仕事と子育ての両立を考えるなか、ストレスに感じやすい「離乳食作り」。時間が足りない、食べてくれない、栄養バランスは…色々考えてイライラと不安でいっぱいになっている方も多いのではないでしょうか。本連載は、小児科医であり2児の母でもある、工藤紀子氏の著書『小児科医のママが教える 離乳食は作らなくてもいいんです。』(時事通信社)のなかから一部を抜粋し、市販の離乳食を活用しながら育児を楽しむ方法を紹介します。今回は、「手作り離乳食」の問題点を解決してくれる「市販の離乳食」のメリットを見ていきましょう。

手作り離乳食よりも「市販の離乳食」のほうが安全

市販の離乳食を活用するとどんなメリットがあるのか、手作り離乳食と比べながら考えてみましょう。

 

「離乳食作り」から解放されると、じつはこんなよいことがあるのです。

 

手作り離乳食の問題点①

 

調理に手間と時間がかかり、衛生面の管理が難しい

 

◎細かくきざむ、すり鉢でする、網で裏ごしすetc.手間と時間がかかる

 

 

離乳食を作ろうと思ったとき、「離乳食作りキット」を買って来る方もいらっしゃるでしょう。このキットには、すり鉢、こすための網、食材をつぶすための道具などが入っています。

 

これらを使って離乳食を作るとなると、思っているよりずっと手がかかります。終わった後は、すり鉢の目地や細かい網につまった食材をきれいに掃除するのも大変です。

 

◎少量なので焦げやすい

 

作るものはごく少量なので、通常の調理に比べて断然焦げやすく、つねにお鍋のそばにいないといけません。

 

◎衛生面の管理をしっかりしないといけない(まな板、包丁、食器の消毒)

 

食事を作るときに適切な手洗いや洗浄をしていないために、菌やウイルスが食べ物に付着し、それを口に入れてしまうことがあります。

 

大人の場合は、「ちょっとお腹痛いな」「ちょっとお腹がはるな」「ちょっとムカムカするな」という程度ですむものも、子どもは激しい嘔吐や下痢になり、ひどい場合は脱水症状を起こし、血便が出て、最悪のケースでは死にいたることもあるため、食材の扱いには厳重な注意が必要です。

 

離乳食を作る際は、衛生面の管理を徹底しなくてはなりません。

 

●手洗いをしっかりすること

●生肉や生魚をさわった手で、そのまま蛇口やフライパンなどの取っ手や食器にふれない、もちろん子どもにもふれないこと

●包丁、まな板はこまめに洗うこと

●生肉や生魚を切った後は、エタノールや次亜塩素酸ナトリウムで消毒するか、熱湯消毒を行うこと

●生肉や生魚から出た水分が周囲に飛んで汚染しないように気をつけること

●野菜も必ず水洗いすること

 

これらすべてに気をつけながら離乳食調理を行わないといけません。

 

離乳食作りの本を見ると、「まとめて1週間分作るフリージングレシピ」なども散見されます。この場合は、冷凍保存をするのでよりいっそう、衛生面に気をつけないといけません。

 

1週間分をまとめて作るには、それなりの時間も必要です。週末や休みの日は離乳食作りのための買い物や調理に3時間くらいかける、ということになるでしょう。

 

そういう時間を確保するのもなかなか難しいことです。

 

私だったら、3時間あるなら寝たい! そう思います。

 

「買う離乳食」ならここが解決①

 

手間も時間もかからず、楽・早い・安全・保存ができる

 

◎調理ずみなので、いつでもどこでも「5秒で離乳食」が可能

 

 

食の安全や衛生面に配慮して作られた離乳食が、スーパーマーケット、ドラッグストア、そしてネットでも簡単に手に入ります。

 

これを「買って、開けて、食べさせる」

 

これだけですから、とても手軽で便利。思い立ったらいつでもどこでも、「5秒で離乳食」です。

 

◎厳格な衛生管理が行き届いた工場で作られているので、安心して食べさせられる

 

市販の離乳食は安全にも十分配慮されています。無菌状態で充填されていますから、開けてすぐ食べた場合、食中毒が発生する危険性はほぼゼロです。

 

子どもに離乳食をあげる前にママが手を洗うことはもちろん必要ですが、何度も手を洗うことも、何度も包丁を洗うことも、何度も除菌スプレーで台所を清潔にする必要もありません。

 

◎赤ちゃんが食べやすい形状に工夫されている

 

