相続対策の定番「アパート経営」に潜む大きな落とし穴とは?

今回は、相続対策の定番ともいえる「アパート経営」のリスク等について見ていきます。※本連載では、相続アドバイザー協議会23期有志の著書、『新訂 家族で話すHAPPY相続』(プラチナ出版)の中から一部を抜粋し、不動産にまつわる相続のトラブルとその解決策を、事例を基に解説していきます。

更地にアパートを建てれば、課税資産の評価額が減る

相続対策の定番ともいえるアパート建築。税制の改正により今後ますます相続問題が多くなることが考えられることからも、アパート建築を検討する方は多くなるのではないでしょうか。ここでは、そうした相続対策におけるアパート建築について、思わぬ落とし穴にはまらないためのポイントをくわしく解説していきます。

 

まず、その解説の前になぜ相続対策にアパート建築が有効なのかを説明しましょう。

 

「プラスの資産」-「マイナスの資産」=「課税資産」

 

この課税資産が相続税を計算するうえで基となる金額となるため、相続税を減らしたいと考えたときには、プラスの資産を減らし、マイナスの資産を増やして課税資産を減らせば良いのです。この原則と法律を上手に活用することで節税をすることができるのが『アパート建築』なのです。

 

下記の図表1をご覧ください。更地のまま相続をした場合は、現金と合わせて課税資産が1億5000万円。一方アパートを建てた場合は、課税資産が7100万円となります。これは、アパートを建築することにより土地の評価が下がること、実際にかかる建築費用よりも低く建物を評価することができること、それぞれの要因から、更地の状態と比べ、課税資産の評価額を下げることができたのです。

 

[図表1]

 

アパート建築をするうえでのメリットはこれだけではありません。

 

アパートを建築した場合、更地と比べ土地の固定資産税は6分の1、都市計画税は3分の1となり、更地のときと比べ税額を大きく下げることができます。毎月の収入のアップ、固定資産税および相続税の圧縮を一度に行うことができるため、土地の運用方法としては非常にメリットの高い活用方法といえるのです。

賃貸経営が不調ならば、単に負債が抱えただけ

しかし、気になるポイントもあります。確かに賃貸経営が順調にいけば問題ないのですが、もし、空室ばかりで賃貸経営が順調にいかなかった場合はどうでしょうか? 相続税は節税できても借入の返済ができなくなってしまうのでは、単に負債(借入)を抱えただけになってしまいます。

 

一見メリットのある賃貸経営ですが、そこには多くのリスクが潜んでいるのです。

 

①空室リスク、②家賃滞納リスク、③家賃下落リスク、④修繕費用負担リスク、⑤敷金トラブルリスク、⑥大規模修繕リスク、⑦入居者クレームリスク などです。

 

また、賃貸管理には大家さんが入居者と直接契約する方法と、大家さんがアパートの全室を不動産会社と契約する「一括借上げ方式」、別名「サブリース」という方法の大きく分けて二つの方法があります。

 

「一括借上げ」とは、不動産業者がそのアパート全室を大家さんから借り上げ、その業者さんが転貸として第三者に部屋を貸すことをいいます。そのため、アパートの空室の有無にかかわらず、不動産の所有者は、一括借上げ会社から毎月一定の借上賃料をいただくことができることになります。一括借上げをしている不動産会社は、このような契約にすることで、賃貸経営のリスクの多くを解消することができるとしています。

 

[図表2]

 

そして、多くの所有者は一括借上げによるアパート経営をすることで、相続税の圧縮と、賃貸経営のリスクを合わせて解消することができると考えています。しかし、はたして本当にそうでしょうか?

 

実は、一括借上げのアパート経営には大きな落とし穴があるのです。

 

そもそも、賃貸市況は、今後非常に厳しいものになっていくことが予測されます。なぜなら、不動産の賃貸市況は「需要と供給」に左右されるからです。

 

簡単に説明しますと、賃貸でいう需要は人口。供給は、建物の数。今後の人口は、皆さんもご存知のとおり減少していくばかり。一方、建物のほうは、今後も多くの建築がされることが予想されます。そうなれば、賃貸の空室問題は年々厳しくなることが容易に予測できます。そうしたなかで、賃貸経営をするということは、実は非常に大変なことなのです。そのため、一括借上げ業者も一括借上げをすることでその大きなリスクを背負わなければなりません。

 

とはいえ、業者も十分そのリスクは承知していますし、かつ、そのリスクにプラスして十分な利益を生むような仕組みで一括借上げを提案しています。では、その利益はどこからきているのでしょうか? それは、大家さんであるあなたの建築費と賃料収入です。では、ここまでを踏まえたうえで、ここから注意すべき一括借上げ(サブリース)の落とし穴を説明していきます。

一括借上げ(サブリース)に潜む4つのリスク

①一括借上げの期間中に家賃が減額されるリスク

一括借上げを行うことによって多くの人は、家賃について長期に一定金額保証されると思っているようですが、実は、それは大きな間違いです。契約書をよく見てください。サブリース原契約書(国土交通省)では、「土地または建物の価格の上昇、低下その他の経済事情の変動により賃料が不相応となった場合には、協議のうえ賃料を改定することができる。ただし、賃料の改定は2年ごとにおこなう」と明記されています。つまり、2年ごとに家賃交渉が行われる可能性があるのです。

