今回は、ビットコイン取引のカギとなる「マイナー分布」について見ていきます。※本連載では、仮想通貨FXトレーダー向けサイト「3分で分かる仮想通貨」を運営するBULLヒロ氏に「仮想通貨投資」の基礎知識について解説していただく。

ビットコイン価格に影響を及ぼすのは「大手マイナー」

BULLヒロです。「3分で分かる仮想通貨」という、仮想通貨情報サイトを運営しております。

 

第31回以降のテーマは「仮想通貨トレードの知識」です。実際に仮想通貨を売り買いする上で必要な知識を解説していきますが、今回は「マイナーとビットコイン価格の関係」についてお話しします。

 

今回から10回程度は、仮想通貨トレードをすでに行っている方であれば誰でも知っている知識を紹介します。基礎中の基礎情報ですので、もし読んでいて知らなかったことがあれば、誤った判断基準で銘柄を売り買いしてしまう可能性があるので、これから仮想通貨を始める方や、始めたばかりの方はしっかり確認してください。

 

◆ビットコインマイナーとは?

 

マイニング(採掘)するコンピューターが計算や承認処理を行うことで、ビットコインは機能を維持しています。マイナー(採掘者)には、個人や資本力のある大手などがいます。もちろん、大量のマイニングマシーンを保有する大手マイナーのほうが、ビットコイン価格に大きな影響を及ぼすと考えられます。

 

しかし、マイナーの分布を表した下記図表を見てみると、2019年1月現在では小規模なマイニングマシンによるマイニング(図のUnknown)が最も多くなっています。大手マイナーとしては、BTC.com、AntPoolが続いています。

 

[図表]ハッシュレート分布(推定)

(出所: 2019 BLOCKCHAIN LUXEMBOURG S.A.)
出典:2019 BLOCKCHAIN LUXEMBOURG S.A.(https://www.blockchain.com/)

価格の下落に伴いマイナーの離脱も危惧されていたが…

◆ビットコインマイナーが損益分岐点でマイニングを止める?

 

ビットコインのマイニングは、高性能のマイニングマシンが必要で電気代もかかるため、その他の通貨(アルトコイン)と比べると採掘難易度が高いといわれています。それなりの投資金額が求められることからも、損益分岐点は高くなっています。

 

2018年の後半には、損益分岐点は70万円前後が妥当という説が有力で、その価格を割るとマイナーの離脱が相次ぐだろうと予想されていました。実際にビットコイン価格が70万円を下回った際には、マイナー構成比に大きな変化がありました。

 

それでも、BTC.comなどがマイニングを続けているのは、各マイナーごとに損益分岐点の違いがあるからでしょう。マイニングを開始した時期によって機材の減価償却度も違いますし、マイニングしている地域により家賃や電気代なども異なります。

 

現在40万円前後を推移しているビットコインですが、さらに下落すると、現在活動を続けているマイナーも、損益分岐点を下回ってしまう可能性があります。その際には、どのようなことが起きるのでしょうか。

 

◆マイナーが移動するときに価格下落は発生しやすい

 

損益分岐点を下回ると、マイナーは事業撤退か、アルトコインのマイニングへの移行を迫られることになります。同じマイニングマシンでアルトコインの採掘が可能なため、基本的には移行を選択するマイナーが多いでしょう。この際に何が起きるかというと、マイナーが大量に保有していた仮想通貨の売却です。

 

新しくマイニングする通貨は、保有量に応じて有利になるケースもありますが、初期投資は必要となります。そのため、マイナーは必ず事業撤退か移行かという意思決定を迫られます。つまり、ビットコインは損益分岐点と考えられる価格を下回ると、下落に拍車をかけやすい性質を持っているのです。

 

このことを理解すると、過剰な売却が発生することを狙った買い入れや、損益分岐点を割った時点での空売り(ショート)取引が狙いやすくなるでしょう。

 

本メディア並びに本メディアの記事は、投資を促したり、特定のサービスへの勧誘を目的としたものではございません。また、投資にはリスクがあります。投資はリスクを十分に考慮し、読者の判断で行ってください。なお、執筆者、製作者、合同会社幻冬舎ゴールドオンライン、幻冬舎グループは、本メディアの情報によって生じた一切の損害の責任を負いません。

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