管理職必読!生まれ年代別に見る「思考・行動パターン」の特徴

今回は、生まれた各世代に特徴的な思考パターン・行動バターンを分析します。※若手社員、シニア人材のマネジメントに頭を痛めている管理職は少なくありません。しかし、「縦のダイバーシティ」、つまりジェネレーションギャップに着目することで、問題解決の糸口を探すことは可能です。本連載では、世代に特徴的な考え方や行動の傾向を把握した、効果的なアプローチの方法を伝授します。

明るく自信に満ち、声の大きい1940年代生まれ

人の価値観や行動傾向は、その人が育ってきた時代背景や教育環境に大きく影響されています。逆にいえば、その人が育ってきた時代背景や教育環境を知れば、その人の考え方や行動の傾向を知ることができます。それによってお互いの理解を深めることができれば、無用な衝突を避けることができるでしょう。

 

もちろん、生まれた時代や育ってきた環境だけで人の性格や価値観が決まるわけではありません。生まれつき持っている性格もありますし、価値観は成長によって変化するものです。同じ日に同じ地域に生まれていても、応援するスポーツのチームは異なります。それでも、時代や環境の影響をまったく受けていないという人はいません。

 

たとえば、私たちが日本語を喋れて読み書きができるのは、私たちのほとんどが日本に生まれて、日本語を学ぶ学校で勉強してきたからです。しかし、私たちがもしアメリカに生まれて、アメリカの学校で教育を受けていたとしたら、日本語よりも英語が得意になっていたことでしょう。そしておそらく日本よりもアメリカに親近感を覚えて、アメリカ人としてのアイデンティティーを育(はぐく)んだことでしょう。これは遺伝ではなく、明らかに育った環境の影響になります。

 

また、戦前に生まれて皇国史観の教育を受けた人と、戦後に生まれて民主主義の教育を受けた人とでは、その価値観が大きく異なるのは仕方がありません。

 

日本の戦後には、共産主義思想をベースにした激しい学生運動がありましたが、その主体となったのは戦後の民主主義教育を受けた学生たちで、反抗されたのは戦前の教育を受けたエスタブリッシュメントたちでした。

 

そこで本連載では、次のように各世代の特徴を挙げてみました。すべての人がこれに当てはまるというわけではありませんが、おおざっぱな特徴は捉えていると思います。

 

世代の分類は、分かりやすさを重視して西暦で10年ごとに分けました。たとえば、現在を2019年と仮定した場合、1940年代(1940~1949年)生まれの人は70~79歳となります。2019年時点でいえば、1940年代生まれ=70代となってイメージがしやすくなります。もちろん、あなたがこれを読んでいるのが2024年であれば、年齢に5歳をプラスする必要があります。

 

[図表]各世代の特徴

 

最初に挙げるのは1940年代生まれです。この方たちは、2019年時点、ちょうど70代にあたります。もちろん、80代以上の方もまだご存命ですが、その方たちのほとんどは企業で働いていらっしゃらないので、本連載では省略させてください。

 

さて、本連載では1940年代生まれを、便宜的に団塊の世代と呼ぶことにしました。正確には、前半は戦中生まれ、後半は戦後生まれとなりますが、いずれにせよ就学年齢に達する頃には戦後教育が始まっていた世代です。つまり戦後民主主義教育を受けた第一世代であり、すでに述べたように1960年安保や1970年安保の時代に学生運動に参加した世代です。

 

特に1947~1949年生まれは、戦後の第一次ベビーブームで圧倒的に数が多く、一般的に団塊の世代と呼ばれています。この3年間で806万人もの子どもが生まれています。ちなみに2015~2017年の3年間の日本の出生数は293万人ですから、団塊の世代は、今の赤ちゃん世代の3倍近い数ということになります。

 

人数が多いということは、それだけ元気もあるわけで、学生運動のほか、高度経済成長とバブル景気という日本が最も好景気だった二つの時代を経験した幸運な世代です。人数が多いだけに消費の主役としてスポットをあてられることも多く、戦後日本を背負う世代として新しい教育を受けたこともあり、明るく自信に満ちて声の大きい世代といえるでしょう。

