰したところを修復させる(再石灰化させる)作用があります。唾液の分泌が促されると、お口の中が虫歯のできにくい環境になっていきます。虫歯は一度できてしまったら、元の健康な状態に戻すことができないので、虫歯になりかけの段階でしっかりとした治療をしておくことが大切です。

虫歯の治療法には、大きく分けて3種類ある

虫歯の治療法は、虫歯の程度によって当クリニックでは次の3つに大きく分かれます。

 

①虫歯の穴を詰める治療

比較的軽度の虫歯に対して行う治療で、虫歯になった部分を取り去り、そこに詰め物を入れます。虫歯部分を機械で削り、中にハイブリッドレジンというプラスチックとセラミックをミックスした材料が使われます。

 

②被せる治療

虫歯が進行して歯髄にまで達しており、歯髄を取らなければならなかったり、歯の上側(歯冠)がなくなったりしている場合などに用いられる治療法で、ジルコニアクラウンとも呼ばれます。

 

③なくなった歯を補う治療

なくなってしまった歯を補うための治療です。

 

次回は、ユキエさんを例に「カリソルブ」という治療法を見ていきます。

 

 

酒井 暁美

アミーズ歯科クリニック

理事長

 

美容歯科医がこっそり教える ほんとうのきれいをつくる方法

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酒井 暁美

幻冬舎メディアコンサルティング

「口の中」から始める、本当のキレイの作り方 「自分の顔が気に入らない・・・美容整形に行こうかしら」 その悩み、ちょっと待って! 美容歯科で解決できます。 女性歯科医がこっそり教える、「口の中」から始める美人の…

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