2018年、とくに資金が集まる分野は「AI」
偏西風銘柄への投資とは別に、成長産業への投資を考えることも重要です。
注目すべき分野は、AI(人工知能)、IT、フィンテック、バイオですが、2018年はとくにAIに資金が集まると予想します。AIとITの融合が加速し、AI革命が起こりつつあるからです。
日本はAIで欧米の後塵を拝しているという声も聴きますが、必ずしもそうとは言えません。むしろ、私は日本に有利に展開すると考えています。
日本の製造業が誇る「すり合わせ技術」の高さ
読者のみなさんは、「すり合わせ技術」という言葉をご存じでしょうか。日本の製造業が世界一になったのは日本企業の研究開発力や技術開発力、製品開発力が優れていたからですが、じつはもうひとつ重要な要素があります。日本の製造業の現場がおしなべてすり合わせ技術に秀でていたという点です。
すり合わせ技術とは、組み立て加工を行うときに、部品と部品を互いに最適に組み合わせる技術のことです。これが「メイド・イン・ジャパン」のブランド価値を支えていました。
自動車を例にとって、ちょっと説明しましょう。
トヨタとGMとでは、製造する自動車の性能やパフォーマンスはずいぶん違います。その違いは、どういう自動車を思い描いて開発するかという違いもありますが、それだけではありません。
たとえば、両者がまったく同じエンジン、まったく同じ部品を使って、同じ自動車を組み立てたと仮定した場合でも、でき上がった自動車のパフォーマンスには大きな違いが出てきます。なぜかと言うと、日米ですり合わせ技術に差があるからです。
自動車の部品数はおよそ2万点から2万5000点あり、これらの部品を最適に組み合わせられるかどうかは自動車の完成度に直結する問題です。
日本車が高い安定性や耐久性を持ち、レスポンスがよく低燃費なのは、すり合わせ技術に秀で、たくさんの部品が最適に結合しているという理由が大きいのです。
そして、日本がなぜ高度なすり合わせ技術を持っているかと言えば、日本人の職人気質に由来しています。比肩するのはクラフトマンシップを誇るドイツ人くらいで、世界中のどの国も日独にはかないません。
ですから、こうした技術は日本人から海外の人々への移転が思うように進まなかったわけです。