収益水準を決定する「マシンの性能」
第1回目では、仮想通貨の本質と、仮想通貨マイニングの基本のお話をしました。今回は、仮想通貨マイニングを開始するにあたり、必要な機器を見ていきましょう。
<マイニング専用マシン>
マイニングで最も重要なのは、マイニングの収益を決定する専用マシンです。マシンの計算能力、消費電力、販売価格、耐久性などが、収益を決定する重要な要素となります。
マシンの購入は、数台であればとても簡単です。メーカーから直接購入したり、販売代理店を経由する手もあるでしょう。どちらにも長所短所がありますが、自分が希望するタイミングでまとまった台数をできるだけ安く買うためには、ノウハウや人的ネットワークが重要となります。
マシンの技術開発競争は熾烈を極めています。他社商品の能力を一時的に凌ぐマシンが登場しても、冷静に能力の持続性と、他メーカーの動向を分析・予測することが重要です。登場直後は素晴らしいパフォーマンスを誇っていたマシンが、1ヶ月後には競争力を失ってしまうことも珍しくないのです。
<電気設備>
日本の一般的な家庭では、100ボルトの電圧で30アンペアの電力供給を受けるのが通常です。つまり、3000ワットの電気をまとめて使用することができます。
また、コンセントから供給可能な電気は、一般的には1500ワットです。この状態でマイニングマシンを設置するなら、2台程度は一般家庭でも置けるかもしれません。
より真剣に取り組みたい方は、契約アンペアの変更や、200ボルトへの電圧変換工事を行います。ただ、一般家庭への電力供給は低圧電力と言われるもので、工事をしても供給量を大きく拡大するのは困難です。
弊社では、高圧受電設備を自社で設置し、電力会社から「卸売価格」で電気を買っています。そのため、変電設備を自前で所有しています。マシンの能力を最大限に引き出すため、設備内の電圧は200ボルトに設定しています。100ボルトの電気と200ボルトの電気では、マシンの実績値に明白な差が見られるためです。
<ネットワーク環境>
弊社の設備では、光回線を導入し最高速度での通信環境を構築しています。ただ実際に運用して行く中で、マイニング専用マシンによる通信量はとても少ないことも把握しています。通信環境のクオリティに問題があるとマイニングの機会ロスにも繋がるため、高品質な環境を構築することが重要です。特に弊社では、ネットワークが寸断されるリスクが低い環境の構築を意識しています。
マシンの「騒音」は相当なもの
<騒音対策>
セミナー時に体感していただきたいのですが、マシン1台だけでもかなりの音が発生します。一般家庭にマシンを設置する場合は、家族の理解があったとしても、生活に支障を来たすレベルの騒音を受け入れる覚悟が必要です。弊社の設備では、1拠点に500から600台のマシンを設置できる環境です。当然、発生音は非常に大きくなるため対策を施す必要があり、かつ民家から離れている必要もあります。また、排熱処理の換気システムから発生する騒音の対策も施しています。
<熱対策>
弊社設備のマイニングマシンは平均で500ワット程度の電力を消費しますが、その多くが熱に変化します。ヒーターが数百台存在すると考えれば、どれだけの熱かイメージしていただけるでしょう。冗談に聞こえますが、冬場のヒーターとして活用できるマイニングマシンを販売しているメーカーさえ存在しています。
熱対策については、弊社の設備でも改善の余地があると認識しています。排熱をうまく制御できないと、マシンが安定的に稼働できる室温を超えてしまい、マシンの故障リスクが高まります。また室温が高くなることで、マシンのファンはフル稼働の状態となり、余分に電力を消費してしまいます。熱対策の成否は、マイニングの収益にも影響を及ぼす要因です。
<遠隔監視・遠隔制御システム>
マシンの稼働状況を、目視だけで判断するのは限界があります。マシンの通信内容を見ないと判断しかねる状況が多々あるため、人間の目視よりもシステム上で監視する方が、精度も効率も高まります。
弊社では、富山県にある設備を常時システムで監視し、問題が発生すれば社員に随時対応させる仕組みを導入しています。遠隔制御システムで迅速に問題解決に当たりますが、人間の手による物理的な対応が必要な際は、現地の人材を即座に投入する仕組みも構築しています。
セミナーでは、マシンを数台持参して会場で稼働させますので、マシンに触れたり、マシンの音や熱風を体感していただくことも可能です。