1ドル=360円の固定相場制は「変動相場制」へ
前回の続きです。
ではここで簡単に、日本円の価値の歴史を振り返ってみましょう。
1971年(昭和46年)までは、なんと1ドル=360円で、しかも固定相場といって、上下しなかったんです。ニューヨークでランチをするとチップも含め、20ドルぐらいはするので、その時代は日本人はランチだけで7200円もしたんですね。逆に、日本のものはアメリカでは、とっても安く買えたわけです。例えば、200万円する車も、たった5500ドルでアメリカでは買えてしまうわけですから。
このような貿易摩擦が、日本の輸出経済をどんどん成長させ、逆にアメリカの車や家電産業はどんどん衰退していきました。そこで、時のニクソン大統領は1971年に1ドル=360円の固定相場制を、変動相場制にしました。すると、価値のある通貨はどんどん高くなり、価値のない通貨は価値のある通貨に対してどんどん安くなりました。
かつては経済も発展し、人口も増えていた日本だが…
価値のある通貨(どんどん高くなっていく通貨)とは、その国の経済が発展していって、人口も増加している国の通貨、言い換えるとGDPが大きくなっている国の通貨のことです。一方、価値のない通貨(どんどん安くなっていく通貨)とは、経済が衰退していき、人口が減っていく国の通貨、言い換えるとGDPが小さくなっている国の通貨と言えます。
今までの日本は、経済も発展していって、人口も増えていた、どんどん高くなっていく通貨でした。しかし、過去20年間、またこの先は、アメリカと比べ、経済もどんどん衰退していき、人口もどんどん減っていく(2050年までに1割以上が減って、1億人を下回るというデータも出ております)国です。つまり、日本円は価値のない通貨=どんどん安くなっていく通貨です。
[図表]