大手取引所の価格変動が、市場全体に与える影響は甚大
BULLヒロです。「3分で分かる仮想通貨」という、仮想通貨情報サイトを運営しております。
第31回以降のテーマは「仮想通貨トレードの知識」です。実際に仮想通貨を売り買いする上で必要な知識を解説していきますが、今回は「ビットコイン証拠金取引ポジションによる値動きへの影響」についてお話しします。
今回から10回程度は、仮想通貨トレードをすでに行っている方であれば誰でも知っている知識を紹介します。基礎中の基礎情報ですので、もし読んでいて知らなかったことがあれば、誤った判断基準で銘柄を売り買いしてしまう可能性があるので、これから仮想通貨を始める方や、始めたばかりの方はしっかり確認してください。
前回、ビットコインは証拠金取引が増加しており、その影響で独特の値動きをしていると解説しました。今回は、実際の影響や値動きについて解説します。
◆取引所が値動きに与える影響
前回でも解説しましたが、ビットコイン取引には中央取引所が存在しないため、利用者の需給のみで価格が決まります。一時期は、取引所ごとに価格が20%近く異なることを利用し、価格の違う取引所に送金して転売をする「アビトラージ」という手法も流行しました。
大抵の取引所では、世界的な平均価格との差が開いたとしても、その影響は限定的です。しかし、ビットコインの売買において、出来高のシェアが大きい取引所はその限りではなく、価格変動がほかの取引所へも影響し、全体的な下落や上昇のきっかけになっています。
現時点で最も影響力の高い取引所は、「BitMEX」、「Bitfinex」、「bitFlyer」です(2019年2月現在)。影響の大きい順に書きましたが、順位は常に入れ替わると考えられます。
◆取引所のポジションを個別に確認して影響を予測
そして、この取引所の値動きに大きく影響するのが、各取引所の証拠金取引のポジション状況です。証拠金取引では、買い注文を「ロング」、売り注文を「ショート」といいます。
各取引所のロングとショートのポジション残の確認には、TradingViewというチャートツールを活用しています。TradingViewのインジケーター(分析機能)に機能検索欄があり、「Short」と検索すると「各取引所の名前 Long&Short」がでてきます。選択すると、時間ごとのポジション推移が表示されます。
ショートポジションの集中が価格上昇のきっかけに?
◆ポジションの傾きが価格推移に影響
先物ポジションは、価格上昇を予測した場合にはロングが増え、下降の予測が多いとショートが増加します。
例えば、ショートポジションが集中する場合は、多くの人が「価格が下がる」と予測している状態なので、一見するとこのまま下落するようにも見えます。しかし、ショートポジションが多いということは今後の価格上昇のきっかけとなるため、一概に下落予測を肯定する指標ともいえません。
というのも、ショートポジションをクローズするときには必ず「買い注文が入る」からです。つまり、多くの人がショートポジションをとりたいと考えたとき、価格上昇のきっかけになるのです。
多くの人が「ショートポジションのクローズ」を決断する場面として、下落相場における価格上昇で発生した損失に耐えられない、または予想通り大きく下落したので利益を確定したい、という2パターンが考えられます。
実際の売買では、どの価格帯で反対決済が発生しやすいかを予測して取引しています。ご参考までに。