ブラジル、当面は様子見か

ピクテ投信投資顧問株式会社が、日々のマーケット情報を分析・解説します。※本連載は、ピクテ投信投資顧問株式会社が提供するマーケット情報・ヘッドラインを転載したものです。

 

2018年10月の大統領選挙に向けたボルソナロ氏への市場の期待を反映してレアル高の進行が見られました。発足したボルソナロ新政権への支持率は高く、期待は維持されていると見られますが、レアルは様子見となっています。ブラジル中銀の声明も市場を忍耐強く静観する姿勢で、政策金利は当面据え置かれることが想定されます。

ブラジル中央銀行:市場予想通り政策金利を6.5%に据え置き、改革の必要性を指摘

ブラジル中央銀行は2019年2月6日(日本時間では7日早朝)政策金利を市場予想通り、過去最低の6.5%に据え置くことを公表しました。

 

ブラジル経済に残る余剰(スラック)がインフレ率の下方要因となる期待がある一方で、議会によるコスト削減策の承認の必要性を指摘するなど、インフレ率について上下両方向の可能性があるとの見解を示しました。

どこに注目すべきか:レアル、年金改革、下院議長、受給資格

18年10月の大統領選挙に向けたボルソナロ氏への市場の期待を反映してレアル高の進行が見られました。(図表1参照)。発足したボルソナロ新政権への支持率は高く、期待は維持されていると見られますが、レアルは様子見となっています。ブラジル中銀の声明も市場を忍耐強く静観する姿勢で、政策金利は当面据え置かれることが想定されます。

 

[図表1]ブラジル・レアル(対ドル)の推移

日次、期間:2018年2月14日~2019年2月11日 出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成
日次、期間:2018年2月14日~2019年2月11日
出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成

 

声明で指摘された様子見の主な背景は次の通りです。

 

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まず外部要因の不透明さです。具体的には米中貿易戦争と、英国の欧州連合(EU)離脱を挙げ、グローバル経済の成長を減速させる懸念もあり展開を見守る必要があります。

 

ブラジル中銀の内部要因として、体制の移行が挙げられます。ゴールドファイン総裁の下での政策会合は今回が最後となる公算が大きい中、新体制移行に向けた様子見とも見られます。ブラジル上院は、ボルソナロ大統領が指名したロベルト・カンポス・ネト次期総裁候補を承認する見通しです。今思えば、16年にゴールドファイン総裁が就任した時の金融政策も同様の理由で据え置かれました。

 

最後に、そして据え置きの最も大切な理由として、これから本格化する構造改革、とりわけ年金改革の動向を見守る意向が働いたと見ています。

 

ボルソナロ新政権の構造改革に向けた滑り出しは好調です。所属する社会自由党(PSL)は少数ながら、上院、下院とも政策に(一部条件付)協力する政党は7割を超えています(図表2参照)。年金改革には憲法改正が必要で上院、下院共に6割の賛成が必要ですが、現在の協力姿勢が維持されるならば法案可決の可能性が期待されます。

 

[図表2]ブラジル議会の勢力分布、最近の動向

出所:各種報道等を参考にピクテ投信投資顧問作成
出所:各種報道等を参考にピクテ投信投資顧問作成

 

また議会運営の点で、今日のヘッドライン19年1月8日号で指摘した下院議長の人事も注目点と指摘しましたが、年金改革を支持するマイア氏が下院で再選されました。

 

 

ただ、年金改革に総論では賛成であっても、支給開始年齢など具体策はこれからで、今後の展開に不安もあります。

 

ブラジルの年金は緩やかな(優しい)制度設計で、原則、年金の受給資格が女性は55歳、男性は60歳で得られると言われています。テメル前政権は受給資格を男女とも65歳とする案を提示するも、激しい抵抗を受けた経緯があります。

 

そもそも市場がボルソナロ政権に期待するのは構造改革に対してですが、世論調査を見ると汚職の撲滅への期待(支持)が最も高く、市場と相違がある点も気がかりです。

 

ブラジル中銀は中長期的なインフレ低下には構造改革によるコスト低下が必要と繰り返しています。ただ、忍耐も必要なだけに、年内据え置きの可能性を見ています。
 

 

当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『ブラジル、当面は様子見か』を参照)。

 

(2019年2月12日)

 

 

梅澤 利文

ピクテ投信投資顧問株式会社
運用・商品本部 投資戦略部 ストラテジスト

 

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ピクテ投信投資顧問株式会社
運用・商品本部 投資戦略部 ストラテジスト 

日系証券会社のシステム開発部門を経て、外資系運用会社で債券運用、仕組債の組み入れと評価、オルタナティブ投資等を担当。運用経験通算15年超。ピクテでは、ストラテジストとして高度な分析と海外投資部門との連携による投資戦略情報に基づき、マクロ経済、金融市場を中心とした幅広い分野で情報提供を行っている。経済レポート「今日のヘッドライン」を執筆、日々配信中。CFA協会認定証券アナリスト、日本証券アナリスト協会検定会員(CMA)

著者紹介

ピクテは1805年、スイス、ジュネーブにおいて会社創設以来、一貫して資産運用サービスに従事し、運用サービスに特化したビシネスモデルを展開してまいりました。信用格付ではフィッチ・レーティングスからAA-の格付けを取得しております(2018年5月末現在)。注:上記の格付はピクテ・グループの銀行部門の債務の信用に対するもので、運用部門や運用能力に関するものではありません

1981年、日本経済や株式市場の調査を目的に東京事務所を設立しました。その後、1987年から機関投資家を対象とした資産運用サービス業務を開始、1997年には投資信託業務に参入し、運用資産総額は1.98兆円となっています(2018年12月末現在)。外資系運用機関の大手の一角として、特色ある資産運用サービスをお届けしております。

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