売主・買主の双方にエージェントがつくのが一般的
物件の情報収集と並行して行うのが、買主の立場に立って動いてくれるエージェント探しです。
日本では、売主が依頼した不動産会社が買主側についても仲介することが珍しくありません。つまり、1社が売主と買主、両方の間に立って、手数料も両方から受け取るのです。
しかし、ハワイを含めてアメリカではこれは例外的で、売主には売主のエージェント、買主には買主のエージェントがつくのが一般的です。
なぜなら、売主は少しでも高い価格で売りたいでしょうし、買主は逆に少しでも安く、自分の都合のよい条件で契約したいと考えています。つまり、両者の要望は相反しており、それを1社が代理してまとめるのは矛盾しかねないのです。
ただし、例外もあります。売主と買主、双方にとってメリットがあり、双方が承諾すれば1社が代理することもあります。これを「デュアル・エージェンシー」といいます。
私(河野)も最近、共通の知人であるAさんとBさんの売買契約をデュアル・エージェンシーでまとめました。Aさんの家をBさんがずっと借りていたのですが、それをBさんが買うことになりました。価格をはじめ契約条件を詰めたり、いろいろな手続きをするのにお互い代理人を立てるより、私(河野)に任せたほうがいいだろうということで、依頼されたものです。
私のほうでも仲介手数料をいくらか安くし、さらに売主Aさんはその分を売買価格から差し引くようにしました。
エージェントがいれば、詳細情報が入手でき負担もゼロ
さて、ハワイの不動産会社や不動産協会のホームページで、物件名や広さ、価格などある程度の基本情報は得られると言いましたが、より詳細なMLSの情報は会員であるエージェントに依頼する必要があります。
したがって、ハワイでは通常、買主は自分のエージェントを選び、そのエージェントを通して物件の詳細情報を得、また売主のエージェントとの交渉を進めます。
MLSでは、指定の売り物件に動きがあった場合、その情報を自動的に送信するサービスがあります。この自動送信システムも、会員の不動産会社を通さないと利用できません。
自分の希望物件に動きがあった場合は、すぐ情報が入るように頼んでおくとよいでしょう。数カ月間、自動送信を受け取っていると、自然に指定した物件の価格などの動きが分かってくるはずです。
なお、先ほども説明したように、買主は自分のエージェントに手数料を支払う必要がありません。中古物件の売買においては、売主が取引価格の6%の手数料を支払い、それを売主のエージェントと買主のエージェントが折半します。
買主にとっては、売主の負担で自分の味方になってくれるエージェントを雇えるのですから、利用しない手はありません。