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ハウステンボス黒字化の例に見る「マーケティング」の重要性

今回は、ハウステンボス黒字化を例に「マーケティング」の重要性を見ていきます。※本連載では、いつか起業したい、企業を買収して経営に携わりたい、という方々に向け、様々な事例を挙げながら企業経営の要諦を解説していきます。

ポイントは「誰に」「何を」「どのように」売るか

今では当たり前のように使われているマーケティングという言葉ですが、本来どのような意味を持つのでしょうか。

 

マーケティングの大家であるコトラーは「マーケティングとは、個人や集団が、製品および価値の創造と交換を通じて、そのニーズや欲求を満たす社会的・管理的プロセスである」と定義しています。簡単に言えば「売り手が製品やサービスを作って販売し、買い手は欲しいものを買う際の過程のすべて」がマーケティングということになります。

 

このように定義を考えると分かりにくくなってしまいますが、実際のマーケティングに活用する際に考えるべきポイントは、実は3つだけです。

 

●「誰に」「何を」「どのように」売るか

 

それぞれの指すもの、考え方をまとめるとこうなります。

この3つを徹底的に考えて、磨き上げるだけで、よりよいマーケティング戦略をつくることができます。

HIS創業者の澤田氏が立てた戦略とは?

テーマパークとして知られているハウステンボス(長崎県佐世保市)は、開園時から18年間赤字を続けていました。入場者は1996年度には380万人を記録しましたが、その後は徐々に減少し、2003年には総額約2,289億円の負債を抱えて、会社更生法の適用を申請し破綻してしまい、その後は経営権が転々としました。

 

しかし、旅行会社である株式会社エイチ・アイ・エスの創業者としても有名な澤田秀雄氏に経営権が移った後、驚くべきことに1年で黒字化しました。澤田氏はどのようにして黒字化を実現したのか、それを考えていくことにしましょう。

 

まずは、澤田氏に経営権が移った際の状況を整理してみます。テーマパークの成功条件は商圏規模、アクセス、ブランドと言われていますが、ここでは知名度の高い東京ディズニーランド(TDL)、ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)と比較します。

 

 

比較してみるとアクセスが悪く、商圏は小さいという大きなデメリットがあることが分かります。一方でテーマパークの立地を変えることはできませんので、ハウステンボスのブランド力を高めて今まで来なかった層に訴求し、集客力のあるテーマパークに生まれ変わるマーケティング戦略をとる以外に再生への道はありませんでした。

 

さて、マーケティング戦略として先ほど述べた「誰に」「何を」「どのように」の3つで従来の取り組みと新しい取り組みを比較します。

 

 

澤田氏は、花と緑と水に囲まれた美しい街並みと広い敷地面積を活かした企画による若年層の取り込みや、日本の西の端にあって中国・台湾・韓国から近いことによる東アジア観光客の取り込みができると考えました。

 

具体的な取り組みとしては、AKB48のコンサートや人気アニメ「ONE PIECE」に登場する船の常設など新しいターゲットに合った企画を開始しました。また、今までにやっていた取り組みについても廃止はせず、顧客が来たくなるような価値をつけてそのPRを行いました。

 

例えばバラ祭はアジア最大級であること、冬季夜間のイルミネーションについては規模を拡大してまで日本一・東洋一のイルミネーションであることをアピールしていきました。これらの取り組みによって、ハウステンボスは2010年の150万人弱から2015年には307万人へと来場者数の倍増を実現することになります。


ハウステンボスの取り組みはこれだけではありませんが、例に出したように「誰に」「何を」「どのように」を考えてみるだけでも、十分に効果のあるマーケティング戦略をとることができます。これは中小企業であればなおさら重要となります。中小企業にはお金がなく、様々な取り組みを同時にすることはできないからです。中小企業だからこそ知恵を絞って戦略を考え抜き、工夫した取り組みをすることが大切なのです。


マーケティング戦略に関するさらなる知識を身につけることで、自社の商品・サービスについての「誰に」「何を」「どのように」をより効果的・効率的な形で決めることができるようになります。

 

次回からは、そのために使える様々なフレームワーク(考えるための枠組み)をご紹介していきます。これらのフレームワークを知っているかどうかで、戦略を考える際の漏れや重複が少なくなり、その結果として経営成績に大きな差が出てきます。読者の皆さんがマーケティング戦略によって成果をあげるための一助になれば幸いです。

MASTコンサルティングパートナー 

中小企業診断士、ダイバーシティ・コンサルタント、ビジネス相談員、女性・若者・シニア創業サポート事業 地域創業アドバイザー、南伊豆町商工会地域診断等事業実行委員会 副委員長など数多くのコンサルティング活動を行いながら、企業にて、戦略立案、マーケティング、教育・研修等に従事。中小企業診断士として、経営支援、行政の施策策定支援、講師(公的機関の管理者向け研修、ビジネスセミナー等)、執筆、補助金申請支援等も行っている。

著者紹介

MASTコンサルティング株式会社 代表取締役
中小企業診断士 

1974年生まれ。慶應義塾大学総合政策学部卒業後、大日本印刷株式会社にて情報システム業務、監査法人トーマツにて上場支援業務に従事した後、独立。
2011年に中小企業診断士を取得。経営支援に従事する士業がネットワーク化し活躍するためのプラットフォーム構築を目指して2013年MASTコンサルティング株式会社を設立、2015年には中小企業の海外展開支援のため同タイ法人を設立、両社の代表取締役就任。
中小企業のIT、財務だけでなく、事業承継、M&A、海外展開支援等に携わっている。

株式会社MASTコンサルティング
中小企業診断士を中心に税理士、弁護士、社会保険労務士など、50名以上の国家資格保持者が所属するコンサルティングのプロフェッショナル集団。
所属メンバーは、財務・税務・人事・法務・マーケティング、また製造業・卸売業・建設業・サービス業・ITなど、職種や業界ごとの得意分野を持ち合わせています。中小企業の経営に必要な知識と経験を活かし、中小企業経営者をワンストップでサポートします。

著者紹介

連載会社設立から資金調達、事業承継まで…「起業」のための基礎講座

 

 

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