自宅や事務所として利用する不動産ではなく、人に貸して賃料を得るための収益物件は出口戦略を立てやすいという側面もあります。本連載では、収益物件の出口戦略について様々な角度から見ていきます。

最終的に「売却」できてから利益が確定する

収益物件の活用は取得、管理運営、そして最終的に売却して利益が確定します。株式も同様です。取得価格があって、保有期間に配当が入り、最後に売却をしていくらの利益が出たか、損失が出たかがはっきりするのです。

 

特に、配当が出ている(キャッシュフローを得られている)からいいとしてしまうことが多いのですが、最後に元金(物件価格)が下がっていてはトータルで損失になってしまうこともあります。この一連の流れを理解して収益物件の活用を行う必要があります。

 

物件の価格基準を知らなければ売却方法は決められない

では、具体的に売却をどのような形で迎えればいいのでしょうか。売却の形は大きく2つです。アパートをアパートとして売るか、もしくは更地にして売るかです。これは、物件の価格が決まる基準によって異なります。価格が決まる基準になるのは、物件の収益性(利回り)あるいは資産価値(土地値)の2つで、いずれかの高いほうとなります。

 

どちらの基準で価格が決まっているかによって、売り方は異なります。収益性で決まっている物件に関しては、アパートのまま売るほうが高く売れます。一方、資産価値(土地値)によって価格が決まっている物件はできるだけ更地に近い状態で売ることで高く売れます。つまり、自分の物件の価格がどちらの基準で決まっているのかを理解しなければ、最適な売り方もわからないということです。

 

収益性の物件では、言葉のとおり収益性で価格が決まってきますので、できるだけ賃料を高く、かつ入居率を高くする必要があります。逆に資産価値の物件は、取り壊しのためには入居者がいないほうがいいのですから、新規の入居者を入れないだけではなく、既存の入居者にもトラブルなく出ていってもらう必要があるのです。

 

現場で取引をしていると、これを理解せずに真逆の行動をとられている売り主さんを頻繁に目にします。特に多いのが、「収益性の物件」にもかかわらず、入居者を一所懸命出してしまって売ろうとしている方です。これでは、せっかくのアパートの価値を損なってしまいます。

 

【アパートのまま売るか、更地にして売るか】

本連載は、2014年8月30日刊行の書籍『会社の経営安定 個人資産を防衛 オーナー社長のための収益物件活用術』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

本連載は情報の提供及び学習を主な目的としたものであり、著者独自の調査に基づいて執筆されています。実際の投資・経営(管理運営)の成功を保証するものではなく、本連載を参考にしたアパート事業は必ずご自身の責任と判断によって行ってください。本連載の内容に基づいて経営した結果については、著者および幻冬舎グループはいかなる責任も負いかねます。なお、本連載に記載されているデータや法令等は、いずれも執筆当時のものであり、今後、変更されることがあります。

会社の経営安定 個人資産を防衛 オーナー社長のための収益物件活用術

会社の経営安定 個人資産を防衛 オーナー社長のための収益物件活用術

大谷 義武

幻冬舎メディアコンサルティング

アベノミクス以降、景気は回復傾向を示していますが、利益を上げ続けるというのは簡単なことではありません。加えてオーナー社長を悩ませるのが増税です。 本書では、中小企業のオーナー社長に向けて、賃貸用アパート・マンシ…

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