前回は、「廃院した場合」と「M&Aでクリニックを残す場合」のメリット・デメリットについて紹介しました。今回は、廃院をお勧めできない大きな理由のひとつである「コスト」について見ていきます。

廃院にかかるコストは1000万円以上になるケースも

前回、廃院にはほとんどメリットがなく、デメリットばかりだということをお伝えしました。

 

中でも廃院をお勧めできない大きな理由のひとつとして、廃院にかかるコストがあげられます。クリニックの規模や診療科目によっても差がありますが、トータルで1000万円以上になることもあるのです。

 

廃院コストには、大きなものだけでも次のようなものがあります。

処分、原状回復・・・廃院コストはどんどん膨らむ

●登記や法手続きなどの費用

個人事業でも医療法人でも、各方面に届出が必要です。従業員を雇用していて雇用保険や健康保険など社会保険の適用を受けている場合は、その手続きも必要です。これらの手続きを税理士や行政書士、司法書士、社会保険労務士などに代行してもらう場合は、その報酬も必要になります。

 

●医療機器や薬剤など医療廃棄物の処分費用

使用していた医療器具や残った薬剤などは、医療廃棄物として専門業者に処分してもらう必要があります。

 

●医療用検査機器などの処分費用

CTやMRIなどの検査機器は、中古品として業者に買い取ってもらうことができます。しかし、老朽化している場合などは廃棄せざるを得ません。リース代が残っている場合は、その清算も必要です。

 

●建物の取り壊しや原状回復の費用

クリニックが建物を借りて診療している場合、建物を元の状態に戻して貸主に返さなければなりません。建物が自前であっても、借地の場合は建物を取り壊して返還することになります。契約書で定めがある場合には解約金や違約金が発生することがあります。

 

●従業員の退職金

雇用していた従業員を解雇するにあたって、退職金を支払うことになります。

 

●借入金の残債の清算

クリニックに借入金がある場合は、閉院までに清算しておく必要があります。

本連載は、2015年9月25日刊行の書籍『開業医のためのクリニックM&A』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

開業医のためのクリニックM&A

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岡本 雄三

幻冬舎メディアコンサルティング

人口の4人に1人が高齢者という超高齢社会を迎え、社会保障費が年々増加を続けている日本。政府による医療費圧縮策や、慢性的な看護師不足、さらに後継者不足により、日本の開業医はかつてない苦境に立たされています。 帝国デ…

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