 

経営者でいうなら、ユニクロの柳井正さんや、ジャパネットたかたの髙田明さんが1940年代生まれです。

個人主義的傾向が強い1950年代生まれ

次に、2019年時点で60代にあたる、1950年代生まれ世代です。本連載では、便宜的に「しらけ世代」と呼んでいます。この世代は、学生運動が下火になった頃に成人を迎えて、運動に参加できなかったこともあり、政治的無関心を特徴とする「しらけ世代」と呼ばれることが多いからです。

 

この世代に限った話ではないのですが、一般に、ちょっと年上の前世代は、乗り越えるべき壁と捉えられます。そのため、1940年代生まれが人数が多くて元気のある学生運動世代だとすれば、1950年代生まれは、成人する頃にあさま山荘事件など、新左翼の崩壊を見て熱血に背を向けた個人主義の世代といえます。

 

しらけ世代が個人主義的に見えるのは、社会人になった頃にオイルショックで不景気になり、未来に希望ばかりを抱けなくなったのもあるでしょう。同時に、アニメやゲームなどのサブカル文化が流行り出した世代でもあります。

 

経営者でいうと、ソフトバンクの孫正義さん、エイチ・アイ・エスの澤田秀雄さん、アスキーの西和彦さんが1950年代生まれになります。

戦前の日本人気質と大きく乖離した1960年世代生まれ

その次にくる1960年代生まれは、2019年時点で50代で、本連載では便宜的に新人類世代と呼ぶことにしています。新人類世代は、入社当時の管理職(1930年代生まれ)から「新人類」といわれるほど、戦前の日本人気質と乖離(かいり)した世代でした。しらけ世代から始まった個人主義がさらに進んだ世代といえるかもしれません。

 

一方で、団塊の世代と比較して内向的になったしらけ世代と比べると、新人類世代には乾いた明るさがありました。新人類世代が若者だった頃は、「ネアカ」「ネクラ」といった言葉が流行語となり、明るく軽くポップであることがかっこいいとの価値観がありました。社会人になった頃にバブル景気を経験して、大いに楽しんだことも影響しているでしょう。

 

1960年代生まれの経営者は、楽天の三木谷浩史さん、ディー・エヌ・エーの南場智子さん、ドワンゴの川上量生さん、USEN-NEXT HOLDINGSの宇野康秀さんなどが挙げられます。

パソコンに最も強い世代といわれる1970年代生まれ

次に続く1970年代生まれは、2019年時点で40代で、ちょうど管理職世代にあたります。この世代は団塊の世代の子どもたちで、親世代の人数が多かったために、第二次ベビーブームとなった数の多い世代です。本連載では便宜的に団塊ジュニア世代と呼ぶことにしました。

 

団塊世代と同様に人数の多い団塊ジュニア世代ですが、彼らは親世代とは異なり、時代に恵まれませんでした。大学受験期には大学進学率が上がったことと人数の多さから受験競争が最も厳しく、大学を卒業して成人になる頃にはバブル景気が崩壊して就職氷河期が訪れます。人数が多いのに就職口が少なく、フリーターや派遣といった非正規雇用労働者に流れた人が多い世代です。そのため、失われた世代(ロストジェネレーション)や、就職氷河期世代といった別名もあります。

 

その一方、毎年約200万人が生まれるなど人数が多く、ファミコンや少年ジャンプなどの大ブームを担った世代にもなりました。学生時代にウィンドウズ95や98の洗礼を受け、インターネットの黎明期を過ごし、パソコンに最も強い世代ともいわれています。イメージとしては、そのあとの世代のほうがデジタルネイティブに近いのですが、ケータイやスマホなど、より便利なガジェットに親しんだ後続世代は、むしろパソコンに触れることは少なくなっています。

 

そのため、1970年代生まれの経営者にはIT長者がずらりと並んでいます。たとえば、元ライブドアの堀江貴文さん、サイバーエージェントの藤田晋さん、グリーの田中良和さん、ミクシィの笠原健治さん、そしてZOZOTOWNの前澤友作さんなどです。

