人口増加、経済成長…住宅価格の上昇が期待できる要因
アメリカで不動産投資を行う大きなメリットは、インカムゲイン・キャピタルゲイン・スピード減価償却による節税効果ですが、それらを可能にしているのは、現在進行中のアメリカの経済成長です。
アメリカの住宅価格は、2007年から始まったサブプライムショックの影響で一時は下落したものの、驚異的な経済成長でもとの水準まで戻り、現在ではまた上昇傾向にあります。平均すると、この40年間で4%ずつ上昇しており、今後の継続も見込まれています。将来的には、人口・所得・納税額が増加することで住宅価格が上がり、投資家にとって有利な状況になっていくでしょう。
高い経済成長の継続には多くの要因があり、アメリカ不動産への投資を始めるには、まずその市況を知っておかなければなりません。今回は、「人口の推移」「GDPの推移」「税制」の3点について紹介し、アメリカ不動産を選択する価値をお伝えします。
◆2050年には4億人? 今後も増加する人口
日本の人口は少子高齢化の影響により年々減少し、現在1億2600万人の人口は、2030年に1億2000万人、2050年には9700万人まで落ち込むと予測されています。少子化対策も行われていますが、減少スピードに追いついていない状況です。
一方で、アメリカの人口は現在3億2800万人となり、2030年には3億6260万人、2050年には4億人にまで到達するといわれています。人口増加の要因には、多くの移民の流入があります。トランプ大統領により移民政策が掲げられましたが、現実的に考えると、移民は経済成長にこれからも必要な存在であり、今後さらに増えていくでしょう。
これからも人口増加が見込まれるということは、住宅需要がより一層強まり、空室率は下がるということです。つまり、家賃増加も期待できます。安定したインカムゲインが得られ、さらに将来的な高いキャピタルゲインも期待できるので、不動産投資にとってはやまない追い風となっていきます。
◆第2位以下を大きく突き放すGDPを誇る経済大国
アメリカ不動産が注目される背景には、その高い経済成長率があります。依然としてトップを走るアメリカのGDP(Gross Domestic Product)は、約19兆3900億ドルまで上昇しています。ここ30年で約4倍になっていて、今後さらなる成長が期待されています。
高い経済成長率を維持する第2位の中国でも、現在約12兆ドルなので、脅威であるとはいえ、大きく突き放している印象です。また、中国を含む新興国は、経済の発展とともに不動産価値の上昇も見込まれますが、今後の安定性については確実とはいえない状況です。この点も、アメリカ不動産投資のメリットといえるでしょう。
さらにApple、google、IBMなどの著名企業の集結、ベンチャー企業の成功、シェールオイル・ガスの採掘といった多数の産業の盛り上がりによって、雇用がさらに創出され、住宅需要にもよい影響を与えています。
アメリカ不動産投資に関わる「3つの税金」とは?
◆日本と異なる税制
アメリカ不動産投資において、大きな利益がメリットではありますが、当然税金についても考える必要があります。たとえば、アメリカ不動産からインカムゲインやキャピタルゲインを得る場合、日本とアメリカ両方での申告が義務づけられていますが、二重課税はされません。アメリカ不動産投資において知るべき3つの税金をご紹介します。
まずは、不動産保有時に必ずかかる「固定資産税」です。当たり前ですが、住宅価格が高ければ固定資産税も高くなります。州によって、0.28%~2.38%とばらつきがあります。日本よりも高く設定されているアメリカの固定資産税は、投資する際にはデメリットに感じるかもしれません。しかし、その使い道は学校教育費がほとんどなので、結果的には物件評価によい影響を与え、自分の手元にかえってくるという見方もあります。
次に、毎月の家賃収入にかかる「所得税」です。連邦所得税と州所得税にわかれていて、連邦所得税は所得帯によって10~37%の間で変動しますが、州所得税は州・地域によって異なります。ちなみに、ワシントン州、ネバダ州、ワイオミング州、サウス・ダコタ州、テキサス州、フロリダ州、アラスカ州の7つの州では、州所得税はかかりません。
投資先の地域を選定する上では、さまざまな要素が絡みますが、まずは固定資産税率と州所得税率のバランスをよく見ることが重要になってきます。たとえば、テキサス州は固定資産税が1.9%とアメリカ全土中4番目に高いですが、州所得税はありません。カリフォルニア州は、州所得税が1番高く13.3%ですが、固定資産税は全体平均1.94%を大きく下回り0.81%です。よく比較しながら地域を選定することをおすすめします。
そして、売却時にかかる「キャピタルゲイン税」です。日本では、不動産の保有期間が5年以下だと短期譲渡となり約40%の課税、5年を超えると長期譲渡となり、約20%が課税されます。
対してアメリカでは、投資用物件に対する救援措置として「1031 Exchange」という制度が存在します。売却時点から180日以内に、その物件と同等かそれ以上の価値のある物件を購入した場合、キャピタルゲイン税が繰り延ばしになります。本来、納めるべき税金をそのまま投資金としてカウントできるので、アメリカで投資を続けるには心強い制度です。
なお、上記は支払い義務のある税金ですが、日本で支払い義務が発生する不動産取得税、登録免許税、特別土地保有税、印紙税、都市計画税、建物の消費税はかかりません。確かに固定資産税などは高いですが、かかる税金の種類が少ないのも、アメリカ不動産投資のメリットでもあります。
柳原 大輝
WIN/WIN Properties, LLC 共同代表
株式会社WIN WIN Properties Japan 代表取締役