ようやく公表の米国GDP、今後の成長は政治が左右する展開に?

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米政府機関閉鎖の影響で公表が遅れていた10-12月期GDP成長率は前期から減速するも、設備投資が回復したことなどを受け市場予想は上回りました。もっとも、公表時期が遅れた分、今回のGDPは新鮮味に欠けています。市場の関心は、米国の次の成長に向かっていますが、今後の成長は通商政策など政治に左右される展開も想定されます。

米国10-12月期GDP:速報値は年率2.6%増と減速するも、市場予想を上回る

米商務省が2019年2月28日に発表した18年10-12月期の実質GDP(国内総生産)速報値は、前期比年率で2.6%増と、市場予想(2.2%増)を上回るも、前期(7-9月期)の3.4%増を下回りました(図表1参照)。

 

[図表1]米国GDP成長率と主な項目の寄与度

018年7-9月期(Q3、左)、10-12月期(Q4、右)、GDPは前期比年率
018年7-9月期(Q3、左)、10-12月期(Q4、右)、GDPは前期比年率
出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成

 

 商務省のコメントでは、GDP成長率のプラス要因として個人消費、企業設備投資、輸出の回復を指摘する一方、マイナス要因として住宅投資と輸入を挙げています。

どこに注目すべきか:米10-12月期GDP、GDPナウ、景気後退

米政府機関閉鎖の影響で公表が遅れていた10-12月期GDP成長率は前期から減速するも、設備投資が回復したことなどを受け市場予想は上回りました。もっとも、公表時期が遅れた分、今回のGDPは新鮮味に欠けています。市場の関心は米国の次の成長に向かっていますが、今後の成長は通商政策など政治に左右される展開も想定されます。

 

まず、10-12月期GDPの主なプラス項目を振り返ると、12月の米小売売上高が大幅に低下したことから、ある程度の減速は想定されましたが、寄与度で見れば+1.9%と前期に比べ低下しているものの、米国の成長を下支えしました。

 

非住宅投資は設備投資が前期比年率で+6.2%と伸びたことがプラス貢献しています。内容を見るとソフトウェアが二桁の伸びを記録するなど、知的財産投資が堅調でした。

 

一方で、主なマイナス要因は引き続き住宅投資で、4四半期連続でマイナスとなりました。足元低下しましたが借入金利の上昇が悪影響を与えたと見られます。

 

やや古いGDPなので、話を今後に移します。目先の話題として、3月1日にアトランタ連銀がリアルタイムの19年1-3月期米国GDP成長率(GDPナウ)を発表、前期比年率が0.3%増と算出されました。商務省が正式公表する(本当の)1-3月期GDPは4月26日に公表されます。GDPナウは関連するデータによる推定値であるため、当初(3月1日が1-3月期推定値の開始)データと商務省のGDPデータが相違することは珍しくなく、今後の経済データを待つ必要があります。ただ、似たようなコンセプトでニューヨーク連銀(ナウキャスト)もリアルタイムGDPを算出していますが、こちらも今のところ1-3月期成長率は同0.9%程度です。これらの数字から1-3月期の米GDPは若干の減速も考えられます。

 

ただ、4-6月期には急激な低下の反動も期待され、潜在成長率(2%程度)を上回る成長を確保するとの見方が大勢であると思われます。

 

 

さらに2019年後半まで見越せば、堅調な雇用市場が続き、個人消費が底堅いと見られることから、2%台の成長は確保する可能性があると見ています。

 

ただ、市場でも一部懸念されているように米国が景気後退に向かうシナリオも完全には無視できないと思われます。例えば、中長期の米国景気先行指標(図表2参照)は昨年9月頃から下を向き始めています。堅調な内需を考えると、急落の可能性は高くないと見ますが注視は必要です。

 

[図表2]コンファレンスボードの米景気先行指数の推移

月次、1990年1月~2019年1月、前年同月比 出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成
月次、1990年1月~2019年1月、前年同月比
出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成

 

そうなると、政治の対応も大切です。メディアでは米中貿易戦争で導入された関税の撤廃までもが観測記事として報道されていますが、何らかの緊張緩和を想定しています。
 

 

当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『ようやく公表の米国GDP、今後の成長は政治が左右する展開に?』を参照)。

 

(2019年3月4日)

 

 

梅澤 利文

ピクテ投信投資顧問株式会社
運用・商品本部 投資戦略部 ストラテジスト

 

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ピクテ投信投資顧問株式会社
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日系証券会社のシステム開発部門を経て、外資系運用会社で債券運用、仕組債の組み入れと評価、オルタナティブ投資等を担当。運用経験通算15年超。ピクテでは、ストラテジストとして高度な分析と海外投資部門との連携による投資戦略情報に基づき、マクロ経済、金融市場を中心とした幅広い分野で情報提供を行っている。経済レポート「今日のヘッドライン」を執筆、日々配信中。CFA協会認定証券アナリスト、日本証券アナリスト協会検定会員(CMA)

著者紹介

ピクテは1805年、スイス、ジュネーブにおいて会社創設以来、一貫して資産運用サービスに従事し、運用サービスに特化したビシネスモデルを展開してまいりました。信用格付ではフィッチ・レーティングスからAA-の格付けを取得しております(2018年5月末現在)。注:上記の格付はピクテ・グループの銀行部門の債務の信用に対するもので、運用部門や運用能力に関するものではありません

1981年、日本経済や株式市場の調査を目的に東京事務所を設立しました。その後、1987年から機関投資家を対象とした資産運用サービス業務を開始、1997年には投資信託業務に参入し、運用資産総額は1.98兆円となっています(2018年12月末現在)。外資系運用機関の大手の一角として、特色ある資産運用サービスをお届けしております。

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