消費活動にあまり積極的でない1980年代生まれ

続く1980年代生まれ、2019年時点で30代の世代には、現在のところ確固とした世代名がありません。本連載では便宜的に、ミニマムライフ世代と呼ぶことにしました。

 

この世代は日本が景気の良かった頃を知らず、団塊ジュニア世代に引き続いて就職氷河期を過ごしました。そのためあまり消費に積極的でなく、前世代から見ると質素倹約を旨とするようなミニマムライフを送っているように見えることもあるからです。

 

ミニマムライフを可能にしたのが、ITの発達です。思春期の頃からケータイでネットにつなぐことができてデジタルガジェットに慣れ親しんでいる彼らは、お金を使わなくても楽しむ術(すべ)をよく知っています。また、ミニマムライフ世代においては、オタクカルチャーが一般的なものとなりました。マンガもアニメも市民権を得た当たり前のものになっていて、オタクという言葉が軽く使われるようになった総オタク世代ともいえます。

 

「失われた20年」と呼ばれた日本の不景気と就職氷河期は続いていて、ロスジェネ世代に続いて割を食った世代ですが、あまり悲壮感はありません。この世代のど真ん中にあたる社会学者の古市憲寿さんが著書『絶望の国の幸福な若者たち』で描いたように、不景気も日本の没落も当たり前になって慣れてしまっているうえに、物価も安く、ネットやゲームやアニメがあって、生活には「満足」している世代といえるでしょう。団塊ジュニア世代が社会に対して恨み節を吐くことが多いのに対し、それをクールに眺めている世代です。

 

1980年代生まれはまだ若いために、有名な経営者があまりいません。スポーツ選手でいえば、ダルビッシュ有さん、吉田沙保里さん、北島康介さんがこの世代に当たります。

「ゆとり世代」の1990年代生まれ

最後にいよいよ、2019年時点で20代である、1990年代生まれの登場です。この世代は一般的に「ゆとり世代」と呼ばれています。

 

「ゆとり」とは、いわゆる「詰め込み教育」に対して、日教組が提起した「ゆとりある教育」から採られたもので、知識の暗記ではなく、思考力を鍛えるためにプロセスを重視した教育方針が「ゆとり教育」と呼ばれました。

 

「暗記ではなく思考を」というスローガンはもっともなもので、それこそ団塊の世代が学生の頃から唱えられていた教育方針です。そのため1980年代から徐々に、学習指導要領の改訂が行われ、学習内容や授業時間の削減が進められてきました。その意味ではすべての世代が「ゆとりを目指す教育」を受けてきたともいえますが、なかでも特徴的だったのが公立学校で1995年から第2、第4土曜日が休日になったことです。

 

2002年からはさらに完全週休二日制になり、学習内容が3割削減され、相対評価ではなく絶対評価が導入されるなど、大きな改訂が行われました。当時、「円周率を3.14ではなく、3と教えることになった」などと、マスコミで面白おかしく取り上げられたために「ゆとり教育」の是非が議論になりました(実際の教育現場では3.14のまま教えていて、あたりをつけるときに3で計算してもよいというだけでしたが、マスメディアによって広まったこの誤解は、なかなか訂正されませんでした)。

 

ところが、2004年、国際テストにおける日本人児童の成績が下がっていることが問題視され、2009年以降は行き過ぎた「ゆとり教育」の是正が始まりました。その結果、2011年からは、学習内容が2002年以前の水準に戻されています(それでも、1970年代以前生まれが受けてきた教育よりはゆとりあるものです)。

 

さて、公立の小中学校が、文部科学省の学習指導要領にのっとり、最も「ゆとり」のある教育を行っていたのは、2002年から2010年の8年間になります。この期間がまるまる小中学校の9年間に含まれるのが、1995年生まれと1996年生まれになります。つまり、その前後にあたる1990年代生まれは少なからず「ゆとり教育」の影響を受けています。1990年生まれの人が小学校に入った時点で、月2回の土曜休日は実現していましたし、1999年生まれの人は中学校からは授業時間数が元に戻りましたが、小学校入学時点から完全週休二日制度を満喫してきました。

「ゆとり世代=勉強していない」というのは誤解

ところで、先行世代からは「あまり勉強していない」、「ものを知らない」と揶揄(やゆ)されがちなゆとり世代ですが、本当にそうでしょうか?

