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税務調査で故人の「趣味」などを聞かれた場合の対処法

相続税の税務調査において行われる「ヒアリング調査」。本記事では前回に引き続き、そこで具体的に何を聞かれるのか見ていきます。

故人が「ギャンブル好き」なら税務調査には有利!?

前回(関連リンク『税務調査官による「ヒアリング調査」の内容と上手な対応法』参照)に引き続き、「ヒアリング調査」で具体的に何を聞かれるのか見ていきましょう。今回は、趣味・生前の生活費・預貯金の管理について聞かれた場合の対処法について紹介します。

 

④亡くなった人の趣味

人は自分の好きなものに対して、お金をかけることをいとわないものです。また、同好の士を求めてともに趣味を楽しみたい、交友を深めたいという気持ちを持つのも自然なことです。

 

調査官は、被相続人に趣味があった場合、趣味そのものにお金が流れ、さらには同好の士との付き合いにも流れ込んでいると考えます。このため、税務調査では亡くなった人の趣味について、かなり突っ込んだ質問をしてきます。

 

たとえばゴルフが趣味だった人については、どこかのゴルフ場の会員権を持っているか、持っていればその取得金額はいくらだったか、売却していたらその金額はいくらだったか、売却代金はその後どうしたのか、ということを尋ねてきます。リゾート施設の会員権を持っている場合も同様です。

 

コレクションしているものがあれば、その購入金額、時価総額がどれくらいかなど。書画骨董などでいかにも高額そうなものだと、鑑定に回される場合もありますが、デパートで数万円で買ったものなどは、動産一式として評価されるので、他の財産に比べてさほど問題にはなりません。

 

旅行やギャンブルが好きだったというのは、税務調査上はかなり有利です。というのも旅行やギャンブルの支払いは現金で行われることが多いので、銀行口座に預金引き出しの記録はあるけれども、引き出されたお金がどこに行ったかわからないという場合、非常に説明しやすくなるからです。

 

海外旅行が好きで「一族郎党引き連れて豪遊するのが好きでした」などと説明することができれば「なるほど、この多額のお金はそこで使ったんですね……」と納得してもらいやすくなります。

 

ギャンブルも同様です。「競輪・競馬・パチンコなどが大好きで、しょっちゅう行っていました。でもほとんど負けていたみたいで、ずいぶんムダなことにお金を使うのねえ、って家族全員あきれていたんです」というような話ができれば、調査官も納得せざるを得ません。

 

ただし、だからといってまったくのでっち上げは見抜かれてしまいます。実際に旅行が好きだった、ギャンブルにはまっていたという事実があり、それを多少膨らませていうくらいは仕方ないとしても、まったくのウソはいけません。人の顔色からウソか本当かを見抜くことに長けているベテラン調査官の目はごまかせないものと心得てください。

 

旅行好きな人は、記録として写真を残しているもので、「それでは写真を見せてください」といわれることもあり得ます。また、パスポートの確認を求められることもあります。このようなことから、亡くなった人が旅行好きだった場合、あらかじめ「旅行の写真を整理しておきましょう」とお願いすることもあります。

 

愛人の存在なども「よくわからないお金の行き先」を説明しやすくするもののひとつです。総じて税務調査に関しては、ハチャメチャな遊び人と評判だった人のほうが楽な場合が多いものです。一番困るのは、真面目で品行方正、かつ日頃のお金遣いもきちんとしていた人です。こんな人があるときごっそりと預金を引き出していた、となると説明に困ってしまうのです。

「相手は何もかも知っている」ということを念頭に置く

⑤生前の生活費について

調査官は、生前に通帳から毎月引き出されている金額が、月々の生活費と比べて妥当なものかどうかを判断するために、生前の生活費がどれくらいかかっていたかを尋ねてきます。

 

毎月の引き出し金額と、食費や日用品費、交際費、医療費などの生活費とのバランスが取れていれば問題ありませんが、引き出し額の割に生活費としてかかっていた金額が少ないということになると「それではその差額はどこに行ったんですか?」と突っ込まれます。

 

