独創性は持てない「税金」の話…苦手な経営者が多い?
自由な発想が可能なマーケティングや価格設定などについては、心踊る気持ちで読める反面、税金や社会保険については苦手意識を持っている経営者が多いようです。
しかし、納税は法律で定められた国民の義務ですから、理解して上手に付き合っていくことが肝要です。今回は、税金の基本的な仕組みと経営者が知っておきたい税金をご紹介していきましょう。
※情報は平成30年11月時点のものです。税法は毎年改正されるため、必ず都度ご確認をお願いします。
税の基本知識…難解な制度と経営者はどこまで関わる?
最初に、税とは何か?という基本的なところを考えてみましょう。
[図表1]税の3つの役割
政策実現の観点から、税には3つの役割があります。私たちの暮らしには、社会保障や社会資本整備や公的サービスの充実が欠かせません。
具体的には、年金・医療制度や、水道・道路整備、さらに教育・警察・消防・防衛などが挙げられます。
これらの資金を調達し、景気のコントロールを行い、相互扶助等の政策を進める機能が税にはあります。
[図表2]税制の3原則
税制は、公平な負担や過分な経済活動の誘導、そしてわかりやすいものにする、という観点から定められています。しかしながら、実際には公平性の担保や政策の実現のために、税制はあらゆる分野に及んでいる非常にわかりにくい制度となっており、専門家の関与なしには制度理解が困難な状況となっています。
確定申告の時期になると決算申告業務が大変だというブログやSNSを散見します。堀江貴文氏は、「私は一度も確定申告作業を自分でやったことがない。(中略)……税理士任せなのである。(中略)……こんなことやってる暇あったら稼げって思う。それくらいの時給も稼げないようだと商売やってる意味ねーだろとすら思ってしまうよ。」(『HORIEMON.COM』より抜粋)と書いています。
少し表現は強いですが、つまり専門家やAI技術をうまく利用することが大切だということでしょうか。
節税で利益や内部留保を減らすと、マイナスの側面も…
以下に「経営者が知っておきたい税金」について列挙します。
上述した税金の分類などを意識しながら、少しでも理解を深めていただき、経営に活かしてみてください。
※ここでは便宜上、法人の視点でご紹介します。法人と個人事業との違いや、それぞれに関わる税金の詳しい解説は次回(第23回)にお話しさせていただきます。
[図表3]経営者が知っておきたい税金
最後に、税金も会社にとってはコストですので少なくしたい気持ちはわかりますが、節税対策ばかりしていると、利益や内部留保が減って金融機関からの融資が受けにくくなるなどマイナス面もあります。何事にも限度が必要ということですね。
近藤 大補
MASTコンサルティング株式会社 執行役員
中小企業診断士・税理士
高島 宏明
MASTコンサルティング株式会社 代表取締役
中小企業診断士