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既に5,000社超え…日系企業のタイ進出 中小の強みとは?

中小零細・ベンチャー起業の海外進出が増えている。タイへ進出した企業データで見ると、進出企業数はこの3年で20%増加、サービス・非製造業が躍進し、中小の進出数が大企業を上回った。強みはどこにあるのか? タイ現地の知見を元に、中小企業の海外進出に役立つ情報をレポートする。

中小零細のサービス業で、東南アジアへの進出が増加中

海外進出といえば、以前は、上場企業や一定規模以上の大企業がメインでした。しかし最近では、中小零細・ベンチャー企業の社長が東南アジアへ新たな収益源を求め、動き始めています。それも、まるで地方拠点をつくるようなスピード感覚です。

 

アセアン10ヵ国の人口は6億人を超え、人口増加率・経済成長率も高いエリア。親日国が多く、時差が少ないことも魅力です。中間富裕層が多く、日本への投資意欲も旺盛になってきており、買う側だけでなく、売る側として海外をとらえる動きも見られつつあります。

 

こうした流れを受け、小規模の会社は、事業規模が小さいことによるリスクもありますが、臨機応変にローカル事情に合わせて対応できる強みで勝負しています。海外進出企業の業種が、従来の製造業から、サービス業全般へシフトしつつある背景も後押ししています。

タイ進出の日系企業は5,000社超え…非製造が伸びる

東南アジアといっても、国別に法律や習慣、リスクの度合いは違います。今回はタイのM&A・投資環境について紹介していきましょう。

 

カラーバス効果という言葉を聞いたことはあるでしょうか。たとえば、赤色を意識して街に出ると、赤い車、赤の看板などが目に飛び込んでくる現象で、心理学用語です。筆者は2カ月程前からタイへの出張が決まっていたせいか、日本にいながら現地のM&A情報などが、どんどん飛び込んでくる不思議な感覚に包まれました。これほどタイに関係している日本人が周りにいるのか…と驚きでした。

 

滞在中に、日本貿易振興機構(ジェトロ)から日系企業の調査報告書が公表されました。タイに進出する日系企業はこの3年で約20%増加し、現時点で5,400社に達しています。以前は過半数を占めた製造業ですが、直近3年で進出した日系企業は製造業約200社に減少し、非製造、サービス関連企業が630社と比率が大きく逆転しています。

 

特に卸売業、会計事務所、人材紹介、コンサルタント業、コールセンターなどの専門サービス業が目立ちます。また、中小企業の進出数(432社)が大企業(404社)を上回っており、日本の特徴的なサービスを持つ企業が、新天地を求め、進出している様子が伺えます。

タイでBOI認定を目指す企業は多いが…意外な注意点が

日系企業のM&Aや、タイ進出の話題をしていると、BOI(Board of Investment)というキーワードが頻繁に出てきます。タイ経済の発展・雇用にメリットがあると思われる企業に、出資比率の規制緩和や税制優遇制度などを与える機関です。

 

このような背景もあり、BOIの認定を受けることを目標とする日系企業が多いのですが、目論見が外れるケースも見受けられます。政治問題などで優遇制度が反故になることもあるようです。

 

ルール通りに申告していたにも関わらず、国税当局より10億円規模の追徴課税をされた日系大手企業の事例もありました。

 

また無理にBOIを取得した場合など、3年後の監査で問題になるケースも多いようです。日本でも同じですが、国から助成金や優遇制度を受けると、その後の経理処理・報告書が面倒になります。まずは、優遇なしでビジネスが成立するかどうかを判断することが、海外進出の基本です。

タイから撤退を検討する企業を「事業承継」する手も…

現地にて債権回収を行っている人から、決算書類の信憑性についてヒアリングしました。残念ながら会計ルールを遵守していない企業も多いとのことです。もちろん、日本でも同じことはいえるかもしれません。また、仕事に対する意欲、お金に対する考え方、契約概念の違いなど、当然ながら日本とは商慣習が違うため、戸惑うことは多そうです。

 

現地の水先案内人である日本人に騙されたという話は世界各国でよく聞きますが、残念ながらタイも例外ではありません。どうしたら信頼できる水先案内人に会えるのでしょうか。最終的には自己責任で判断するしかありませんが、人の判断など限界があります。まずは、自分だけは大丈夫という思い込みを捨てる、即決しない、現地での風評はどうか、共通の知人はいるかなど、自分なりの判断軸を持つことが大事です。

 

タイは歴史的に多くの日本企業が進出し、当然ながら失敗事例も数多く存在します。敬意を表して、その先人達の失敗経験から法則を学ぶべきです。

 

また、現在も5,000社を超える日系企業が存在し、その数はさらに増加傾向にあります。そのなかに本社の意向や、現地マネジメントの失敗、BOIの監査指摘などで撤退を考えている企業があるはずです。他国の外資系企業も含めれば対象は大きく広がります。そのような日系を含めた外資系企業を事業承継する戦略も、最初の入口として有効です。

 

独特のローカルールもあり苦労することもあるでしょう。しかしながら、そのいい加減さ、怪しさ、混沌さを含めて、「タイ」には多くの日本人経営者を惹きつける魅力があるようです。

 

 

 

齋藤 由紀夫

株式会社つながりバンク 代表取締役社長

株式会社つながりバンク 代表取締役社長 

オリックス株式会社1996年~2012年。16年在籍。 在職中に多くの新規Projectに参画し、東京都、銀行、カード会社などに出向。ベンチャー企業から上場企業まで投融資を実行。経営企画部時代(約8年在籍)に、出資先の株主間調整、合弁契約解消、事業撤退・売却、海外子会社統合、債権回収業務など前向きから後ろ向き案件の対応をこなす。2012年、株式会社つながりバンク設立。スモールM&A市場の普及・拡大をメイン事業とし現在に至る。自らも小規模の事業系投資を実践中。

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