マイニング事業には「3つの特徴」がある
「日本ではマイニングで利益を得ることは不可能になった」
そう語る業界関係者がいますが、果たして本当にそうなのでしょうか?
実際のところ、利益を出すことは日本でも可能です。ただ、この状態が改善するのか、はたまた悪化するのか、同じ状態が継続するのかといった将来の動向については、予想が難しいというのが現状です。
マイニング事業の収益性を正しく評価するためには、3つの側面を理解する必要があります。
特徴1:インカムゲインを獲得できること
特徴2:キャピタルゲインを期待できること
特徴3:減価償却を計上できること
今回は、それぞれどの様な特徴があるのかを探っていきましょう。
特徴1:インカムゲインを獲得できること
仮想通貨相場が下落基調を形成している局面でも、マイニングを継続すれば、マイニング報酬が発生します。特に、プールマイニングという集団でのマイニングに参加すれば、収益性は安定します。これは、単に円から仮想通貨へ換えた場合(いわゆるトレーディング)には無い特性です。
円から仮想通貨に換えた場合では、下落局面では評価損を広げてしまい相場の回復を待って収益を狙うことしか選択肢がありませんが、マイニングなら始めた日からインカムゲイン(家賃収入のようなもの)を得ることができます。
特徴2:キャピタルゲインを期待できること
マイニングで獲得した仮想通貨を、市場で円などの法定通貨に替えることも可能です。また、そのタイミングは投資家自ら選択することができます。
マイニングで獲得した仮想通貨が大きく値上がりしたタイミングで円に換えれば、多くのキャピタルゲイン(株価上昇による利益のようなもの)を獲得できます。また、マイニングで獲得した仮想通貨を、他の仮想通貨に換える事も可能です。
他の仮想通貨に将来性を見出せば乗り換えることもでき、自らの判断で自由に選択することが可能なのです。
特徴3:減価償却を計上できること
投資家が自分でマイニングマシンを所有する場合、これらのマシンの購入費用は減価償却の対象になります。収益が期待できる投資対象で償却が計上可能ということが、いかに大きな利点かは、高所得者層や事業法人の経営者なら理解できるでしょう。
円を仮想通貨に換えて収益を追求しようとする場合(いわゆるトレーディングを行う場合)、その仮想通貨を用立てるコストは償却対象にはなりません。事業に投じるマシンは、一般事業と同じようにコストと認識されるのです。
※税務に関する判断は、担当の税理士と相談し決定してください。最終責任はご自身に帰属します。
安定運用型なら「中堅クラスの通貨」が投資対象に
投資戦略1:安定運用型
日収は比較的小さいものの、マイニング競争が比較的落ち着いているため、比較的安定した収益が期待できる投資戦略です。この場合、予想される投資回収期間が相対的に長くなります。この投資戦略では、新型マシンの開発競争が緩やかな仮想通貨が投資対象となる場合が多く、時価総額ランキングでいうと中堅クラスの通貨となります。
投資戦略2:短期集中型
大きな日収を狙えますが、メーカー間の高性能新型マシン開発競争が活発であるため、収益水準の持続性に懸念が存在することを理解した上で行う投資戦略です。できるだけ短期間で投資回収を急ぐことになります。
このような収益特性を期待できるマシンは高価になる場合が多いですが、日収とマシン価格に合理性を見出した場合は、できるだけ速やかにマシンを購入することが重要です。このようなマシンがマイニング対象とするのは、時価総額ランキングでいえばトップクラスのものになります。
マシンメーカーは、巨額の設備投資資金を回収し利益を拡大させるために、元からマイニング人口が多い仮想通貨をターゲットにします。人口が多ければ、マシンを多く販売することが可能だからです。
<今後の展開>
新型マシンの開発競争は今後も継続していくでしょう。また、これらに関する詐欺的な話も増えると思われます。
今後は、金融資産に対する投資のように、リスク分散の考え方を導入することが重要になってきます。つまり、投資の内容と投資のタイミングを考えたリスク分散です。例えば、上記の安定運用型と短期集中型に対応するマシンを組み合わせたり、投資タイミングを意図的に複数回に分けることが挙げられます。
これまで、夢や希望だけで語られる傾向が強かったマイニングビジネス。しかし、相場状況が混沌とする中で、より一層、資産運用目線での吟味が重要です。
しかし、残念ながらそのような視点に基づいて事業設計しているマイニング業者は少ないのが現状です。不動産投資や株式投資などの一般的な資産運用と比較し、マイニング事業の期待収益やリスクについてよく考えることをお勧めします。
小田嶋 康博
株式会社ジェイベース 代表取締役 兼 共同創業者