スマホや漫画等、勉強の妨げになる誘惑を遠ざける
毎回毎回、「よし、今から勉強をしよう」と意気込んでいるようでは、勉強に取りかかるためのハードルが不必要に上がってしまいます。「よし、やるぞ」という意気込みが、勉強を難しく大変なことだと思わせてしまうのです。
勉強の習慣化のためにまず大切なことは、始めるハードルを下げることです。
やる気に満ちあふれているときは、どこにいても、すぐに勉強に取りかかれることでしょう。問題は、やる気が湧かないけれど、やらなければならないときにどうするか。このときのコツは、勉強に取りかかるための環境をあらかじめ整えておくことです。
行動を起こすときに邪魔になるものを取り除き、それによって勉強に取りかかるハードルを下げておくのです。例えば、勉強を始めようとしたときに、目の前にスマホが置いてあればどうでしょうか。つい手に取ってしまい、気づけば1時間が経過していたということになりかねません。
こうした事態を避けるためには、スマホや漫画のような勉強の妨げになる誘惑を遠ざけておけばよいのです。近くにあるから、誘惑に負けてしまいます。誘惑を遠ざけることで勉強に集中しやすくすればよいのです。
塾や予備校には自習室がありますが、その空間では、勉強するしかありません。勉強の妨げになるものがない空間で皆が勉強していると、自分も勉強する以外、やることがなくなります。やる気が湧かなくても、勉強する環境に身を置くことで勉強しようという気持ちに変えることができます。こんな小さなことも、どんなときでも取りかかるための仕組みを作るということの一つです。
とてもシンプルで、当たり前のことのように思われるかもしれません。でも、部屋を見渡してみてください。誘惑になるものがたくさんあるのではありませんか? 誘惑を遠ざけるという、ただそれだけのことを、まずは試してみてください。誘惑に負けないように気合いで耐えるとか、邪魔があっても頑張る精神力が大切とか、そんなことは無駄なことです。邪魔なものは取り除いてください。余計なことに力を使うべきではありません。
また、勉強を始める際に邪魔になることがもう一つあります。それは、何から手をつけていいか迷ったり、途中でやることを無秩序に変えたりする、計画性のなさに起因することです。机について、さあ何から始めよう、と考えていたのでは着手が遅くなり、あれもこれもと無駄な時間を費やしてしまいます。この迷っている時間も、一つのハードルになってしまうのです。
勉強習慣がない場合は「まず5分だけ」と思って開始を
勉強習慣が身に付いていない人におすすめの勉強を続ける仕組みは、「まずは5分だけ」と思って始めることです。「5分だけ勉強したらやめてもよい」と思って始めるのです。これから2時間ぶっ続けで勉強するぞ、となるとなかなか机に向かえなくても、5分だけと決めておけば始めるためのハードルはぐっと下がります。
5分くらい勉強する頃には、勉強をもうすこし継続してもいいかなと思えるようになっているはずです。
これは、心理学者のクレペリンが発見した「作業興奮」と呼ばれる状態を利用した方法です。はじめはやる気がなくても手を動かし、脳を働かせることで、脳の側坐核と呼ばれる場所から、ドーパミンと呼ばれる神経伝達物質が分泌されます。
このドーパミンには人間のやる気を引き出す働きがあるそうです。このドーパミンの効果は、やり続けることによってどんどんアップします。やる気がアップすれば、さらに脳の働きが加速度的に良くなります。無理をすることなく、勉強でも作業でも続けることができるのです。
これは、やる気にスイッチを入れるようなもの。だからこそ、まずは5分始めることが大切なのです。最初の5分をスッと始められさえすれば、あとは脳が働いてくれます。大変なのは、何もしていない状態から始めるというところですから、そこさえ乗り越えれば、止まらない状態になって、いくらでも続けられるというわけです。
自転車をこぎ出すときに重く感じたペダルも、やがて重さを忘れてしまい、快調にこぎ進むうちに自然と回転数が上がっていくような感覚です。勉強に取り組むための仕組みの一つがこの「5分だけ、始めてみる」ことです。
勉強を始めるためのハードルを下げておくことによって、気持ちにストレスをかけずに、スッと始められるようになります。
やる気は待っていても湧いてきません。とりあえず、すこしだけ。まずはやってみるくらいの気持ちが、勉強を始め、続けるための一番のコツなのです。