フェラーリはOK⁉ 「会社の経費計上」のボーダーライン

今回は、会社の経費計上が認められる基準を、過去の事例を基に解説します。※本連載は、税理士・さいたま新都心税理士法人代表社員 松波竜太氏の著書『ぶっちゃけ税理士が教える 確定申告のいちばん得するスゴ技』(宝島社)から一部を抜粋し、経費についての考え方とよく使われる節税手法を解説します。

当初「フェラーリ」は経費として認められなかったが…

どんな経費が認められて、どんな経費が認められないか。裁判での判決を追いながら検証しましょう。

 

実は先ほどの売上原価や給料、賃金のように、間違いなく経費として認められる支出はそう多くありません。9割以上の支出は「グレー」。経費として認められるか、認められないかに明確な基準がないものがほとんどです。さらに、副業として行っている場合には、「本業」のために使う支出も経費にはならないので気をつけなければなりません。

 

たとえば、仕事相手と行った飲み会でも、仕事の話を一切していなければ、それは「収入を得るために直接要した費用」とはいえません。一方で、友人と行ったゴルフでも、1日一緒に回っているうちに「最近どんな仕事しているの?」という話になり、仕事を紹介してもらったり、仕事上の有益な情報をもらったり、はたまた回り終わった頃には「一緒に仕事しましょう」となっていることもあります。

 

このような場合には経費とも考えられます。このように、多くの経費は「必ず認められる・認められない」と決められないものがほとんどなのです。

 

節税は、この部分に工夫の余地があります。個人事業をしていると、同じ支出であっても、プライベートのものとビジネスのものとが混在することがほとんどでしょう。こうした場合、すべて必要経費として認められないわけではなく、取引の記録などに基づき、「業務遂行上直接必要であったことが明らかに区分できるもの」は必要経費に計上できます。簡単に言うと、「このような理由から、この支払いは経費である」としっかり説明ができ、税務署に納得してもらえれば、経費になるのです。

 

フェラーリが経費に認められた、平成7年10月12日の国税不服審判所の裁決があります。ある会社に税務調査が入り、通勤用および業務用として使用していた2,700万円のフェラーリが当初「社長の私的利用を目的とした購入であり、経費として認められない」とされましたが、その後経費に認められたのです。高級車に乗れて経費にもできる、夢のような判決が下された理由は以下のとおりです。

 

1. そのフェラーリに、社長は通勤等で、車検を受けるまでの3年間に約7,600km乗っていた

 

2. この会社は会長用にロールスロイス、役員用にベンツを所有しており、高い車にしていたのは安全性や乗り心地、お金が必要になったときに高く売れるため

 

3. 社長は出張にもフェラーリで行っており、他の交通機関を使用するための旅費は受け取っていない

 

不服審判所は、仕事でフェラーリに乗ることは社長の個人的趣味であるとしながらも、事業に使用していたと言えるので経費と認めました。ちなみにフェラーリの3年で走行距離7,600kmとは、年間約2,500km、1月200㎞、月の営業日が22日として1日平均10km走っていたことになります。それだけ仕事で走っているならばと、認められたことになります。

 

<ポイント>

フェラーリのような高級車でも、事業に使っていることがはっきりすれば経費になる

家族と食べた焼き肉や鰻は「健康管理」の一貫に?

フェラーリのような高級車が認められる一方で、外食費が認められないケースもあります。あるプロ野球選手が認められなかったケースとは。

 

フェラーリが経費として認められた一方で、以下のように巨額の経費が認められなかったケースもあります。

 

元プロ野球選手が、現役の2010年から2013年までの3年間で約4,200万円の申告漏れを指摘され、約1,800万円の追徴税を課されたとニュースになりました。

 

プロ野球選手というと、所属する球団の社員のように思えますが、野球選手は球団には属しているものの、サラリーマンのように球団が雇用している形ではなく、その扱いは「個人事業主」になります。そのため確定申告も自分で行う必要があります。

 

この野球選手は家族と食べた焼き肉や鰻など外食の費用の他に、食料品や高級紳士服、腕時計、女性用アクセサリーなども必要経費として計上し、自宅の警備やクリーニングの費用も加えていたとされます。

 

選手は「プロ野球選手は厳しいトレーニングのために一般成人の2倍以上の栄養摂取が必要で、食事の支出は『健康管理費』に当たる」と主張したそうですが、それらの支出は生活上の個人的なものであり、経費には当たらないとされ、追徴課税がなされました。

 

経費の範囲は広いですが、さすがになんでも経費に認められるわけではありません。食事に関しては、仕事相手と一緒だったなどでない限り「食事は誰でもする」と、プライベートと認定されます。とくに1人で食べた食事などは経費になりません

 

ただ、原稿を書くためやメールをするためにカフェに入って飲んだ飲み物代などは、仕事のために使った経費ですので、必要経費となります

 

なお、経費として認められるかどうかの基準によく「社会通念上」という言葉が用いられます。社会常識に照らしておかしくないか、が焦点になります。

 

なお、先の野球選手の主張の多くは経費に当たらないとして却下されましたが、自宅の一部の減価償却費などは必要経費として認められたものもあります

 

<ポイント>

社会常識からかけ離れた経費は認められない

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税理士 さいたま新都心税理士法人 代表社員

独立前に担当した会社の社長が資金繰りに悩みこの世を去ったことにショックを受け、それまで机上で勉強した財務戦略が全く役に立たないことを痛感、本気で中小企業の財務戦略について考える。
その後独立し、勤務時代も含め税理士として15年、会計事務所業界で20年以上のキャリアの中で、300社以上の中小企業に関与し、特に資金繰りと銀行交渉についてサポート。
「決算書が読めない経営者でも銀行交渉ができる」をコンセプトに説明資料の準備から、アピールすべき点、想定される質問、さらには交渉の継続判断など具体的な「次の一手」をアドバイスし、手元資金を顧問契約締結前の最大17倍(平均3倍)、金利を1/2以下にするなどの実績により、中小企業経営者から絶大な信頼を得ている。著書に『借入は減らすな! 』(あさ出版)がある。

著者紹介

連載その「経費」は認められるか⁉ 税理士が教える「得する節税テクニック」

ぶっちゃけ税理士が教える 確定申告のいちばん得するスゴ技

ぶっちゃけ税理士が教える 確定申告のいちばん得するスゴ技

松波 竜太

宝島社

現在、「フリーランス」「個人事業主」「自由業」といった自由な働き方が年々増加傾向にあり、日本の人口の約1割、10人に1人がフリーランスで、確定申告をする必要があります。 一方、社員として働いていても年間20万円を超え…

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