本連載では、ブログ『ニルスの暗号通貨日記』を運営するニルス氏に、仮想通貨投資におけるリスク対策やセキュリティについて解説していただく。

取引所に保管=盗難リスクと常に隣合わせ!?

近年、魅力ある投資先として人気が沸騰している仮想通貨。興味を抱いている方も多くいらっしゃると思います。しかし、仮想通貨投資には様々なリスクが潜んでいます。これらのリスクを軽んじ、対策を疎かにすると、大きな損害を被る可能性もあります。そこで本連載では、仮想通貨投資におけるリスクと、その対策について解説していきたいと思います。今回は、取引所に関するリスクについて解説します。

 

仮想通貨を日本円で購入したり、仮想通貨同士を取引するためには、bitFlyerやBitbankなどの仮想通貨取引所への登録(口座開設)が必要となります。各取引所は、インターネットバンクと同様に、厳重なセキュリティ対策を施しています。万全な対策がとられているはずの取引所ですが、仮想通貨の歴史のなかで度々大きな事件が発生しています。

 

2014年2月、当時世界最大のビットコイン取引所であったMt.GOX(マウントゴックス)が顧客からの預かり資産であるビットコインを消失させ破綻した事件をはじめ、2016年8月には香港を拠点とする大手海外取引所のBitfinex(ビットフィネックス)がハッキング被害に遭い、時価にして60億円を超えるビットコインが盗み出される事件が起こりました。

 

そして、2018年1月26日、日本の仮想通貨取引所として最大級の取引高を誇っていたCoinCheck(コインチェック)で580億円相当の仮想通貨NEM(ネム)がハッキングにより盗まれるという事件が起こりました。この事件は、テレビや新聞でも大きく報じられたため、ご存じの方も多いかと思います。

 

被害額の大小こそあれ、このような取引所に対する攻撃、盗難事件は今日まで幾度も発生しています。取引所の口座に仮想通貨を預けておくことは、取引所のハッキング・盗難リスクと常に隣合わせなのです。

取引所の口座を複数保有しておく理由とは?

「仮に盗まれたとしても、取引所が補償してくれる」と思われる方もいるかもしれません。確かに、保険会社と協力し、仮想通貨取引所向けの保険に加入しているところもあります。しかし、まだまだ補償の条件や範囲について十分な補償が整備されているとは言い難い状況です。

 

仮に利用者に対して補償が行われるとしても、審査や手続きなどでそれなりの時間を要するでしょう。その間、ハッキング事件のために仮想通貨の価格自体が大きく値下がりしてしまった場合、法定通貨への換金が遅れ、逃げ遅れによる損失を被る可能性も低くありません。

 

対策としては、自分の保有する仮想通貨は「ウォレット」と呼ばれるソフトウェアや専用の保存機器に保管し、自己管理を行うことです。取引や換金の際のみ、取引所へ仮想通貨を送金する形です。

 

さらに、攻撃を受けた取引所が一時閉鎖したり取引が行えなくなるリスクを想定し、複数の仮想通貨取引所で口座を開設しておくことも重要です。仮にAという取引所が攻撃を受けた場合も、あらかじめ口座を持っているBという取引所へ自身のウォレットから送金することで、迅速に日本円へ戻すことができるでしょう。

 

度重なる攻撃を受け、各取引所もより一層のセキュリティ対策を講じています。しかし、その穴を突いて仮想通貨を盗み出そうとする者たちは常に存在し、手口も巧妙化しています。銀行のような感覚で仮想通貨取引所を利用していると、思わぬ形で足をすくわれるかもしれません。

 

とはいえ、仮想通貨の購入やトレード、レバレッジ取引など、仮想通貨投資において取引所の利用は避けては通れません。「取引所リスク」をしっかりと認識した上で、「ひとつの取引所に全資産を預けない」「トレード分と保管分をわけて管理する」など、自分なりのルールを定め、リスクに備え賢く利用しましょう。

本メディア並びに本メディアの記事は、投資を促したり、特定のサービスへの勧誘を目的としたものではございません。また、投資にはリスクがあります。投資はリスクを十分に考慮し、読者の判断で行ってください。なお、執筆者、製作者、合同会社幻冬舎ゴールドオンライン、幻冬舎グループは、本メディアの情報によって生じた一切の損害の責任を負いません。

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