11月の投資環境
11月の世界株式市場は、MSCI世界株価指数(現地通貨ベース)で上昇しました。
世界の株式市場は、10月の大幅な下落からの買戻しの動きや、米中間選挙の結果が概ね予想通りであったことなどから、上旬にかけては上昇傾向となりました。しかし中旬はハイテク銘柄の今後の業績に対する不安が台頭し、原油価格の下落でエネルギー関連株が売られたことから軟調な展開となりました。月末にかけては、クリスマス商戦が堅調なスタートとなったことや、パウエル米連邦準備制度理事会議長の発言を受け、予想よりも利上げ終了時期が近いとの見方が強まったことなどを受けて反発し、月を通じては上昇しました。 業種別では、金利上昇懸念が和らいだことから、公益セクターが市場全体を上回る上昇率となりました。また、景気敏感セクターの資本財・サービスも市場全体を上回る上昇率となりました。
[図表1]水関連企業の株価推移
こうした中、水関連企業の株価(現地通貨ベース)は市場を上回る上昇となりました。全セクターで上昇となるなか、装置製造エンジニアリングセクターが最も大きく上昇しました。装置製造エンジニアリグセクターは、産業関連や地方自治体インフラ関連の最終市場が依然として成長トレンドであることが企業の決算発表により示された事などから、主に地方自治体インフラとモニタリング関連の企業の上昇にけん引され、10月の下げ幅を取り戻しました。
[図表2]水関連企業の株価収益率(PER)の推移
上下水道ビジネスセクターもまた、米国の規制下の水道公益事業銘柄の多くが第3四半期決算で期待を上回る結果を発表したため、良好なパフォーマンスとなりました。公益事業関連は、セクター・サイクルの恩恵を受け上昇しており、9月末以降では最も良好なリターンであり、また、9月以降でプラスのリターンとなっている2つのセグメントの一つです。また、新興国のコンセッション銘柄は、ポジティブな政治ニュースが市場の期待を下支えしました。
資産を「守る」「増やす」「次世代に引き継ぐ」
ために必要な「学び」をご提供 >>カメハメハ倶楽部
例えば、ブラジルで企業にとって支援的なボルソナロ氏が新大統領に選ばれたことや、米中の貿易摩擦問題がアルゼンチンで行われたG20首脳会合で議題として取り上げられ沈静化されたことなどから、市場は楽観的な見方をしています。
環境マネジメント・サービスセクターもまた上昇しましたが、同セクター内の廃棄物処理銘柄は良好なパフォーマンスだったものの、コンサルティング関連銘柄が重石となり、他のセクターを下回る上昇となりました。
今後の見通し
安定的だった世界のマクロ景気はここ数週間、既成秩序を揺るがす貿易戦争や金利上昇に関する懸念から不透明感が増しましたが、経済成長は堅調で企業の金利上昇や物価変動に対する対応力が増していることが最近の企業業績発表などを通じて明らかになっています。引き続き2018年通期の利益率拡大が見込まれることから足元の市場のボラティリティの高まりは銘柄のミスプライスをもたらし、魅力的な投資機会を与えるものと考えます。
水関連インフラへの投資は必要不可欠であり、中長期的に見ると、世界的に事業展開を行う水関連銘柄のファンダメンタルズは堅調であると考えます。温暖化の影響から世界的な気候変動によって引き起こされる干ばつや洪水の問題なども、水関連インフラへの投資を呼び起こしています。中長期的に水関連銘柄は引き続き魅力的な投資対象であると考えます。
※将来の市場環境の変動等により、当資料に記載の内容が変更される場合があります。
記載されている個別の銘柄・企業については、あくまでも参考であり、その銘柄・企業の売買を推奨するものではありません。また、当資料におけるデータは将来の運用成果等を示唆あるいは保証するものではありません。
当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『2018年11月の水関連株式市場』を参照)。
(2018年12月20日)
ピクテ投信投資顧問株式会社
カメハメハ倶楽部セミナー・イベント
【1/7開催】<令和7年度>
税制改正大綱を徹底解説
最新情報から見る資産運用への影響と対策
【1/8開催】オルカン、S&P500…
「新NISA」の最適な投資対象とは
金融資産1億円以上の方だからできる活用法
【1/9開催】2025年の幕開け、どうなる?日本株
長いデフレ環境を生き抜いたスパークスが考える
魅力的な企業への「長期集中投資」
【1/9開催】相続人の頭を悩ませ続ける
「共有名義不動産」の出口は“売却”だけじゃない!
問題点と最新の解決策を藤宮浩氏が特別解説
【1/12開催】相続税の
「税務調査」の実態と対処方法
―税務調査を録音することはできるか?
【見逃し配信special】