設置タイプは「野立て」と「屋根貸し」に大別
前回までの連載で、太陽光発電投資の旨みを事業収支の観点から確認しました。今回は、事業支出を少し詳しく見ていきましょう。太陽光発電投資には、どのような費用が掛かるのかを、ここでざっとご理解いただきたいと思います。
まずは初期投資です。なくてはならないものが2つあります。一つは、太陽光発電システムを設置するスペースです。もう一つは、その太陽光発電システムそのものです。
発電システムを設置する場所に着目すると、大きく「野立て」(地上設置型)と「屋根貸し」(屋根設置型)という2つの事業形態に分けることができます。「野立て」は、購入するか賃借するかして自らが使えるようにした土地の上に、太陽光発電システムを設置する形態です。
「屋根貸し」は、主に工場や倉庫のように広さがあって形状の比較的単純な屋根面に、太陽光発電システムを設置する形態です。建物の所有権を手に入れるのは現実的ではありませんから、この形態では屋根面を借りて利用できるようにすることになります。ここでは、土地の購入費用や土地や屋根面を使わせてもらう権利を得るための対価がまず必要になってきます。もちろん、太陽光発電システムを設置する場所として使える土地や屋根面があるなら、申し分ありません。設置場所を確保するのに必要な初期投資はゼロで済みます。
費用なしで利用できる空き地や屋根面があれば・・・
購入するにしても賃借するにしても、土地の場合には一つ注意が必要です。整地済みの更地であればその上に太陽光発電システムを設置すればいいだけですが、通常、そこまでお膳立ての整った土地というのはないでしょう。そうなると、その土地の上にシステムを設置できる状態にするための費用が掛かってきます。すぐに使えそうな土地はいまはもうそうそう見つかりませんから、候補地は自ずと山林のような未開発の土地や遊休地で未整地の土地が多くなりがちです。
その場合には、山林を切り開き、整地することになります。樹木を伐採・抜根し、その後の土地を締め固めて平らにする必要があるわけです。そこにまた、整地造成費用が生じます。したがって、まずは、費用なしで利用できそうな空き地や、屋根面がないかどうかを探すのが得策と言えそうです。ここにはあまり費用は掛けたくないものです。
スペースを確保したら、次は太陽光発電システムそのものを調達します。これは、太陽電池パネルと、それを土地の上や屋根面に固定する架台・基礎、太陽電池で発電した電気を直流から交流に切り替えるパワーコンディショナーなどで構成されます。システムの出力が一定程度以上の場合には、「キュービクル」と呼ばれる変圧器も必要になります。
太陽電池はそのつくりによっていくつかの種類が出回っています。メーカーは国内もあれば海外もあります。値段もさまざまです。次回以降、それらにはどのようなものがあるのかを、タイプやメーカーの差を踏まえて紹介していきます。