米中貿易摩擦の激化を嫌気

大幅に調整した中国株式市場(2019年5月)/デイリーマーケットレポート

三井住友DSアセットマネジメント株式会社 調査部
米中貿易摩擦の激化を嫌気

本連載は、三井住友DSアセットマネジメント株式会社が提供するデイリーマーケットレポートを転載したものです。

 

中国株式市場の推移

(注)データは2019年5月21日基準。 (出所)Bloomberg L.P.のデータを基に三井住友DSアセットマネジメント作成
(注)データは2019年5月21日基準。
(出所)Bloomberg L.P.のデータを基に三井住友DSアセットマネジメント作成

 

上海総合指数とMSCIチャイナ指数

(注1)データは2018年5月21日~2019年5月21日。 (注2)2018年5月21日を100として指数化。 (出所)Bloomberg L.P.のデータを基に三井住友DSアセットマネジメント作成
(注1)データは2018年5月21日~2019年5月21日。
(注2)2018年5月21日を100として指数化。
(出所)Bloomberg L.P.のデータを基に三井住友DSアセットマネジメント作成

 

 

5月の中国株は大幅調整

 

■5月に入り、中国株式市場は大幅に調整しています。トランプ大統領が5日、中国製品に対する追加関税の引き上げをツイッターで示唆したことを受けて、地合いが悪化しました。9~10日の米中協議は不調に終わり、米国は2,000億米ドル分の中国製品への追加関税を引き上げ、中国は報復措置を発表しました。米国はさらに、約3,000億米ドル分に課す制裁関税を公表するなど、米中関税合戦が激化し、景気の先行きに対する警戒感から、株式市場は全面安の展開となりました。加えて、16日に米政府が華為技術(ファーウェイ)に対する制裁措置を発動したことが市場心理を冷やしました。投資家のリスク回避姿勢が広がり、上海総合指数は20日に約3カ月ぶりの安値をつけました。

 

 

政策対応強化で景気失速は回避へ

 

■米中貿易摩擦が一段と激化していることで、中国の景況感は5月以降、明確に悪化すると考えられます。こうした景気の下押し圧力に対し、中国政府は即効性の高いインフラ投資を中心に政策対応を強化し、景気失速を回避させるとみられます。政府は今年の歳出予算を大きめに計上しており、財政拡大余地があります。

 

 

政策対応強化で景気失速は回避へ

 

■グローバル景気に大きな影響を及ぼす米中通商交渉の行方が引き続き最大の注目材料です。今後両国が歩み寄り、米中首脳会談の実現など米中協議が進展することが期待されます。ただ、交渉の帰趨に関わらず、中国政府の政策対応で景気の失速は回避される見込みです。完全な交渉決裂に至らなければ、株式市場は徐々に落ち着きを取り戻すと思われます。

 

 

※個別銘柄に言及していますが、当該銘柄を推奨するものではありません。

 

 

(2019年5月22日)

 

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