今回は、「トップ・ミーティングによる情報開示」のポイントを紹介します。※本連載では、島津会計税理士法人東京事務所長、事業承継コンサルティング株式会社代表取締役で、公認会計士/税理士として活躍する岸田康雄氏が、中小企業経営者のための「親族外」事業承継の進め方を説明します。

トップ・ミーティングで「経営陣の能力」をアピール

もう一つの情報開示の方法は、トップ・ミーティングを設定し、経営陣からのプレゼンテーションを実施することである。財務情報など定量的な情報は、書面で開示すれば十分であるが、事業内容や事業戦略などの定性的な情報は、口頭による補足説明が必要である。

 

このミーティングが出席者同士の初顔合わせの場となるケースもあり、買い手候補が対象会社の経営陣の資質と能力を評価する機会となる。経営陣の考えを積極的にアピールしたほうがよい。

製造業であれば「工場見学」の機会を設ける手も

また、プレゼンテーションだけでなく、製造業の場合であれば工場の見学会を設けるなど、事業内容の理解を促すことも必要である。一般的に、製造業の経営者は、同業者であれば、工場の中を一度見ただけでその生産性や技術力、最大生産能力や機械設備の稼働状況などを評価できるといわれる。工場見学は事業価値評価のために不可欠なプロセスである。

 

最後の対応が、買い手候補からの質問に対して売り手が回答すること、求められた追加情報の開示を行うことである。買い手候補から出てくる追加質問の代表例として、以下のようなものがある。これらの質問が出てきたときには即座に答えられるよう事前に回答の準備をしておきたい。

 

●棚卸資産が増加しているが、不良在庫、陳腐化在庫があるのではないか。

 

●工場に土壌汚染などの環境問題は発生していないか。

 

●大口得意先との関係は良好か、今後も継続して取引できる見込みか。

 

●機械設備の入れ替えなど更新投資は適切に行ってきたか。将来に大規模修繕が発生する可能性はないか。

 

●従業員の中で重要なキーパーソンは誰か。

 

<情報開示の方法>

(1)インフォメーション・メモランダムの提出

(2)マネジメント・プレゼンテーションの実施

(3)質疑応答

 

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