発端は、2008年の「リーマン・ブラザーズ・ショック」
なぜ世界的に今、資産インフレ、マネーバブルが起ころうとしているのか。その発端、出発点は、2008年に起こったリーマン・ブラザーズ・ショック(アメリカの投資銀行リーマン・ブラザーズ・ホールディングスの破綻)です。
リーマン・ブラザーズ・ショックは債務バブルの爆発でした。資金の借り過ぎが招いたバブルの弾けであり、その発火点となったのはサブプライムローンと呼ばれた住宅ローンです。
返済能力のない人にまで住宅ローンを組ませ、どんどん貸し付けて、「住宅の資産価値が値上がりしたら売りましょう」と購買欲を煽りました。
資金も返済もスムーズに回転している時は、それでも問題はありませんでしたが、ひとたび住宅が値下がりし始めると、逆回転を引き起こしました。
もともとローンの返済能力のない人たちなので、途端にデフォルト(破綻、債務不履行)です。サブプライムローン・ショックが起こった。これが発火点となってサブプライムローンを中心に債務過多になっていたアメリカの投資銀行が、次々とおかしくなったのです。
当時、有力な投資銀行であったところが、ほとんど軒並み債務返済不能に陥りました。ベア・スターンズというニューヨークの大手投資銀行の傘下のファンドがまず最初にデフォルトし、ドミノ倒しが始まったのです。その中でも最も大きな破綻(デフォルト)がリーマン・ブラザーズでした。
世界経済とバブルの相関関係とは?
リーマン・ブラザーズ・ショック後、アメリカの有力な投資銀行で生き残ったところは十数社のうち3、4社だけ。
[図表1]世界経済とバブルの相関関係(1980~1990年代後半)
[図表2]世界経済とバブルの相関関係(2000~2010年代後半)
そのまま放置していると1929年の世界大恐慌の再来となってしまうので、FRB(連邦準備制度理事会、アメリカの中央銀行制度)は歴史的な金融緩和を断行します。
2008年から2015年まで、QE1、QE2、QE3という、計3回の量的金融緩和政策を行ない、昨年2016年、ようやく危機を脱するところまできた。それが現在の状況です。
2016年からはテーパリング(量的金融緩和の縮小)で資産の圧縮を始め、2016年後半から政策金利の利上げができるようにもなりました。0.25%ずつ、都合3回の利上げをFRBは行ない、2017年年末までにさらなる利上げ観測も出ています。