実現化が難しいといわれる「不動産の個人間取引」
BULLヒロです。「3分で分かる仮想通貨」という、仮想通貨情報サイトを運営しております。
仮想通貨市場の将来を予測し、今後の投資に役立てていただくための情報をお伝えしていきます。
仮想通貨は、世界的には「Crypto currency(暗号通貨)」と呼ばれ、あくまで通貨としてのイメージが強いブロックチェーンプロダクトですが、通貨以外の用途にも注目が集まっています。今回は、その一例として「不動産業界でのブロックチェーンの可能性」について考えていきます。
アパートを借りたり、持ち家を買ったりする際には、持ち主に直接交渉するのではなく、不動産屋を通すという方がほとんどではないでしょうか。その際、賃貸の場合は家賃数ヵ月分の仲介手数料、持ち家の場合は法律で決められている上限3%の手数料を仲介業者に支払います。3%というと聞こえはいいですが、5,000万円の物件であれば、実に150万円もの手数料を支払うことになります。
ここまで高額の手数料を支払うとなると、仲介業者には独自の知見や物件の紹介を期待したいところです。しかし、紹介されるほとんどの物件は特定の不動産業者固有の案件ではなく、すべての業者が共通アクセス可能なデータベースにある情報です。
この中央集権型のデータベースは、不動産流通機構が提供する「REINS(レインズ)」というものです。指定業者のみが登録・閲覧できることで、情報の信憑性を保っています。
不動産業界の中央集権と簡単な利権構造を聞くと、中間業者がいなければその手数料をなくすことができると考えてしまいがちですが、不動産は「C to C 化」するのが最も難しい領域といわれています。
まず、データベースに登録すべき項目が多いうえに、現在の物件の状態を正確に評価することが難しく、素人目では主観に頼ってしまいます。これがメルカリであれば、単価が安いですし、評価に齟齬があっても示談したり諦めたりすれば済むような話ですが、不動産のように高額だとそうはいきません。
ブロックチェーン技術で「物件情報の改ざん」を防止
それでは、不動産取引をC to C にすることは不可能なのかというと、すでに必要な技術は存在しており、実現するのは時間の問題だと考えています。
データ入力に関しては、入力フォームのインターフェイス次第で解決できます。現在は、網羅的に並んでいる項目から必要事項を選び出したうえで情報を入力しているため、必然的にミスが多くなります。将来的には必須情報のみを表示させる、自動取捨選択型のインターフェイスが主流になるでしょう。不動産の状態判定についても、360度撮影データと間取りごとの位置情報、AIを組み合わせれば自動化できるでしょう。
実際に、不動産のC to C サービスが立ち上げられるのであれば、修正履歴が改ざんできないブロックチェーンの出番というわけです。
現在、不動産業界には「見せ物件」といわれる不正が存在するといわれています。成約済みの物件に客を呼び込み、他の物件を紹介するようなやり方です。このような不正や情報の隠ぺい、改ざんはブロックチェーン技術を活用すれば防ぐことが可能です。すでに海外では、不動産のブロックチェーンプラットフォームを目指したICOも存在します。
不動産業界へのブロックチェーン技術の浸透が、今すぐよい投資につながるかは分かりませんが、本連載で紹介している通り、各業界での活用が検討されています。ブロックチェーンという市場全体への投資資金が流入することで、まだ金融商品として規模の小さい仮想通貨市場が盛り上がる可能性があるということは感じていただけるのではないでしょうか。