前回は、相続財産の分け方について解説しました。今回は、親の財産を把握するために、相続財産としてリストアップするべき現金、預金、不動産について見ていきます。

現金や預金は「おおよその額」を把握すれば大丈夫!?

親の財産を把握するために、相続財産のリストアップであげる内容について見ていきます。

 

【現金】
財産で最初に思いつくのが現金だと思います。財布の中の少額の現金まで数える必要はありませんが、まとまった額の現金がある場合は、それをリストアップします。たとえば、銀行に預けないで家に保管してあるタンス預金や、貸金庫に入れてある現金などです。金庫などに入れてある場合は、金庫を開けるための鍵やダイヤル番号などが分かるようにしておいてもらう必要があります。

 

【預貯金】
銀行、信用金庫、郵便局、農協などに預けてあるお金です。銀行が倒産した場合などペイオフのリスクヘッジのために、複数の金融機関に預けている親も多いものです。節税対策の一環として、税率の低い外国の銀行に預けてある場合もあります。

 

現金や預金については、教えたくないという親もいると思います。他の資産に比べて、相続の時には問題が起こりにくいことから、おおよその額にしておいても良いと思います。子にしても、深く追及するべきではありません。

土地登記簿・建物登記簿を利用して不動産情報を調べる

【不動産】
自宅や賃貸不動産、別荘、借地権、貸宅地など、所有している土地や建物です。土地については、下記の点などが分かると、子としては安心です。

●所有地の住所や面積、地目(土地の用途)

●名義人

●持ち分

●抵当権の有無

●おおよその評価額

●権利書の保管場所

 

貸宅地、パーキングなど収益のある土地については、上記の点に加えて下記の点なども必要になってきます。

●借り手の住所および連絡先

●地代や駐車場代

●契約期間

 

建物については、下記の点が必要になってきます。

●建物の所在地

●名義人

●種類

●構造

●床面積

●持ち分

●抵当権の有無

●固定資産税評価額

●権利書の保管場所

 

賃貸物件については、上記に加えて下記の点などがあれば良いでしょう。

●借り手の住所および連絡先

●月々の家賃

●契約期間

 

これらの事項は土地登記簿・建物登記簿を見ても分かります。土地登記簿・建物登記簿の謄本抄本は、請求対象の土地や建物を管轄する登記所、または最寄りの登記所で請求すれば、本人でなくても交付を受けられます。

 

土地や建物の評価額は、おおよその額なら近所の不動産屋の広告をチェックすれば相場が分かります。親の所有する不動産と似た物件をインターネットで検索してみても参考になります。もう少し詳しく知りたい場合は、毎年役所から送られてくる「固定資産税、都市計画税の納税通知書」を確認します。土地については、国税庁のホームページで路線価を調べる方法もあります。

 

基本的に、相続税申告の際の不動産評価は、建物は固定資産税評価額で、土地は路線価(そうでないケースもあります)で行います。土地の評価は、現地の状況によって評価減ができる場合があり、正確な評価については、税理士や不動産鑑定士など専門家の意見を聞いてください。

 

次回も引き続き、相続財産のリストアップについて見ていきます。

本連載は、2014年8月25日刊行の書籍『相続貧乏にならないために 子が知っておくべき50のこと』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

相続貧乏にならないために 子が知っておくべき50のこと

相続貧乏にならないために 子が知っておくべき50のこと

大久保 栄吾

幻冬舎メディアコンサルティング

額の大きな相続は、しっかり対策をとらないと相続税が大変。だからといって親が生きているうちから子が積極的に相続対策に関与することは「縁起でもない」ということで、なかなか難しい。 本書では親が生きているうちから、子…

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