「細かくきざむ」「やわらかくなるまで煮込む」「すりつぶす」「すりおろす」「裏ごしする」「ほぐす」「あえる」「とろみをつける」といった、手間のかかる調理をすべて、ママの代わりにやってくれています。

 

◎無菌で作られているため、長期常温保存ができる

 

長期常温保存が可能なので、家にストックしておくことができます。災害時に大人用の炊き出しはあっても、離乳食の炊き出しはないので、いざというときに備えておくと安心ですね。

「手作り離乳食」だと栄養にも偏りが…

手作り離乳食の問題点②

 

栄養が偏りやすい、成長に欠かせない鉄や亜鉛が不足しやすい

 

◎毎回ほとんど同じ食材ばかりになりがち

 

 

これは大人の食事にも言えることですが、うちで作る料理はどうしてもワンパターンになりがちですよね。いくつか決まったメニューがあって、そのくり返し。ただ、大人の場合は外食もできますし、いろいろなお惣菜が販売されているので、なんとかバランスがとれているのだと思います。

 

しかし赤ちゃんの場合はそうはいきません。「栄養面を考えて、いろんな食材をバラエティ豊かに」と思っても、離乳食に使う量自体がすごく少ないので、せっかく買った肉や魚、野菜などをムダにすることも多くあるでしょう。

 

そうなると、使いやすい食材ばかり使うことになり、昨日も一昨日も今日も同じメニューというのはありがちです。実際私も「トマト納豆モロヘイヤご飯」が何日も続いたことがあります。

 

子どもに必要な栄養が十分摂れていない、とうすうす気づいていても、何がどれくらい不足しているのかがわかりにくいので、改善のきっかけをつかめないということがよくあります。

 

◎レバー、肉類には鉄分や亜鉛が多く含まれているが、調理しにくい、子どもが食べにくい

 

鉄や亜鉛を豊富に含む食材は調理しにくい、というのは私も経験を通じて実感していることです。

 

まずレバーに挑戦したときは、新鮮なレバーを手に入れるためにお肉屋さんへ行き、ごく少量だけ購入しました。そしてそれを、衛生面に十分に気をつけながら、使い捨ての手袋をつけて下処理をして、やっとのことでレバーが入った何か(忘れましたが 笑)を作ったのですが、子どもはまったく食べてくれませんでした。

 

このレバーですが、今思えば、大人用に食べる分も考えて、もっとたくさん購入すればよかったと思います。

 

そしてあとで学んだのですが、レバーの場合、鮮度は関係ないそうです。どうあっても、サルモネラ菌やカンピロバクターなどの菌が付着しているので、衛生管理をしっかりしないといけないのです。

 

「新鮮だから食中毒にならない」は、まちがった情報です。

 

その後、いろいろなお肉に挑戦しましたが、衛生管理が難しいうえ、子どもが好む形状にしたりトロミをつけたりするのが難しく、食べさせるのにもとても苦労しました。

 

「買う離乳食」ならここが解決②

 

メニューの種類が豊富であり、鉄や亜鉛が上手にとれる

 

◎プロの栄養管理士がレシピを作成しているので、栄養価が高く、バランスもよい

 

市販の離乳食は非常に種類豊富で、バリエーションに富んでいます。素材にこだわった、手作りに近い離乳食もたくさんあります。

 

一つのメーカーだけにしぼらずに、さまざまなメーカーのものを食べることにより、よりバランスよく栄養が摂れます。

 

◎摂取しにくい栄養素(鉄・亜鉛)を加えた製品がある

 

摂取しにくい鉄・亜鉛に関しても、レバーやお肉を食べやすいように調理された製品がいろいろとあります。菌やウイルス混入の心配もなく安全面でも安心です。

 

鉄や亜鉛を添加している離乳食も数多くあります。これは海外製品に多く見られる傾向です。

 

先ほどから鉄や亜鉛としつこく話に出ていますが、これらの栄養素は子どもの発達には欠かせないものなのです。特に、鉄は鉄欠乏状態になることによって、落ち着きがなくなったり、癇癪を起こしやすくなることもあります。

 

以前は「イライラしたらカルシウム不足」なんて言われていましたが、本当は「イライラは鉄不足」が原因の可能性があります。

 

鉄は一度体内からなくなると補充されるまで数カ月かかるため、離乳食を開始したら鉄の豊富な食材を食べる必要があります。これが市販の離乳食だと、簡単に安全に、よりおいしく、子どもに与えることができるのです。

 

 

 

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