Jリートは堅調に推移
割高感はない
■米中貿易摩擦の激化に伴う先行き不透明感などから株式市場が軟調な展開となる中、Jリート市場は好調な不動産市況を背景に堅調に推移しています。10月18日時点の年初来リターンは+6.5%となっています。
■一部にはJリートは割高との声も聞かれます。ただし、NAV倍率(リート価格が保有不動産の正味の価値に比べて何倍かを示す指標)は、2018年9月末で1.06倍と、概ね1倍程度での横ばいの動きとなっており、割高感はありません。
東証REIT指数とNAV倍率の推移
配当は増加
高利回り資産として注目
■東証REIT指数の配当利回りは、このところ横ばいの動きとなっています。これは、リート価格の上昇に伴って、配当も増加していることを示しています。
■また、東証REIT指数配当利回りと10年国債利回りを比較してみると、2013年9月では約3%の利回り差だったのに対し、2018年9月では約4%と、低金利下でJリートへの投資妙味が増していると言えます。為替リスクのない高利回り資産として注目されているものとみられます。
東証REIT指数と配当利回りの推移
良好なオフィス市況が続く中、Jリート市場は底堅い動き
■東京都心5区のオフィスビル空室率は、月次データが残る2002年1月以来の過去最低を更新しています。また、平均賃料は57カ月連続で上昇するなど好調です。日銀の金融緩和による低金利や好調な企業業績を背景とした企業のオフィスビルへの需要は強く、Jリート市場の下支え要因になると思われます。
■また、2017年以降、Jリートは自己投資口取得(株式の自社株買いに相当)、不動産ポートフォリオの収益性や質向上のための資産入替えなどの自助努力を行ってきました。こういった取り組みが、Jリートへの信頼・評価向上に繋がっていると考えられ、今後も投資家の買い安心感につながると期待できます。
(2018年10月19日)
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