今回は、国家主導による「ブロックチェーンプロジェクト」の展望について見ていきます。※本連載では、仮想通貨FXトレーダー向けサイト「3分で分かる仮想通貨」を運営するBULLヒロ氏に「仮想通貨投資」の基礎知識について解説していただく。

原油にペッグしたベネズエラの仮想通貨「ペトロ」

BULLヒロです。「3分で分かる仮想通貨」という、仮想通貨情報サイトを運営しております。

 

仮想通貨市場の将来を予測し、今後の投資に役立てていただくための情報をお伝えしていきます。

 

仮想通貨は、世界的には「Crypto currency(暗号通貨)」と呼ばれ、あくまで通貨としてのイメージが強いブロックチェーンプロダクトですが、通貨以外の用途にも注目が集まっています。今回は、その一例として「国家プロジェクトで期待できるブロックチェーン技術」について考えていきます。

 

◆世界で初めて仮想通貨を発行した国家ベネズエラ

 

国家によるブロックチェーンプロジェクトとして最初に名前が出るものといえば、ベネズエラのペトロ(PTR)です。

 

通貨は、国家によって発行枚数を制御されることにより、通常その価値を維持しますが、財政的窮地に陥ったベネズエラは、自国通貨を大量に発行しました。結果として、通貨の価値が大暴落し、ハイパーインフレを引き起こしたのです。

 

自国通貨(ボリバル)の価値が維持できなくなったことで、2018年2月に発行したのが、ベネズエラで採掘される原油にペッグした仮想通貨ペトロです。自国の通貨とは異なる価値基準を設けることで、価値の安定を図る仕組みです。しかしながら、価値の根源としている原油採掘量のエビデンス不足が指摘されたり、国内でペトロ決済が普及していなかったりと、懐疑的な声も相次いでいます。

 

不透明な団体が多いICOのなかで、国家が発行する通貨として相対的に信頼性が高く、最大60億ドル(約6400億円)の資金を調達できる見込みです。しかし、今後も発行枚数が増えずに価値が安定するのか、プロジェクトが正しく進行するのかは、かなり不安視されています。

 

ペトロは「ブロックチェーン技術を使用しなくていい証券を『仮想通貨』という発行形式にしたことで、資金調達効率を上げただけのもの」と筆者は考えています。存在意義も将来性も不安定なものです。

 

本来、中央集権で国家の管理がなくても存在できる仮想通貨が、国家にコントロールされるとどうなるのか、壮大な実験として注目すべき案件ですが、この事例に学ぶべきことは今のところ見当たりません。

電子先進国として注目されるエストニアのプロジェクト

◆ブロックチェーンを利用した電子国家を目指すエストニア

 

国家の関与するブロックチェーンプロジェクトは複数あります。ペドロとは対照的に、学ぶべき点が多い事例として、エストニアの右にでるものはないでしょう。

 

人口約132万人の小国エストニアでは、住民票の発行や選挙の投票、法人設立まですべてオンラインでの手続きが可能です。電子先進国として注目されていることは、周知の事実でしょう。

 

エストニアが連携を開始したブロックチェーンプロジェクトに「Bitnation(ビットネーション)」があります。Bitnationとは、土地や居住、国境といった定義を越えて、電子上に存在できる国家を目指すプロジェクトです。これまで、婚姻、出生証明、難民のための緊急IDを実験的に発行し、現在では1万人を超えるユーザーが登録しています。

 

領土の境界線が明確な日本国民にはイメージが湧きにくいかもしれませんが、陸続きで国家が隣接しているヨーロッパでは、領土が崩壊し自国の存在が不明確になる危険性は常に存在しているのです。

 

そのような地政学リスクを抱えるなかで国家が崩壊した場合、特定のサーバーで管理されていた国民情報がすべて消去される可能性もゼロではありません。そのため、Bitnationの各サービスにはブロックチェーンが使われ、どのような状況下でもデータが存続できる状態を作っています。

 

このプロジェクトは、ブロックチェーンが使われる理由や背景も明確であり、今後の発展が期待できます。

 

複数ある国家関係のブロックチェーンプロジェクトから一部を紹介しました。

 

筆者がこの記事を書いている2018年12月は、ビットコインの価格が40万円を下回るなど、価値の下落と共に人々の注目も薄れています。それでも、水面下では様々なプロジェクトが進行しており、今回のような国家プロジェクトも増える一方です。投資の基本である「将来を見越した先行投資」を考えると、このギャップに魅力を感じざるをえないのです。

 

企業においても、Facebookなど超大手企業がブロックチェーンサービスに本腰を入れたのは2018年に入ってからです。まだまだ、成長の余力が残っていると感じます。

 

これまで20回にわたり、様々なブロックチェーンサービスのユースケースを紹介しました。今後は、実際に購入するタイミングや銘柄選び、テクニカル面について紹介していきます。

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