前回は、「ワケあり物件」を売るために、入念な準備が必要な理由を説明しました。今回は、売れない不動産の代表格と、賢い不動産投資家の出口戦略を見ていきます。

売れない不動産の代表格は「老朽化が進んだ物件」

売れない不動産の代表が、老朽化して経年劣化がひどいものです。たまに市場に出てくる築50年を超えたような木造住宅とか木造アパートなどは、外見からして古ぼけていて、悪い意味での昭和臭が漂っています。

 

このような物件を売ろうとしても、たいていは売れません。市場を見てみると、この手の物件には相場よりもかなり安い価格がつけられています。それでも何カ月も売れ残っているのが普通です。

 

老朽化した物件が嫌われるのは、そこには使用価値がないと見なされてしまうからです。専用住宅であっても、わざわざそんな古い物件に住みたがる人はほとんどいません。

 

収益物件(賃貸アパート)であったとしても、新しい入居者を見つけるのが大変ですから、やはり買い手がつきません。たとえ、現況が満室で収益率が高かったとしても、ひとたび空室になった途端、入居者を見つけるのが困難と予想されるからです。

 

賢い不動産投資家は、いつでも出口を考えています。どんなに収益率が高い物件でも、築年数が経ちすぎると買い手がつきませんから、あまり古くなりすぎる前に市場に出して売却してしまうのです。

 

そのような物件は、トランプのババ抜きゲームのようなもので、最後につかんだ人が、空室をたくさん抱えて「負け」になります。

使用されていない不動産は「資産」とはいえない

筆者は、老朽化して誰も住まなくなった物件のように、使用されていない不動産は、資産ではないと思います。

 

日本語には「資産」と「財産」という二つの言葉があります。「資産」とは、企業会計の用語で、企業が新たに経済的な価値を生み出すために所有するものの総称です。ですから、現金や不動産だけでなく、借金もまた資産に含まれます。借金は、新たなビジネスを生み出すための資本金になるからです。

 

一方、「財産」とは、その人の所有する経済的な価値の総称です。ですから、現金や有価証券、不動産はもちろん、貴金属、ゴルフ会員権、人によっては家族や健康や友人といったものまで財産に含まれます。

 

ですから、使用されていない不動産は「財産」かもしれませんが、「資産」とはいえません。

本連載は、2016年1月29日刊行の書籍『「ワケあり物件」超高値売却法』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

「ワケあり物件」超高値売却法

「ワケあり物件」超高値売却法

松本 俊人

幻冬舎メディアコンサルティング

「駅から遠い、築年数が古い、ごみ収集所が近くにある――そんな物件を持つオーナーは、高値売却の方法について頭を悩ませているのではないでしょうか。本書では、どんな「ワケあり物件」であっても優良物件に変える巧みな「演…

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