調査官としては、もっともチェックを入れやすいのが家族名義の預金なので、「そのお金はご家族の口座に入れたのではないですか?」と追い打ちをかけてくる場合もあります。つまり、その差額は奥さんの、あるいは子どもの預金口座にこっそり入れられていて、相続財産になっているのではないですか、という方向にもっていきたいのです。

 

ですからこの質問には、「それなりに生活費はかかっていました」と説明しておくのが賢明です。たとえば「毎月の生活費は20万円でした」といってしまうと、調査官はたちまち、年間240万円、直近10年間というスパンで見てもトータルで2,400万円だな、と計算します。「それなのに毎月の通帳からの引き出し額は40万円もありますね。残りの20万円はどこにどう使ったんですか?」という話になってしまうのです。

 

行き先不明のお金がある場合は、生活費や遊興費でけっこうかかっていたことを強調し、引き出し額との整合性を持たせるようにしておいたほうがいいでしょう。

 

お客さまとの税務調査前の打ち合わせにおいては、過去の預金通帳の動きを実際に見せてていただき、お金の引き出し額に沿った形で説明できるよう、確認をしています。「主人が元気なときは何かと出費がかさみ、毎月○万円くらいはかかっていましたよ……」と、さらりといっていただくといいかもしれません。

 

また、亡くなった人がグルメだったとか、お酒が好きだったという場合は、そこを強調してもらうようにしています。「高価なものをよく取り寄せて食べていた」とか「ワイン好きでありとあらゆるワインを試していた」など、具体的なエピソードを挙げることができれば、説得力がアップします。

 

⑥預貯金は誰がどのように管理していたか

「預貯金の管理は誰がしていたか」、これは、亡くなった人の通帳の現物を見て確認するときの、布石としての質問です。ここで家族が「私です」と答えてしまうと、通帳確認で大きな入出金の記録が見つかったとき「ではこれは何のために使ったんですか?」と突っ込まれてしまいます。

 

このとき、お金の流れについてきちんと説明でき、調査官を納得させられればいいですが、そうでないと厄介なことになります。

 

「その入出金についてはわかりません」と押し通そうとしても、「おや、おかしいですね。この通帳はあなたが全部管理していたはずですよね?今になって『私は何も知りません』というのは、話が違うんじゃないですか?」と追及されてしまいます。

 

ですから、亡くなった人の通帳に関して、わからないことがあるようであれば、「それを管理していたのは故人であり、自分は月々の生活費をもらうだけだったので、そのお金については知りませんでした」というふうに正直に答えるのが得策です。

 

実は税務調査が入った段階で、税務署はすでに預貯金についていつどれだけの金額が引き出されたか、あるいは入金されたかということを全部把握しています。こちらも驚くほど詳細に調べてきているので、後は「その入出金の事実を家族は知っていたのかどうか」を確認したいだけなのです。

 

ですから「相手は何もかも知っている」ということを念頭に置いて、自分にとって不利にならない答え方をするのが大切になってきます。実際には、亡くなった人の妻が実質的に通帳を管理していたケースであったとしても、「私はタッチしていないので、通帳の内容については全然わかりません」といわれてしまうと、調査官としては、それ以上はなかなか追及できないのではないでしょうか。

 

 

服部 誠

税理士法人レガート 代表社員・税理士

税理士法人レガート 代表社員・税理士

昭和34年1月生まれ。中央大学商学部卒。昭和58年6月税理士登録。
人と人とのつながりを大切にした「誠実な対応」「迅速な対応」「正確な対応」をモットーに、税・財務の専門家として、個人の資産運用や相続・事業承継に関するコンサルティング、相続申告業務において多数の実績を持つ。相続申告・贈与申告・譲渡申告等の関与件数は1000件を超え、その経験を基に雑誌などのメディアや書籍の執筆活動なども行っている。

著者紹介

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本連載に記載のされているデータおよび各種制度の情報はいずれも、出典元である服部誠著『相続税の税務調査を完璧に切り抜ける方法[改訂版]』(幻冬舎メディアコンサルティング、2017年)の執筆時点のものであり、今後変更される可能性があります。あらかじめご了承ください。

 

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