 

頭の良さを何によって測るかには諸説ありますが、一つの指標としてIQ(知能指数)があります。ニュージーランドのジェームズ・フリン教授の研究によれば、過去100年にわたってゆるやかに上昇を続けているそうです。IQは母数の平均値を100とする相対的な評価なので、それぞれの時代のIQテストだけを見ていると気づきませんが、時代を超えて比較すると、100年前の人々のIQの平均値は現在の指標でいえば70程度しかありません。

 

おそらく、読者のあなたが20歳の頃の同世代のIQの平均値は、現在の20歳のIQの平均値よりもわずかに低くなることでしょう。時代を経るにしたがい、人類の知能はどんどん上がっているのです。フリンはこの理由を、社会が複雑化して、多くの人が抽象的な思考をするようになったからだと類推しています。実際に、学校の授業でも試験でも、知識よりも思考力を問うような問題が増えています。知識などというものは、今やスマホがあれば数秒で得られるので、暗記しておく必要がなくなったのです。

 

団塊の世代の大学生は、おそらく歴史の年号や地方都市の名前について、今の大学生よりも豊富な知識を持っているでしょう。しかし、それぞれの歴史事象のつながりや都市の発展については、現在の大学生のほうが詳しいはずです。それは教育内容そのものが大きく変化しているからです。

 

そのため、「ゆとり世代」が「勉強していない」というのは真実ではありません。大学の先生に訊いてみると、今の大学生は昔の大学生よりもはるかに真面目に勉強しているそうです。

 

日本経済の沈没ばかりを聞かされて育った「ゆとり世代」は、先行世代よりも危機感が強く勉強に真面目に打ち込む傾向が強いのです。

 

4年制大学進学率の上昇を見ても、そのことは明らかです。1940年生まれが成人した頃の大学進学率はわずか8%でした。その後、団塊ジュニア世代あたりまでは、大学進学率が上昇したといってもせいぜい30%止まりでしたが、ミニマムライフ世代では40%、ゆとり世代では50%を超えるようになりました。世代別で見れば、ゆとり世代は現時点では最も学歴の高い世代です。「ゆとり教育(笑)」などと揶揄されがちで大人しい印象のある「ゆとり世代」ですが、知的能力は決して低くないのです。

 

だからといって、もちろん「ゆとり世代」が先行世代よりも仕事ができるわけではありません。学校の勉強と仕事の能力は違いますし、仕事においては経験が何よりも物を言うからです。

 

なお、1990年代生まれのスポーツ選手としては、大谷翔平さん、羽生結弦さん、浅田真央さんなどがいます。いずれも、これまでの日本人の記録を大きく塗り替える世界的な選手です。

 

 

西村 直哉

株式会社キャリアネットワーク代表取締役社長
人材育成・組織行動調査のコンサルタント

 

株式会社キャリアネットワーク代表取締役社長
人材育成・組織行動調査のコンサルタント 

1961年生まれ。大学院卒業後、人材育成・経営コンサルティング会社を立ち上げ、「人材アセスメント」「組織行動調査」などの各種調査と、その結果に基づく人材育成コンサルティングに約30年以上従事。2012年、株式会社キャリアネットワークが人材教育を基幹事業としたことをきっかけに代表取締役に就任。 キャリアデザイン研修、ダイバーシティマネジメント研修、働き方改革研修など多数の講師実績を持つ。

著者紹介

連載「ゆとり社員&シニア人材」を伸ばすマネジメントの極意

 

世代間ギャップに勝つ ゆとり社員&シニア人材マネジメント

世代間ギャップに勝つ ゆとり社員&シニア人材マネジメント

西村 直哉,江波戸 赳夫

幻冬舎メディアコンサルティング

管理職必読“ダイバーシティマネジメント"シリーズ、待望の第二弾! ジェネレーションギャップに悩む「管理職」必読! 「各世代の価値観」を理解し「ジェネレーションギャップ」を乗り越えろ。 それぞれの世代に有効な…

 

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