今回は、「現物出資」における3つの留意点を見ていきます。※本連載は、起業コンサルタントとして活躍する中野裕哲氏の著書、『起業の疑問と不安がなくなる本』(日本実業出版社)から一部を抜粋し、起業の際の会社設立・許認可に関する疑問に焦点をあて、詳しく解説をしていきます。

現物出資する場合は「モノの評価額」に要注意

<情報のレベル>☆☆☆

Q:営業車として使う自家用車の現物出資を検討しています。モノを出資すると対外的にどういった影響があるでしょうか?

 

A:モノを評価するときに注意しよう

 

出資には、現金を払い込む「現金出資」と、お金の代わりにモノを出資する「現物出資」の2通りの方法があり、現物出資できるものは以下のようなものです。

 

【現物出資できるもの】

●土地や建物

●社用車

●設立後に販売する製品や商品

●株式などの有価証券

 

逆に、現物出資できないものは以下のようなものです。

 

【現物出資できないもの】

●名義書換ができない預金や保険証券

●未完済のため所有権が移転していない車などのローン資産

●労働やノウハウなどの無形物

 

このように、事業のために使うモノであれば幅広く認められます

 

ただし、「出資したモノをいくらと評価するか」という問題があります。まず評価額を算出し、それを出資額として資本金の額に計上する必要があるのです。

 

評価額を算出する際には、正当な金額での評価が必須です。

 

たとえば1000円でしか売れないものを100万円の価値があるとして計上した場合、追加で出資して穴埋めする義務を負います。そのため、現物出資を行なうときは、税理士などの専門家に相談して慎重に進めましょう。

 

なお、現金出資と現物出資を併用することも可能です。

 

[図表1]現物出資の評価額の例

現物出資は、「手間と費用」を考えた上で判断を

現物出資の注意点は3つです。

 

1 検査役の検査が必要な場合がある

現物出資の場合、その価額が妥当かどうか、検査役(地方裁判所が選任)の調査などが必要になるラインが存在しています。具体的には、現物出資額が500万円を超える場合です。もし、これに該当すると、数十万円もの費用と数か月の調査期間を要するため、現物出資額は500万円以下に抑えることをオススメします

 

2 名義変更の手間と費用

現物出資するには、名義変更が必要になるケースもあります。所有者の登録が必要な自動車、登記が必要な不動産などの場合です。

 

たとえば、自動車の場合、会社名義の車庫証明取得と、運輸支局での名義変更手続きが必要になり、手数料も発生します。この手間と費用を考えても現物出資をしたいかどうか、天秤にかけて判断しましょう。

 

3 キャッシュフローの問題

資本金のなかで、現物出資の比率が高く、現金出資が少ない場合、起業当初の資金繰りに窮する可能性があります。つまり、見た目の資本金が多額でも手元現金が少なく、運転資金に困ることが考えられるのです。

 

現物出資に頼りすぎた会社設立は資金繰り的にキケンなのでご注意ください。

 

[図表2]現物出資のメリットとデメリット

 

<Point>

資本金が多いと一見、印象はよいかもしれませんが、大切なのはその中身。現金出資のほうがシンプルでわかりやすいですよ!

起業の疑問と不安がなくなる本

起業の疑問と不安がなくなる本

中野 裕哲

日本実業出版社

本書は、経済産業省が後援する起業支援サイト「ドリームゲート」で、累計面談相談者数4年連続日本一の実績をもつ人気起業コンサルタントの著者が、相談業務でよく受ける質問を分野ごとにまとめてアドバイス。 「情報のレベル…

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