今回は、お金が果たすべき3つの役割のうち、「交換手段」について見ていきます。※本連載は、米国・ダートマス大学で公共政策・経済学を教えながら、全米ベストセラーとなった『経済学をまる裸にする(Naked Economics)』などの著書を持つ、チャールズ・ウィーラン氏の著書、『MONEY』(東洋館出版社)の中から一部を抜粋し、「お金」のしくみについて解説します。

③交換手段…そこそこ手軽に取引に利用できる

前回の続きである。最後に、お金は交換手段だ。つまりそこそこ手軽に取引に使える。この点で、紙幣は明らかに使いやすい。100ドル札の束は財布にすんなりおさまり、合法だろうと、違法だろうと、アメリカでも、しばしばその他の地域でも、ほぼ何でも望みのものと交換できる。黄金、銀、その他貴金属はさまざまな文化で交換手段として利用されてきた。

 

アフリカでは、プリペイド式携帯電話の通話時間がお金として使われている。携帯電話の通話時間は他の電話端末にも移せるし、現金とも交換できるし、店舗でも使える。(※2)携帯電話の通話時間には内在的価値がある。バッグや財布の中の100ドル札にはない。重要なのは、お金が価値ある存在になるために、必ずしも内在的価値は必要ないという点だ。交換を促進できればいい。

(※2)“Airtime Is Money,” Economist, January 19, 2013.

現代経済の繁栄は、お金で「取引」ができるおかげ

現代経済が繁栄しているのは、人々が特定の財やサービスの生産に特化して、それをまた別の財やサービスの生産に特化している他の人々と取引できるおかげだ。お金は──どんな形をとっているにせよ──それを容易にする。英『エコノミスト』誌は、この基本原理をつぎのように要約している:「地球外生命体に、金塊でいっぱいの部屋、20ドル紙幣の山、コンピュータスクリーンに映る数字の羅列を見せても、それがどんな機能を持つのか当惑するだろう。

 

これらをわれわれが尊重するのは、かれにとってはニワシドリのオスの行動(つがいを惹きつけるために、きらきらした物で巣を飾る)のように、奇妙に思われるかもしれない」。(※3)お金は目的のための手段だ。特化と取引を円滑にして、私たちの生産性を高めて、もっと豊かにする。

(※3)“The Nature of Wealth,” Economist, October 10, 2009.

 

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本連載は、2017年12月15日刊行の書籍『MONEY』から抜粋したものです。最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

MONEY もう一度学ぶお金のしくみ

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