前回は、相続による遺品整理において、「質屋」が秘める意外な可能性を紹介しました。今回は、早期に後継者候補を採用し、経営承継に成功した事例の①として、経営承継サポートに依頼があった経緯を紹介します。

「バブル崩壊後の建て直し」は成功したが・・・

【事例】外部より後継者候補を採用し、新しい会社に生まれ変わる

 

▼株式会社立山建築

 

戸建住宅建築業として南関東で展開しており、売上20億円、従業員70人(パート・アルバイト込み)。経営者は高岡氏で68歳の男性。故郷富山で中学校教師をしているご子息が1人いる。

 

〈ご依頼の経緯〉

高岡氏は富山県出身。もともとは富山で大工をしていたが、設計の勉強をするために東京の大学に進学。卒業後は、そのまま東京で工務店に就職し、35歳になったときに独立した。工務店の経営者が体調不良となり、会社を解散したのが原因である。

 

独立して立ち上げた立山建築は、幸いにも、解散した工務店の後継企業として扱われ、元請け企業の案件をすべて受注することとなった。経験豊富な技術者も、工務店が解散した際に異動してきてくれた。さらに当時は、高度成長期からバブル経済に突入した時代。その恩恵も得たことで、特に営業努力をしなくても、会社は右肩上がりに成長していった。

 

しかし、バブル経済が崩壊すると、市場は瞬く間に縮小していった。一時は60人近くいた従業員が20人ほどに減り、売上も全盛期の3分の1に減ってしまった。

 

そこで高岡氏は、何とか新しい売上をつくるため、過去に立山建築で住宅を施工してくれた顧客リストを活用し、リフォーム事業を立ち上げた。

 

その際、営業をする人材が社内に少ないこと、一般家庭においてリフォーム実行の権限を有するのは、その家の主婦である場合が多いことを加味して、30代、40代の主婦をパート社員として雇い、営業部隊を結成した。そして、彼女たちがドアノックをして、その家の主婦と仲良くなって、案件化しそうな段階で、専門性の高い男性社員にトスアップする仕組みを構築。その仕組みが当たり、立ち上げ1年目で3億円の売上になった。

パート社員の教育・管理不足で、クレームが多発

ところが、これで順風満帆かと思いきや、売上増加と裏腹に、リフォーム事業でクレームが多発。とうとう訴訟まで発生してしまった。

 

原因は、パート社員に対する教育と管理の不足。社員との情報共有がスムーズでなく、加えて、営業経験の少ない社員が、確認不足のまま施工を進めてしまったとのこと。

 

過去に立山建築は、大手企業の下請け企業であったために、いつも一定の企業との営業交渉で仕事が完了していた。そのため、新規の営業交渉経験は少ない。ましてや、個人宅を相手にした経験者はいない。

 

もちろん高岡氏も同様である。クレームの対応方法さえもわからない状況で忙殺されていた。そこで、外部から個人向け営業の経験者で、営業の仕組みをつくった経験のある方を採用したいと、メインバンクのご紹介で弊社にご連絡をいただいた。

 

この話は次回に続く。

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