雇用者数は19.6万人増
雇用情勢は安定
■2019年3月の非農業部門雇用者数は前月比19.6万人増となり、ブルームバーグ集計による市場予想の17.7万人増を上回る増加となりました。また、2月分も同2.0万人増から同3.3万人増に上方修正されました。
■3月の雇用者数増加は、2月分が天候要因により大幅に落ち込んだ反動などがあると見られますが、3カ月平均では18.0万人増となり、雇用情勢は安定していると考えられます。
非農業雇用者数の推移(前月比増減)
失業率は横ばい
賃金の伸びは鈍化
■3月の失業率は前月比横ばいの3.8%となりました。
■一方、賃金は前月比0.1%増、前年同月比3.2%増となり、それぞれ2月分の同0.4%増、同3.4%増から伸び率が鈍化しました。
■米国の企業業績の伸びが鈍化すると予想される中、19年の賃金上昇ペースは、緩やかになると見られます。
賃金上昇率と失業率
4-6月にかけて景気は底入れの可能性
■雇用統計が公表された4月5日の米国市場では、株価、債券価格とも上昇(利回りは低下)しました。良好な雇用統計を受けた米景気の減速懸念後退を好感し株価が上昇したものの、物価上昇が引き続き緩やかになると見込まれ、米連邦準備制度理事会(FRB)の利上げ停止が長期化すると予想されることから、長期債が買われました。
■製造業の生産調整等の影響が、雇用鈍化などを通して、内需へも波及しつつあることから、しばらく経済指標の悪化が続く可能性があります。ただし、1-3月の景気減速を受けた調整がこの程度にとどまっていることから、今後の調整はそれほど深刻なものにはならないと見られ、少なくとも4-6月には景気の底入れが確認できる可能性が高いと考えられます。
(2019年4月8日)
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