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連載PICTETマーケット情報【第26回】

米国の国民皆保険「メディケア・フォー・オール」法案について考える

グローバル/バイオ医薬品

マーケットレポート

米国の国民皆保険「メディケア・フォー・オール」法案について考える

ピクテ投信投資顧問株式会社が、日々のマーケット情報を分析・解説します。※本連載は、ピクテ投信投資顧問株式会社が提供するマーケット情報を転載したものです。

 

ポイント

米・民主党が国民皆保険「メディケア・フォー・オール」法案を提出したことを受けて、米国の医療保険会社の株価が大きく下落しています。「メディケア・フォー・オール」は米国の医療保険制度を根本から変えるもので、現時点ではさまざまな抵抗により導入は容易ではないといえますが、短期的にはヘルスケア関連株式の株価変動を大きくする可能性があると見ています。

米・民主党が「メディケア・フォー・オール」法案を提出

2019年2月末以降、米国では、民主党議員が国民皆保険制度「メディケア・フォー・オール」の法案を提出したことを受けて、米国の医療保険制度の不透明感が高まったことなどから、ユナイテッド・ヘルス・グループ(米国)などの医療保険会社の株価が大きく下落しています(医療保険会社はヘルスケア・プロバイダー/サービス株式に含まれます)(図表1参照)。

 

[図表1]米国ヘルスケア・プロバイダー/サービス株式、米国ヘルスケア株式、米国株式のパフォーマンス推移

 

日次、ドルベース、期間:2018年12月31日~2019年3月4日  ※米国ヘルスケア・プロバイダー/サービス株式、米国ヘルスケア株式:S&P500各業種・産業指数、米国株式:S&P500種株価指数 出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成
 
日次、ドルベース、期間:2018年12月31日~2019年3月4日
※米国ヘルスケア・プロバイダー/サービス株式、米国ヘルスケア株式:S&P500各業種・産業指数、米国株式:S&P500種株価指数
出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成

 

現在、米国の医療保険制度は「メディケア(主に65歳以上の高齢者と身体障害者向け)」、「メディケイド(低所得者向け)」などの公的医療保険と、民間医療保険で成り立っていますが、「メディケア・フォー・オール」は、それをすべて公的医療保険にすることを目指す衝撃的な法案です。

「メディケア・フォー・オール」の導入は難しい?

確かに「メディケア・フォー・オール」制度は、理屈の上では、理想的な制度かもしれません。ただし、米国の医療保険制度は非常に複雑で、「メディケア・フォー・オール」のような制度を導入することは容易ではなく、また導入には多くの抵抗を受けると思われます。

 

非営利団体カイザー・ファミリー・ファンデーションが1月に実施した調査によると、米国の人々は「メディケア・フォー・オール」の考え方自体には賛同しているものの、米国の約半数の人が雇用主により提供される民間の健康保険に加入していることもあり、現在、受けている民間の健康保険の補償を手放すことには同意していないようです。

 

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さらに、民主党の「メディケア・フォー・オール」法案では説明されていませんが、納税者が負担する国民皆保険の費用は数十兆ドルに達するとみられ、このことも「メディケア・フォー・オール」の導入を阻む要因となると思われます。

公的医療保険におけるアウトソースの動き

また、米国ではここ数年間、税収による収入と支払いを一致させることの不透明感に対応するため、公的な医療保険のリスクを民間のマネージド・ケア(管理医療)にアウトソースする動きが進んでいます。「メディケア・フォー・オール」においてもこの動きが継続されれば、このようなサービスを提供するユナイテッド・ヘルス・グループ(米国)のような医療保険会社にとっては好機となる可能性があります。

「メディケア・フォー・オール」は短期的に株価変動を大きくする要因に

「メディケア・フォー・オール」については、現時点では実現の可能性は低いと思われますが、短期的には市場からの注目を集めて、株価の変動を大きくする可能性があります。

 

一方、民間医療保険が薬剤給付管理会社(PBM)を通じて行っているように、メディケアなどの公的医療保険にも価格交渉を可能にするような制度改革は注視する必要があります。

 

公的医療保険が価格交渉できるようになれば、あまり差異のない治療薬を作っている医薬品企業にとっては、すでに同様の価格圧力を民間医療保険会社から受けていますが、脅威となり、薬価の下落に直面する可能性があります。

 

このような中では、医薬品市場では差別化(他社を上回る効果が得られるような革新的な医薬品を提供すること)が非常に重要であるとピクテは考えています。

 

当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『米国の国民皆保険「メディケア・フォー・オール」法案について考える』を参照)。

 

※データは過去の実績であり、将来の運用成果等を示唆あるいは保証するものではありません。また、記載されている個別の銘柄・企業については、あくまでも参考であり、その銘柄・企業の売買を推奨するものではありません。

 

※将来の市場環境の変動等により、上記の内容が変更される場合があります。

 

(2019年3月7日)

 

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ピクテは1805年、スイス、ジュネーブにおいて会社創設以来、一貫して資産運用サービスに従事し、運用サービスに特化したビシネスモデルを展開してまいりました。信用格付ではフィッチ・レーティングスからAA-の格付けを取得しております(2018年5月末現在)。注:上記の格付はピクテ・グループの銀行部門の債務の信用に対するもので、運用部門や運用能力に関するものではありません

1981年、日本経済や株式市場の調査を目的に東京事務所を設立しました。その後、1987年から機関投資家を対象とした資産運用サービス業務を開始、1997年には投資信託業務に参入し、運用資産総額は1.98兆円となっています(2018年12月末現在)。外資系運用機関の大手の一角として、特色ある資産運用サービスをお届けしております。

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