誰もが自由にオンライン市場で商品を売買できるようになった今、価格付けの可能性も大きく広がっている。本連載では、真の市場価値を発見することができる「オークション」の概要とその魅力を探っていく。

個人が価格を柔軟に付けられる「オンライン市場」

「IT革命」がうたわれて久しいが、インターネットはほんとうに市場のあり方を変えてしまった。Amazonは街角の書店を、音楽の配信ビジネスはCDショップを、楽天はデパートを、経営危機に追いやったり閉店させたりしている。要らなくなったものを売りたければ、いまや誰でもメルカリやヤフオクで自分の店舗をもち販売できる。

 

価格を柔軟に付けられる、というのはオンライン市場で売るときの便利な点だ。値上げや値下げが簡単にできるし、ヤフオクにいたってはオークションで価格が決まる。オークションができるとは、売り手は「いくら」と値付けせずに出品ができるようになったということだ。これは実に革命的なことだ。

 

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実際に人を集めてオークションを開くのはとても大変だ。会場を確保して、定時にお客さんたちを集めて、オークショニアが木槌を叩いて競り上げを実行せねばならない。オークションを開く側も、参加する側もコストがかかるから、そう簡単にはできない。とくにお客さんが会場に集まらねばならないという制約は厄介だ。上客が一人その場に行けないことが結果に大きく響いてしまう。

 

しかし本当は、オークションはものの売り方として理想的なのだ。たとえば着なくなった洋服をメルカリで売るとして、いくらの値付けで売ればよいだろうか。その「特定の洋服」の「特定の中古具合」をどう評価して値付けすればよいのだろうか。そもそも、どんな客がいて、どんな好みをもっているかも分からないので、適切な値付けは至難のわざだ。

 

悩んだすえ、その洋服に1万円の値を付けて売れたとしよう。あなたは思いがけず高値で売れたことを喜ぶかもしれない。しかし1万円で売れたということは、1万円をスタート価格としてオークションをしていれば、1万円以上で売れたはずなのだ。もしそのとき1万2千円で売れていたとするなら、差額の2千円は「オークションしなかったことによる潜在損失」である。

「相場」がないものほど、オークションに適している

もちろん私たちは日々の買い物で、いちいちオークションをやりはしない。たとえばスーパーマーケットで魚を買うとき、私たちは店が付けた価格でそれを購入する。しかしその価格のベースはオークションで決まっていることが圧倒的に多い。たとえば築地市場のオークションで「ベースの価格」が決まり、それに輸送費や人件費などが上乗せされて、スーパーマーケットは値札の金額を決める。

 

当たり前といえば当たり前のことだ。魚といえども、「相場」はあらかじめ定まっているわけではないし、日々一定なわけでもない。誰も「いくら」と値付けしてよいか分からないから、オークションで価格を付ける。真の市場価値を発見する装置がオークションだといってよい。

 

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いわゆる「相場」がないものほど、オークションに適している。たとえば「一点もの」の美術品に、確たる相場はない。オークションを開催する美術商は、出品物に参考の「予想落札価格」をつけることが多いが、「100万円~200万円」のように、かなりの幅をもたせるのが通常である。もちろん実際にオークションをやってみると、その幅におさまらないことも多い。プロであっても価格は予想できないのだ。

 

IT革命は、オークションの開催を容易にした。これは、相場がないものを、無理やり「いくら」と値付けして売らずに済むようになったことを意味する。ほんらいオークションで売るべきものを、オークションで売れるようになったのだ。

 

たとえば不動産は、美術品と同じように、どの商品も「一点もの」である。現在でも不動産は先に「いくら」と値付けして市場に出し、売るのが当たり前となっている。だがすべての不動産がそのような売り方に向いているわけではない。オークションという売却手法が選択肢にある現在、その選択肢を放棄して潜在損失をこうむる必要はない。とくに不動産の場合、単価が高いので、かりに10%の潜在損失だとしても、その金額は何百万円とか何千万円になる。

 

IT技術の発展は、スマホが黒電話を駆逐するといった、機器の変更をもたらしただけではない。それは「価格付けのやり方の可能性」を広げもしたのだ。もともとオークションに向いていたものを、オークションで売れるようになったのだ。

 

実はオークションには、さまざまなやり方(ルール)がある。どのやり方にするかで、結果は変わってくる。オークションルールの選択は重要な課題なのだ。開催する側はもちろん、参加する側も、戦いのルールは知っておいたほうが有利だ。次回は、その概要を説明しよう。

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