 

②一括借上げを一方的に解約されるリスク

築年数が経過することで空室率が増え、メンテナンスにも手間がかかるようになったとき、家賃の減額請求、過大な建物設備の追加投資の請求を行い、大家さんが拒むようであれば、サブリースは継続できないと言われ、契約やそのときの状況にもよりますが一方的に解約をさせられてしまう可能性もあります。

 

③リフォーム費用や修繕費、メンテナンス費用は大家さんが負担

多くの場合、入退去時の室内のリフォーム費用、建物の巡回清掃、共用部分の水道光熱費など、あらゆる費用は大家さん負担となります。そして、そうした修繕を行う会社は、一括借上げ業者の『指定業者』であることが多く、大家さんが業者を選ぶことができない場合もあります。もし、一般の修繕費用よりも高い費用がかかるとしたら、長期的に考えると、どれだけ余計な費用を負担しているかわかりません。

 

また、なかには修繕費用はかからないことをうたった契約もあるでしょう。それは、毎月一定金額を家賃から差し引かれ、それを修繕費にあてるというもの。冷静に毎月かかる修繕費を10年間で計算してみましょう。本当に新築後10年間でそれだけの修繕費がかかるのでしょうか? 実際は新築から10年というのは、大きな修繕はほとんどありません。そのため、実際の修繕費用以上にお金も負担している可能性があります。

 

④礼金、更新料は一括借上げ(サブリース)業者がもらう

入居者からいただく礼金、更新料、これらも大家さんには入ってこないことが多いです。すべて一括借上げ業者の収入となります。とはいえ、今後の賃貸市況から考えるとこうした一時金は減少してくることが考えられ、この影響については大きなものではありませんが、大家さんとしては把握しておくべき内容です。

 

いくつかポイントをあげましたが、そもそも一括借上げ業者は、家賃の約10〜20%を収益として事業を行っています。一見、一括借上げ業者は、空室のリスクを負うことができるほど賃貸経営に自信があるようにみえます。しかし、実際はそうではなく、契約書をよく確認しないと大家さんが思わぬ損失を被ることが、ご理解いただけたのではないでしょうか。

 

相続対策を行ううえで、『アパート建築』は有効です。しかし、その裏にあるリスクを十分に理解したうえで建築しなければ、相続対策のためのアパート建築が、負債を抱えるだけのアパート建築になりかねません。では、こうしたリスクをできるだけ少なくしてアパート建築をすることはできないのでしょうか? 実は、それは十分可能です。

 

それは、あなたが『学び』『行動』を起こすこと。

 

幸いにして、今では『相続』も『賃貸経営』も学ぶ場が、多く存在します。

 

そうした場に、積極的に参加することでリスクや不安を一つ一つ解消することができるようになるでしょう。この本によってあなたが積極的にそうした場に参加されるようになれば幸いです。とはいえ、相続や賃貸経営には幅広い知識が必要となります。そのため、正しい判断ができるようになるには、膨大な時間が必要になるでしょう。

 

そうした時は、幅広い知識をもった専門家のサポートも必要です。

 

『法律』『税金』『建築』『相続実務』『賃貸経営実務』『融資』『建築、リフォーム』『保険』など、一つだけに特化しているのではなく横断的な視野で、あなたの相続対策をサポートすることができるパートナーを見つけましょう。

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(相続アドバイザー協議会とは?)
相続に関する諸問題に対して円満な相続を実現するため、総合的なアドバイスができる人材を養成することを目的に、不動産鑑定士、税理士、不動産業、建設業が中心となり2000(平成12)年に設立したNPO法人です。

的確なアドバイスで相談者の利益を守る「相続アドバイザー」を養成するため、税務、不動産、建物、保険など各分野の相続実務に関わる専門家を講師として、全20講座・41時間の「相続アドバイザー養成講座」を定期的に開催しています。

2005(平成17)年には、法令の改正や社会の変化に対応した知識を習得し、実務能力を向上させ、さらに研鑽を続けるため「上級アドバイザー資格制度」を創設しました。
同協議会では「相続アドバイザー」として、以下の5点を定義しています。

(1)本業を補完する基本的知識の習得
(2)本業をより発展させるためのビジネス的感覚の習得
(3)お客様の利益を第一義に考えるコンサルタントとしての役割
(4)信頼性のある人的ネットワークの構築
(5)持続的・継続的な研修の実施による能力の充実を図る。

※写真は相続アドバイザー協議会の常務理事で、同養成講座23期生でリーダーを務めた都築恒久氏

 (23期有志)阿部龍治、新井明子、井上嵩久、岩見文吾、木村太郎、児山秀幸、至田裕子、
       鈴木一哉、関京子、高橋欣也、高林節子、千代延和義、都築恒久、徳元康浩、
       貫井政文、服部毅、古越俊介、松村茉里 ※50音順敬称略

著者紹介

連載「争族」の事例に学ぶ~「不動産の相続」でモメないための対策講座

新訂 家族で話すHAPPY相続

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相続アドバイザー協議会

プラチナ出版

私たちはふだん気づきませんが、相続には落とし穴がたくさんあるのです。こうした落とし穴について、さまざまな専門家から解説し、皆さんにHAPPYな相続をしていただきたい、そう考えて私たちは皆で協力して本書を世に出すこと…

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