米国の国民皆保険法案が影響しヘルスケア株が下落

ピクテ投信投資顧問株式会社が、日々のマーケット情報を分析・解説します。※本連載は、ピクテ投信投資顧問株式会社が提供するマーケット情報を転載したものです。

 

ポイント

米国の国民皆保険「メディケア・フォー・オール」が注目を集める中、ヘルスケア株式は「メディケア・フォー・オール」が業界全体の先行き不透明感を高める政治的なリスクと捉えられ、株価が大きく下落しています。現時点では実現可能性は低いと考えます。短期的には政治的リスクが注目され、株価の変動が大きくなる可能性があり、注視する必要があると考えます。

政治的なリスクが懸念されヘルスケア株式が下落

足元、ヘルスケア株式は米国の政治的なリスクが意識され、下落基調にあります(図表1参照)。

 

[[図表1]年初来の米国ヘルスケア株式、バイオ医薬品株式、米国株式の推移 日次、期間:2018年12月31日~2019年4月17日、米ドルベース ※米国ヘルスケア株式:S&P500種ヘルスケア株価指数、バイオ医薬品株式:ナスダック・バイオテクノロジー指数、米国株式:S&P500種株価指数 出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成
[図表1]年初来の米国ヘルスケア株式、バイオ医薬品株式、米国株式の推移
日次、期間:2018年12月31日~2019年4月17日、米ドルベース
※米国ヘルスケア株式:S&P500種ヘルスケア株価指数、バイオ医薬品株式:ナスダック・バイオテクノロジー指数、米国株式:S&P500種株価指数
出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成

 

2019年4月12日から4月17日にかけて米国ヘルスケア株式(S&P500ヘルスケア株式)が-5.5%、バイオ医薬品株式(ナスダック・バイオテクノロジー株式)が-6.1%、それぞれ下落しています(同期間、米国株式(S&P500株価指数)は+0.4%の上昇)(図表2参照)。

 

 

[図表2]米国ヘルスケア株式、バイオ医薬品株式、米国株式の騰落率 期間:2019年4月11日~2019年4月17日、米ドルベース ※米国ヘルスケア株式:S&P500種ヘルスケア株価指数、バイオ医薬品株式:ナスダック・バイオテクノロジー指数、米国株式:S&P500種株価指数 出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成
[図表2]米国ヘルスケア株式、バイオ医薬品株式、米国株式の騰落率
期間:2019年4月11日~2019年4月17日、米ドルベース
※米国ヘルスケア株式:S&P500種ヘルスケア株価指数、バイオ医薬品株式:ナスダック・バイオテクノロジー指数、米国株式:S&P500種株価指数
出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成

 

中でも、ユナイテッドヘルス・グループ(米国)やシグナ(米国)などの医療保険関連銘柄の下落率が大きくなっています。

 

 

2020年の米大統領選挙に向け、ヘルスケア株式の政治的なリスクが高まる

2020年に実施される米大統領選挙は、多くの候補者が出馬表明を行い、既にスタートしています。

 

このような中、政治的な話題のひとつとして米国の国民皆保険「メディケア・フォー・オール」が注目を集めています。

 

現在、米国の医療保険制度は「メディケア(主に65歳以上の高齢者と身体障害者向け)」、「メディケイド(低所得者向け)」などの公的医療保険と、民間医療保険で成り立っていますが、「メディケア・フォー・オール」は、それをすべて公的医療保険にすることを目指すもので、現在の米国の医療制度を大きく変えるものになることから、ヘルスケア株式の先行き不透明感を高めるリスク要因として捉えられています。

国民皆保険「メディケア・フォー・オール」の導入は難しい課題が多い

新しく国民皆保険「メディケア・フォー・オール」のような制度を導入することは容易ではなく、また導入には多くの抵抗を受けると思われます。

 

米国では約半数の人が雇用主が提供する民間の医療保険に加入しており、現在、受けている民間の健康保険の補償を手放すことには同意しない可能性があります。

「メディケア・フォー・オール」は短期的に株価の変動要因に

2020年に大統領選挙を控える中、「メディケア・フォー・オール」だけでなく、ヘルスケア関連が政治的なトピックとして浮上し、短期的に株価の変動を大きくする可能性があります。前回(2016年)の米大統領選挙では、薬価の問題が注目を集め、バイオ医薬品株式などの株価が大きな影響を受けました。

 

「メディケア・フォー・オール」については、現在の医療保険制度との差が大きく、納税者の負担も大きくなることから、現時点では実現の可能性は低いと思われますが、注目を集めることで、ヘルスケア株式の先行き不透明感を高め、株価にとってはマイナス要因となる可能性があります。

 

また、民間医療保険が薬剤給付管理会社(PBM)を通じて行っているように、メディケアなどの公的医療保険にも同様な価格交渉が出来るような制度改革が実施された場合には、株価への影響が大きくなる可能性があり、注意深く見ていく必要があると考えます。公的医療保険が医薬品の価格交渉ができるようになれば、他社の製品とあまり効果などの面で差異のない治療薬を作っている医薬品企業にとっては(すでに同様の薬価引き下げ圧力を民間医療保険会社から受けていますが)、脅威となり、薬価の下落に直面する可能性があります。

 

このような中では、医薬品市場では差別化(他社を上回る効果が得られるような革新的な医薬品を提供すること)が非常に重要であるとピクテは考えています。

 

 

※※市場環境の変動等により、上記の内容が変更される場合があります。

 

当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『米国の国民皆保険法案が影響しヘルスケア株が下落』を参照)。

 

 

(2019年4月18日)

 

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ピクテは1805年、スイス、ジュネーブにおいて会社創設以来、一貫して資産運用サービスに従事し、運用サービスに特化したビシネスモデルを展開してまいりました。信用格付ではフィッチ・レーティングスからAA-の格付けを取得しております(2018年5月末現在)。注:上記の格付はピクテ・グループの銀行部門の債務の信用に対するもので、運用部門や運用能力に関するものではありません

1981年、日本経済や株式市場の調査を目的に東京事務所を設立しました。その後、1987年から機関投資家を対象とした資産運用サービス業務を開始、1997年には投資信託業務に参入し、運用資産総額は1.98兆円となっています(2018年12月末現在)。外資系運用機関の大手の一角として、特色ある資産運用サービスをお届けしております。

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