反EU勢力がどこまで伸びるか?注目の欧州議会選挙最新動向

ピクテ投信投資顧問株式会社が、日々のマーケット情報を分析・解説します。※本連載は、ピクテ投信投資顧問株式会社が提供するマーケット情報・ヘッドラインを転載したものです。

 

オーストリアの保守系政党、国民党と反移民などを唱える極右政党の自由党が連立政権樹立で合意したのは17年12月でした。この頃、欧州では反移民、反欧州連合(EU)を掲げる政党が各国で勢力を伸ばしていました。この流れを受けて開かれる今回の欧州議会選挙は、いつになく注目を集めています。

オーストリア連立政権:極右出身の全閣僚辞任の動きで連立政権崩壊へ

オーストリアのクルツ首相は、連立を組む極右・自由党党首のシュトラッヘ副首相が2019年5月18日にロシアを巡る疑惑で辞任した数時間後に同党との連立を解消し、早期総選挙に向かう姿勢を表明しました。

 

 

20日には、オーストリアの極右、自由党出身の全閣僚が辞任の意向を固めたことが報道されています。クルツ首相の中道右派、国民党との連立政権は完全に崩壊することになる模様です。

どこに注目すべきか:連立解消、極右政党、欧州議会選挙、ポスト

オーストリアの保守系政党、国民党と反移民などを唱える極右政党の自由党が連立政権樹立で合意したのは17年12月でした。この頃、欧州では反移民、反欧州連合(EU)を掲げる政党が各国で勢力を伸ばしていました。この流れを受けて5月23~26日に開催される今回の欧州議会選挙は、いつになく注目を集めています。何が注目点となるのか?

 

まず最初に、極右から極左まで含め、反EU勢力がどの程度まで議席を獲得、もしくは前回に比べ伸ばすかです(図表1参照)。伝統的な親EU勢力である欧州人民党(EPP)や、欧州社会・進歩連盟(S&D)、欧州自由民主同盟(ALDE)は現在3党合計で479議席です。最新の世論調査では420議席程度に議席を減らしそうですが、少なくとも過半数(376議席)の確保が見込まれています。

 

[図表1]2019年欧州議会選挙開戦前議席と分布予想 ※最新世論調査は19年5月20日時点 ※EPP:欧州人民党(中道右派)、S&D:欧州社会・進歩連盟(中道左派)ALDE:欧州自由民主同盟 ※その他:伝統的なEPP,S&Dに対し極右反EUのEAPNや極左反EU合計 出所:各種報道、POLITICO等を参考にピクテ投信投資顧問作成
[図表1]2019年欧州議会選挙開戦前議席と分布予想
※最新世論調査は19年5月20日時点
※EPP:欧州人民党(中道右派)、S&D:欧州社会・進歩連盟(中道左派)ALDE:欧州自由民主同盟
※その他:伝統的なEPP,S&Dに対し極右反EUのEAPNや極左反EU合計
出所:各種報道、POLITICO等を参考にピクテ投信投資顧問作成

 

主張は環境保護という緑の党は、改選前、予想共に50議席程度を別にして、反EU勢力は改選前の約220議席に対し、今回は270議席程度に拡大することが想定されます。

 

反EUが支持を拡大している傾向はうかがえますが、過半数を超えることは難しい状況なことから、反EU勢力がEUで重要ポストを牛耳るといった事態は回避が見込まれます。

 

欧州議会選挙後には、欧州中央銀行(ECB)総裁や、EU大統領、欧州委員長、欧州議会議長(主要4ポスト)の人事が、欧州委員長の選定を皮切りに本格化します。欧州議会選挙の結果が人事に影響を与える可能性はありますが、世論調査どおりであるならば、反EU勢力の台頭は見込みにくいと思われます。

 

しかし、全く影響が無いわけではありません。例えば、今回の欧州議会選挙では反EU勢力が3分の1に到達するかが一つの目安となっています。ユーロ加盟国は財政規律の遵守が求められていますが、イタリアなどでは財政規律の緩和を求めています。EUは制裁措置の手続きに一定の同意が必要となるからです。

 

もっとも、これは単なる数合わせの面もあります。反EUと一まとめにはしていますが、実際は極右から極左まで主義主張は相違が大きく、一つの勢力としてまとまる可能性は低いように思われます。

 

なお、英国については今回欧州議会選挙には参加の運びとなっています(751議席が欧州議会の最大)。仮に英国が10月末を期限にEUを離脱した場合は、議席数は英国分を除いた701議席となる模様です。

 

最近の欧州議会選挙の投票率を見ると50%を下回る低い数字となっており、一般に関心が低いと見られています。

 

 

政策の多くはEUでなく、自らが住む国により決められことが背景と思われます。ただ、今回の欧州議会選挙は少しは関心が高いようです。一般に投票率が高まると伝統的な政党に有利といわれていますが、結果はいかに?

 

 

当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『欧州議会選挙の最新動向』を参照)。

 

 

(2019年5月21日)

 

 

梅澤 利文

ピクテ投信投資顧問株式会社
運用・商品本部投資戦略部 ストラテジスト

 

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ピクテ投信投資顧問株式会社
運用・商品本部 投資戦略部 ストラテジスト 

日系証券会社のシステム開発部門を経て、外資系運用会社で債券運用、仕組債の組み入れと評価、オルタナティブ投資等を担当。運用経験通算15年超。ピクテでは、ストラテジストとして高度な分析と海外投資部門との連携による投資戦略情報に基づき、マクロ経済、金融市場を中心とした幅広い分野で情報提供を行っている。経済レポート「今日のヘッドライン」を執筆、日々配信中。CFA協会認定証券アナリスト、日本証券アナリスト協会検定会員(CMA)

著者紹介

ピクテは1805年、スイス、ジュネーブにおいて会社創設以来、一貫して資産運用サービスに従事し、運用サービスに特化したビシネスモデルを展開してまいりました。信用格付ではフィッチ・レーティングスからAA-の格付けを取得しております(2018年5月末現在)。注:上記の格付はピクテ・グループの銀行部門の債務の信用に対するもので、運用部門や運用能力に関するものではありません

1981年、日本経済や株式市場の調査を目的に東京事務所を設立しました。その後、1987年から機関投資家を対象とした資産運用サービス業務を開始、1997年には投資信託業務に参入し、運用資産総額は1.98兆円となっています(2018年12月末現在)。外資系運用機関の大手の一角として、特色ある資産運用サービスをお届けしております。

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